渋江譲二の『嗚呼!銀幕の女神様』第10回
「愛がなんだ」
〜幸せになりたいっすねぇ。。がんばれ一途女子!〜

どーもどーもご無沙汰しております渋江です!

不定期連載をいいことに不定期すぎるわけですが、この連載の内容
にハマるピンッ!とくる映画というのもそうはないもので・・・。

今後は堂々とこれだ!という映画を観た瞬間、衝動で書いていこうと思っております。

そんな久し振りにピンッと来た映画がこちら!

画像: ©2019 映画「愛がなんだ」製作委員会

©2019 映画「愛がなんだ」製作委員会

2019年公開作品『愛がなんだ』
監督・脚本 今泉力哉 原作 角田光代

これはもうね、主人公の女の子にはピンッ!ピンッ!と来るしかない題材でしたね。

当然取り上げるヒロインはこちらの方!

画像: 『愛がなんだ』場面写真 ©2019 映画「愛がなんだ」製作委員会

『愛がなんだ』場面写真
©2019 映画「愛がなんだ」製作委員会

岸井ゆきのさん演じるテルコちゃん!

ちょっとあらすじ

猫背でひょろひょろなマモちゃん(演 成田凌さん )と出会い恋に落ちたテルコ。
マモちゃんを思うあまり仕事が手につかないほど。
しかし、それは実は片思い。
マモちゃんには好きな人・すみれさん(演 江口のりこさん)が現れてしまう。
親友の葉子(演 深川麻衣さん)のことを片思いする、
テルコとちょっと境遇が似ているナカハラ(演 若葉竜也さん)。
そんな男女の気持ちが折り重なる「正解のない恋の形」を描く作品。

きっとこの作品を観た、恋をしたことのあるすべての人達は思うはずです。
「あっ、これは俺・私だ」って。
それは主人公のテルコにだけではなく、マモちゃんであったりナカハラであったりすみれであったり。
相手が自分だけを見てくれない切なさや、
相手の気持ちを分かっていながら優しくできないちょっと卑怯な気持ち。
僕も間違いなくそのすべてを経験してきたのを思い出しました。

*ここから少々ネタバレ含む可能性あり
もうこの時点で観るの確定な人は映画館へGO!

マモちゃんが好きで仕方ないテルコは仕事中も連絡を待ち携帯を見てばかり。
今日あたり誘われる気がする、、それだけで心はソワソワ。
来るかどうかも分からない連絡を待ち、
いつ誘われてもいいようにスタンバイします。

分かるなぁ。。好きな人に会いたい、誘われるチャンスを逃したくない。

誰に頼まれたわけでもなく、
勝手に待ってる自分がちょっとバカだなぁ、なんて思いながら過ごす時間。
誘われなかったらちょっと虚しい気持ちになりながらも、
ダメ元と自分に言い聞かせちゃったり、、、
あ、完全に女子の気持ちに感情移入 笑

ちなみに今回僕の密かなMVPがテルコの岸井さんのスタイリストさん!
とにかく役っぽい、
恋に身を任せてしまいそうなタイプの女の子的な絶妙な衣装でした!

そんなテルコの気持ちに気付いているのかいないのか、
飄々としたマモちゃんはテルコを自分の都合で誘い、自分の都合で突き放します。

またこれが、成田凌さんの持つ独特の
「本当は何考えてるのか分からない感(個人的見解ですよ? 笑)」
がハマり役なんですよね。

「好きになった方が負け」という言葉を
僕はよく使っているのですが、
今回はまさにその通り。

好きになってしまった方は相手を追い続け、
その相手は気持ちに気付かぬフリでのらりくらり、、
これは男女逆でも一緒ですよね。
それがすみれとナカハラであったり。。

実際どちらの身も体験したことがあっても、
相手の気持ちを分かっていても、
自分の心の隙間を埋めるために
人は人の気持ちを利用してしまうものなんですよねぇ。。
人って身勝手ですよね。
(他人事みたいなセリフ失礼致します)

マモちゃんはテルコに言います。
「いちいち気を使われたりするのがイヤなんだよ」
言われたテルコはもちろんショック。
しかし、ある場面ですみれさんに対して
明らかに気を使うマモちゃんの姿をテルコは目撃してしまいます。

マモちゃんはきっと、自分にもそんな部分があるからテルコの相手に
気を使ってしまうところに気付いて
イラッとしてしまったんだろうなと思いました。
同族嫌悪ってやつでしょうか。
そういう嫌悪感の原因って、案外自分では気付かないものですよね。

この物語は、主人公の状況だけを聞いてしまうと、
「は?それただのセフレじゃん?」
なんて言葉で
片付けられてしまう話かもしれません。

でもそうじゃないんです。
テルコはマモちゃんが好き。大好き。
その真っ直ぐな気持ちの物語なんです。

友達から聞く恋愛話。
客観的に聞く僕らはただ冷静に
「そんな奴やめちゃいなよ」なんて言い放ってしまうことがありますよね?

でも当の本人にとっては理屈じゃない、
当の本人じゃないと分からない感情がそこにあるんです。
この物語は、そんな誰もがその当の本人であったことを思い出させてくれるんです。

いま恋をしている人、そしてその恋が上手くいかない人、
きっと主人公の一途な思いに自分を重ね合わせること間違いなしです!!

ナカハラのセリフ「幸せになりたいっすねぇ」が心に染み渡ります・・・・。
ついでに、
個人的にビックリしたのが葉子を演じていた深川麻衣さん。
乃木坂46時代から観ている身としては、
あんな妖艶な色気を漂わせる女優さんになっていることにビックリ!

エンドロールを見るまで深川さんだと本気で気付きませんでした。
あの聖母のイメージからここまで、、すげぇ。

あと僕の好きなシーンは主人公とナカハラが2人で
缶ビールを飲みながらコンビニ前で話すシーン。
若葉竜也さんの芝居がとても良い!

あとあと!ほんっっとにどうでもいいところが気になってすみませんが、
マモちゃんがタクシーを止めるシーンが2回あるのですが、
そのタクシーを止める手の上げ方に注目!
いや、ほんとに何ってわけじゃないんですが、
役なのか成田さんご本人の上げ方なのか、、、
とにかくちょっと見てみてください 笑

著者 渋江譲二

渋江譲二(しぶえ・じょうじ)
1983年3月15日生まれ。
長野県出身。2003年にドラマ『美少女戦士セーラームーン』タキシード仮面役でデビュー。
主な出演作はEX『仮面ライダー響鬼』(2005)、TBS『砂時計』(2007)、NTV『ホタルノヒカリ』(2007)、映画『クロサワ映画』(2010)、『ふるさとがえり《主演》』(2011)など。2017年1月より放送のAbemaTV『特命係長 只野仁』へレギュラー出演。
公式ブログ『矛盾の男』http://yaplog.jp/shibue-jouji/
公式Twitter @shibue0315

『愛がなんだ』予告

画像: 角田光代:原作 今泉力哉:監督『愛がなんだ』本予告 youtu.be

角田光代:原作 今泉力哉:監督『愛がなんだ』本予告

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直木賞作家、角田光代のみずみずしくも濃密な片思い小説を“正解のない恋の形”を模索し続けてきた恋愛映画の旗手、今泉力哉監督が主演に岸井ゆきのを迎え、共演に成田凌、深川麻衣、若葉竜也、江口のりこなど、多彩な俳優陣が名を連ねて映画化した『愛がなんだ』。

原作:角田光代「愛がなんだ」(角川文庫刊)
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織、今泉力哉
出演:岸井ゆきの 成田凌 深川麻衣 若葉竜也 片岡礼子 筒井真理子/江口のりこ
配給:エレファントハウス
©2019映画「愛がなんだ」製作委員会

テアトル新宿ほか全国ロードショー中!

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