ラファエル前派とジョン・ラスキン

ラファエル前派とは、1848年にダンテ・ゲイブリエル・ロセッティらが結成した、19世紀の中頃のヴィクトリア朝のイギリスで活動した芸術家集団です。
19世紀後半の西洋美術において、印象派と並ぶ一大運動であった象徴主義美術の先駆と考えられています。

そのラファエル前派の精神的な指導者であるジョン・ラスキンは、ターナー評価で名を成した19世紀英国の思想家であり美術批評家で、あらゆる人にかかわる芸術の必要性を説く一方で、前衛のロセッティらが率いたラファエル前派同盟を擁護し、バーン=ジョーンズやモリスに影響を与えました。

今回、三菱一号美術館では、ラスキン生誕200年記念として英米の美術館に所蔵される油彩画や水彩画、素描、ステンドグラス、タペストリ、家具など約150点の作品を通じて彼らの功績をたどり、この時代の豊かな成果を展覧します。

ごく短い期間で解散したものの、後の絵画史上に残る重要な活動だったラファエル前派の作品の数々が一堂に会するこの貴重な機会を、是非お見逃しなく!

第1章 ターナーとラスキン

ジョン・ラスキン(1819‐1900)が初めて J. M. W. ターナー(1775‐1851)に価値を見出したのは1840年のこと。 自ら作品を買い求め、コレクションを形成する一方で、1843年、24歳の青年ラスキンは、この画家を擁護するために広範な主題を扱った権威ある著作集『現代画家論(Modern Painters)』の第一巻を発表し、一躍著名になります。

画像: ジョゼフ・マラード・ウィリアム・ターナー《カレの砂浜――引き潮時の餌採り》1830年、油彩/カンヴァス、68.6×105.5cm、ベリ美術館 ©Bury Art Museum, Greater Manchester, UK

ジョゼフ・マラード・ウィリアム・ターナー《カレの砂浜――引き潮時の餌採り》1830年、油彩/カンヴァス、68.6×105.5cm、ベリ美術館
©Bury Art Museum, Greater Manchester, UK

自身も素描を日常的にたしなみ描いていたというラスキンの作品。↓

画像: ジョン・ラスキン《モンブランの雪――サン・ジェルヴェ・レ・バンで》1849年、鉛筆、水彩、ボディカラー、25.1×38.4 cm、ラスキン財団(ランカスター大学ラスキン・ライブラリー) ©Ruskin Foundation (Ruskin Library, Lancaster University)

ジョン・ラスキン《モンブランの雪――サン・ジェルヴェ・レ・バンで》1849年、鉛筆、水彩、ボディカラー、25.1×38.4 cm、ラスキン財団(ランカスター大学ラスキン・ライブラリー)
©Ruskin Foundation (Ruskin Library, Lancaster University)

第2章 ラファエル前派同盟

1848年秋に前衛芸術家集団「ラファエル前派同盟(Pre-Raphaelite Brotherhood)」を結成した7名の画学生らは、ラファエロ以降の絵画表現を理想とする芸術家養成機関ロイヤル・アカデミーの保守性に意を唱え、ラファエロ以前に回帰する必要性を訴えて「ラファエル前派」と名乗ります。

当初は悪意のある批評にさらされた彼らの試みをラスキンは高く評価し、力強く擁護論を展開しました。

このラファエル前派同盟の中心となったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828‐1882)、ウィリアム・ホルマン・ハント(1827‐1910)、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829‐1896)は、英国美術史にきわめて大きな功績を残しました。

画像: ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)》1863-68年頃、油彩/カンヴァス、83.8×71.2 cm、ラッセル=コーツ美術館 ©Russell-Cotes Art Gallery & Museum, Bournemouth

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)》1863-68年頃、油彩/カンヴァス、83.8×71.2 cm、ラッセル=コーツ美術館
©Russell-Cotes Art Gallery & Museum, Bournemouth

第3章 ラファエル前派周縁

ラファエル前派同盟が提唱した緻密な自然観察、そして主題の誠実な描写という大原則は、結成からわずか数年後の1850年代初頭には、人々に広く受け入れられていました。
これと並行して、ラスキンは著述活動を通じて、英国画壇に大きな影響を及ぼしました。

他方で彼らの周辺には、古代ギリシア・ローマ美術の再評価を推し進めたフレデリック・レイトンやジョージ・フレデリック・ワッツのような先進的な芸術家が出現します。

画像: フレデリック・レイトン《母と子(サクランボ)》1864-65年頃、油彩/カンヴァス、48.2×82 cm、 ブラックバーン美術館 ©Blackburn Museum and Art Gallery

フレデリック・レイトン《母と子(サクランボ)》1864-65年頃、油彩/カンヴァス、48.2×82 cm、
ブラックバーン美術館
©Blackburn Museum and Art Gallery

第4章 バーン=ジョーンズ

1860年代のエドワード・バーン=ジョーンズ(1833‐1898)は、新たな様式を他に先駆けて追求する存在でした。1877年に最先端の美術を紹介するグロヴナー・ギャラリーが開かれると、19世紀末の英国で最も広く称賛される画家となります。

元々はオックスフォード大学で聖職を志していたバーン=ジョーンズは、ラファエル前派同盟の作品に感銘を受け、ラスキンの芸術論や建築論に心酔するあまり、1855年には大学を去って芸術の道へと進み、ロセッティに弟子入りします。
また精神的指導者(メンター)と慕うようになったラスキンからは、イタリアへと赴き、巨匠画家の作品から学び、素描に励むように、との助言を受けます。

画像: エドワード・バーン=ジョーンズ《赦しの樹》1881-82年、油彩/カンヴァス、186×111 cm、リヴァプール国立美術館、レディ・リーヴァー・アート・ギャラリー ©National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

エドワード・バーン=ジョーンズ《赦しの樹》1881-82年、油彩/カンヴァス、186×111 cm、リヴァプール国立美術館、レディ・リーヴァー・アート・ギャラリー
©National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

第5章 ウイリアム・モリスと装飾芸術

「モダンデザインの父」と呼ばれるウィリアム・モリス(1834-1896)は、1853年にオックスフォード大学でバーン=ジョーンズと出会います。それ以来、生涯の友となり、バーン=ジョーンズと同じように聖職に就くことをあきらめて画家・デザイナーとなる道を選んだモリスは、多くの作品をバーン=ジョーンズと共同で手がけます。

1858年には初の詩集『グウィネヴィアの弁明(The Defence of Guinevere)』を、さらに1868年から1870年にかけては長大な物語詩『地上の楽園(The Earthly Paradise)』を発表。 この物語詩の挿絵は、バーン=ジョーンズが描く約束でした。

詩人としての評価を確立する一方で、1861年には家具、ステンドグラス、陶製タイル、壁紙、捺染布地や織物など、あらゆる種類の装飾芸術を扱う「モリス・マーシャル・フォークナー商会」を設立します(1875年に単独経営の「モリス商会」に改組)。 また、美しいデザインの書物を世に送り出すために、 1891年に私家版印刷工房「ケルムスコット・プレス」を開設。
晩年には、社会主義者の一人として、政治改革運動に全力を注ぎました。

画像: モリス・マーシャル・フォークナー商会(1875年以降はモリス商会)《3人掛けソファ》1880年頃、クルミ材・毛織生地、96.2×221×77.2 cm、リヴァプール国立美術館、ウォーカー・アート・ギャラリー ©National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

モリス・マーシャル・フォークナー商会(1875年以降はモリス商会)《3人掛けソファ》1880年頃、クルミ材・毛織生地、96.2×221×77.2 cm、リヴァプール国立美術館、ウォーカー・アート・ギャラリー
©National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

ラスキン生誕200年記念
「ラファエル前派の軌跡展」
開催概要

会場)三菱一号館美術館
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2

会期)開催中〜2019年6月9日(日)

開館時間)10:00〜18:00
※ 入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、6月3日~7日は21:00まで)
※ 4月27日(土)~5月6日(月・祝)は、10:00〜18:00まで開館します。
※ 5月3日(金・祝)の開館時間は18:00までです。ご注意ください。
※ 詳しくは【https://mimt.jp/ppr/】をご覧ください。

休館日)月曜日(但し、4月29日、5月6日、6月3日と、トークフリーデーの5月27日は開館)
※ トークフリーデーは、声の大きさを気にせず鑑賞できる日です。

観覧料)
一般:1,700円、高校・大学生:1,000円 、小・中学生:無料
※ 障がい者手帳をお持ちの方は半額、付添の方1名まで無料
※ 開催中も、一般前売券の金額でご購入可能なペア券(3,000円) はチケットぴあでのみ販売します。
※ 学生券をお求めの場合は、学生証のご提示をお願いいたします。(小学生は除く)

【アフター5女子割】
第2水曜日17時以降 / 当日券一般(女性のみ)1,000円
※ 他の割引との併用不可 ※利用の際は「女子割」での当日券ご購入の旨お申し出ください。

主催)三菱一号館美術館
共催)産経新聞社
企画協力)インディペンデント、アルティス
後援)ブリティッシュ・カウンシル
協賛)大日本印刷

お問い合わせ)03-5777-8600(ハローダイヤル)

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「ラファエル前派展」プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年5月11日 24:00 日曜日

【記載内容】
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、当選無効となります。
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