今に通じる「江戸の街道」を辿る

全国各地で町づくりや道路整備が行われているその大元は、江戸時代に幕府によって整備された「江戸の街道」で、姿を変えながら今なお私たちの生活を支え、欠かせない道路となっているのです。

この江戸の街道は、当時も人々の生活に欠かせず、様々な人や行列が往来し活気にあふれていました。 なかでも将軍や姫君たちの行列は長大で、沿道の人々を圧倒し権威を誇示しました。

今回、東京都江戸東京博物館では、将軍の上洛や日光社参、姫君たちの江戸下向に関わる資料を通して、「江戸の街道」における旅路をたどります。

また、 十四代将軍家茂の上洛を描いた錦絵シリーズ「東海道名所風景」や、薩摩藩島津家の「黒漆丸十紋散牡丹唐草蒔絵女乗物」をはじめとする婚礼道具などを通し、華やかで荘厳な旅路ご紹介します。

これまで時代劇や本の中でしか知る機会のなかった「江戸の街道」の姿を、様々な資料を通してお楽しみ頂けます。
是非現代に通じる街道の移り変わりをご覧になり、その歴史の息吹をじかに感じ取って下さい。

画像: 「六郷蒸気車鉄道之図」 昇斎一景/画 明治4年(1871)8月  <展示期間:5月28日(火)~6月16日(日)> 東京都江戸東京博物館蔵

「六郷蒸気車鉄道之図」 昇斎一景/画 明治4年(1871)8月 <展示期間:5月28日(火)~6月16日(日)>
東京都江戸東京博物館蔵

江戸と明治のコラボレーション、「六郷蒸気車鉄道之図」↑ では、橋を走る蒸汽車や洋装の人々が描かれており、「江戸の街道」の過渡期を見ることができます。

プロローグ

慶長6年(1601年)、関ヶ原の戦いを終えた徳川家康は、日本橋を起点に諸街道の整備を進め、江戸の前期には五街道(東海道、中山道、日光道中、奥州道中、甲州道中)が完成しました。

日本橋は江戸の象徴として慶長8年(1603)頃に架橋され、翌年には諸街道の起点に定められました。日本橋とその周辺には全国から人々が集まり、江戸の経済の中心地として大変な賑わいを見せました。

画像: 「木曽街道続ノ壱 日本橋雪之曙」 渓斎英泉/画 天保6年(1835)  <展示期間:5月28日(火)~6月16日(日)> 東京都江戸東京博物館蔵

「木曽街道続ノ壱 日本橋雪之曙」 渓斎英泉/画 天保6年(1835) <展示期間:5月28日(火)~6月16日(日)>
東京都江戸東京博物館蔵

江戸の中心の日本橋。↑ 活気溢れる当時の日本橋の様子が描かれています。

第1章 武家の通行〜威信をかけた旅路〜

泰平の世となった江戸時代、将軍は上洛や日光社参といった大行列によって武威を誇示しました。
日光社参では、幕閣や大名、旗本・御家人によって長い行列が組まれ、「武家の棟梁」にふさわしいものでした。

また、諸大名は街道を使い一年おきに江戸と国許を行き来する参勤交代を行いました。
参勤交代は軍役による奉仕や為政者への伺候という意味合いを持っており、武具類は戦闘のためではなく装飾を施した華美なものを整えることで、大名同士が威信を競い合うためのものとなりました。
この参勤交代は政治的な面だけでなく、江戸と国元の定期的な交流により文化・経済の交流にも大きな役割をも果たしました。

画像: 「日光東照社参詣図屏風」 江戸時代前期 <5月28日(火)~6月16日(日)は複製を展示> 東京都江戸東京博物館蔵

「日光東照社参詣図屏風」 江戸時代前期 <5月28日(火)~6月16日(日)は複製を展示>
東京都江戸東京博物館蔵

寛永19年(1642)の三代将軍徳川家光の日光社参を描いた「日光東照社参詣図屏風」↑ からは、宿場の様子や日光社参の荘厳さを感じることができます。

第2章 姫君の下向〜華麗なる婚礼の旅路

徳川将軍家は、三代将軍家光以降、摂家と宮家から御台所を迎えることを慣例としました。
将軍家に嫁ぐため、姫君は主に中山道を通行して江戸へ下向しました。
婚礼の際には多くの婚礼道具が制作され、家紋や文様を施した道具類は贅を尽くし、それらは姫君の新たな生活を彩るものとなりました。

十二代将軍徳川家慶の御台所である楽宮(さざのみや)が、京から江戸へ下向する華麗な婚礼行列を行う様子を描いた「楽宮下向絵巻」↓
同展では、全長約24mにおよぶ絵巻のすべてをご覧いただけるのが見どころの一つとなっています。

画像: 「楽宮下向絵巻」(部分) 青木正忠/画 文化元年(1804) 東京都江戸東京博物館蔵

「楽宮下向絵巻」(部分) 青木正忠/画 文化元年(1804)
東京都江戸東京博物館蔵

同館では初公開となる、薩摩藩島津家の女乗物「黒漆丸十紋散牡丹唐草蒔絵女乗物」↓。
細部まで作り込まれた風貌は、当時の絢爛豪華な下向の様子を物語っています。

画像: 「黒漆丸十紋散牡丹唐草蒔絵女乗物」 江戸時代後期 東京都江戸東京博物館蔵

「黒漆丸十紋散牡丹唐草蒔絵女乗物」 江戸時代後期
東京都江戸東京博物館蔵

最も重要な婚礼道具の一つ。↓ 豪華な造りに目が奪われます。

画像: 「黒塗桐鳳凰文様金銀蒔絵貝合道具」 江戸時代末期 東京都江戸東京博物館蔵

「黒塗桐鳳凰文様金銀蒔絵貝合道具」
江戸時代末期
東京都江戸東京博物館蔵

近代に描かれた大奥の様子。 ↓

画像: 「千代田の大奥 御遊山」 楊洲周延/画 明治27年~29年(1894~1896) 東京都江戸東京博物館蔵

「千代田の大奥 御遊山」 楊洲周延/画 明治27年~29年(1894~1896)
東京都江戸東京博物館蔵

第3章 幕末の将軍上洛〜描かれた徳川家茂の旅路〜

三代将軍家光までは、将軍権威を広く知らしめることを目的として上洛していましたが、寛永11年(1634)の家光上洛以降、政治的に必要がなくなったことから行われなくなります。

ところが文久3年(1863)、十四代将軍家茂はペリー来航以降の攘夷をめぐる朝廷と幕府との確執を解消することを目的として、実に229年ぶりに上洛を果たします。

その後も家茂は、元治元年(1864)、慶応元年(1865) と、合計3回の上洛を果たしました。

久々の将軍上洛は世間を大いに賑わせ、その様子が錦絵にも描かれました。
これらの錦絵は、歌川広重が描いた「東海道五十三次」の景観を取り入れながらも、時代の変化を感じることができます。

「東海道名所風景」↓(御上洛東海道)には、家茂が行列を率いて東海道の宿場を通行する様子を見ることができます。

「東海道 鳴海」 歌川国綱(二代)/画 文久3年(1863)4月 <展示期間:5月28日(火)~6月16日(日)>
東京都江戸東京博物館蔵

外国人も見た、将軍家茂の行列。 ↓
長州征討を目的とした慶応元年の上洛を描いた「末広五十三次」は、軍事的要素が強く描かれています。同シリーズは開国後の情勢を大きく取り入れ、外国人や蒸気船が描かれているのも特徴です。

「末広五十三次 程ヶ谷」 歌川芳幾/画 慶応元年(1865)閏5月 <展示期間:4月27日(土)~5月26日(日)>
東京都江戸東京博物館蔵

エピローグ〜東京の道をゆく〜

武家や姫君が華やかに通行した江戸の街道は、明治期における交通手段の革新により大きく変化します。

明治5年(1872)の新橋-横浜間の鉄道開通によって、旅のあり方や人々の生活が変わり、短時間で遠隔地へ行けるようになりました。さらに、鉄道開業によって定時法が日本全国に導入され、分・秒単位で時間を意識した生活へと変化しました。

近代以降、江戸の街道は時代の変化にあわせて造り替えられますが、現在も「旧街道」として残り、私たちの生活に欠かせない道となっています。

画像: 「ペリー舶載汽車模型之図」 嘉永7年(1854)3月 東京都江戸東京博物館蔵

「ペリー舶載汽車模型之図」 嘉永7年(1854)3月
東京都江戸東京博物館蔵

学芸員からのメッセージ
「朱傘」(しゅがさ)に注目!

「本展で注目していただきたいのが、朱色の爪折傘(つまおりがさ) 「朱傘」です。
爪折傘とは、骨の端を丸く垂らした長柄傘(ながえがさ) のこと。
江戸時代、徳川家に関することを絵画や文学のテーマとする のは禁止されていました。そうした制約から逃れるため、貴人のみが使用を許された「朱傘」を象徴的に描き、将軍や姫君を暗示したのです。
「朱傘」は将軍の上洛や婚礼の行列を描いた絵画作品に見ることができます。
ぜひ探しながらご覧ください。」
〈東京都江戸東京博物館学芸員 杉山 哲司〉

特別展「江戸の街道をゆく〜将軍と姫君の旅路〜」
開催概要

会場)東京都江戸東京博物館 1階特別展示室
東京都墨田区横網一丁目4番1号

会期) 2019年4月27日(土)〜2019年6月16日(日)(47日間)

開館時間)午前9時30分〜午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで)
※ 入館は閉館の30分前まで

休館日)5月7日(火)・27日(月)、6月3日(月)・10日(月)

観覧料(税込))
   〈特別展専用券 | 特別展・ 常設展共通券 〉
一般)1,000円 (800円) | 1,280円 (1,020円)
大学生・専門学校生)800円 (640円) | 1,020円 (810円)
中学生(都外)・ 高校生・65歳以上)500円 (400円) | 640円 (510円)
中学生(都内)・ 小学生)500円 (400円) | なし

※ チケット販売は東京都江戸東京博物館のみ
※ ( ) 内は20名以上の団体料金。
※ 前売券は2019年3月1日(金)〜2019年4月26日(金)まで販売。
※ 会期中は当日券のみを販売。
※ 小学生と都内在住・在学の中学生は、常設展観覧料が無料のため、共通券はありません。
※ 次の場合は特別展観覧料が無料です。
未就学児童。
身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳 被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)。

主催)公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館

お問い合わせ)
東京都江戸東京博物館
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp
TEL : 03-3626-9974(代表)

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「江戸の街道を行く」展プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上10組20名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年5月11日 24:00 日曜日

〈記載内容〉
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、当選無効となります。
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