エンターテイメントコンテンツにおけるクラウドファンディングの新たな潮流

様々なベンチャー企業やスタートアップ企業が資金調達手段として使用しているクラウドファンディング。一般のユーザーから少しずつお金を集め、目標額に達したらプロジェクトを進める。今までにない製品やサービスなどを、それを欲しいと思う一般の人たちの支援を受けて実現させる手法だ。

映画などのエンターテイメントコンテンツ分野でも同様の動きが盛んで、MotionGalleryやマクアケなどのクラウドファンディングプラットフォームにおいて様々な映画が資金集めに成功している。ただ、これらのクラウドファンディングの多くは投資に対して金銭的なリターンを用意しているのではなく、例えば特別上映会への参加権であったり、キャストや監督からの御礼メールであったり、熱烈なファンにとっては垂涎モノでも、一般の投資家が出資できるようなスキームにはなっていないことが多い。

1月29日からソニー銀行が提供するクラウドファンドサービスSony Bank GATE
にてスタートした、「超・少年探偵団NEO 配給宣伝応援ファンド」は、実は上記のようなクラウドファンディングとは違った大きな特徴がある。
今回は、同ファンドを手掛けるプロデューサーの原田拓朗氏、本作品の監督である芦塚慎太郎氏にお話を伺った。

画像: 左よりプロデューサーの原田拓朗氏と芦塚慎太郎監督

左よりプロデューサーの原田拓朗氏と芦塚慎太郎監督

映画は業界内関係者だけのものではない!

「ソニー銀行が提供しているクラウドファンディングのサービスは、言葉通りの意味でファンド、つまり事業への出資を募るもので、リターンは当然金銭的な分配になります。今回は映画の配給宣伝をサポートしていただくという内容ですので、興行収入などから分配していく。映画館にたくさん動員できれば、その分多くのリターンを出すことができる、という仕組みです。」

投資をしたからといって、映画のチケットがもらえるわけではなく、むしろ1人でも多くの有効動員を増やすために、配給側と一緒になって、例えばSNSで拡散させるなど、手伝ってもらう、応援してもらうようなイメージだと原田氏は言う。いわば一般の人が、製作委員会に参加するかのような取り組みだが、実はこういうことができるサービス自体が日本にはこれまであるようで無かった。

「映画の配給といえば、予算規模と公開館数などから、ほぼほぼ宣伝内容が自動的に決まってしまって、映画の内容や制作意図、想定観客に合わせた施策などにはなかなか手が回らない。そういう「良くおこりがちな流れ」に対して、でも本当に観客が求めているのは、ちょっと違うのではないかと考えました。「カメラを止めるな!」の成功を持ち出すまでもなく、SNSでの盛り上がりが興行的成功に大きな役割を果たすのは当然として、その肝にあるのは、作り手や作品自体の持つ熱量をどれだけ観客に伝えられるか。いろいろな「大人の事情」の影響をなるべく小さくして、作り手の熱量をお客様に直接お伝えしていく。言葉にするとなんてことはないことに思えるが、これが通常の配給スキームでは、ほとんど実現できていないのではないかという問題意識がありました。

「カメラを止めるな!」成功の立ち上がりを支えた、毎日舞台挨拶をするという過剰なユーザーコミュニケーションは、実は最も重要な施策だったかもしれない。例えばそういう活動を、配給スキームとしてどう実現していくのか。

業界内のパートナー含め、どのようにこの趣旨に賛同してくださる方を集めていくか考えている時に、ソニー銀行のクラウドファンディングの存在を知り、私たちの活動にぴったりだと思ってすぐに相談に行きました。」と原田氏。

芦塚監督も配給宣伝活動において、積極的な役割を果たす。

「今回は私も配給宣伝活動の中で公式SNSを担当していたり、観客とのコミュニケーションの最前線に立たせていただいています。そのような活動ができる、ということ自体が珍しい、というか私には初めての経験ですが、長く続くヒット作品には、そういう面が必要なのかもしれないと思っています。あのスターウォーズだって、最初はどの映画会社も成功を信じてなくて、でも作り手の熱量を大学などのSFマニアのコミュニティに広げることで最初の盛り上がりが生まれたわけですから。」

今回のファンドが目指しているところは、もちろん収益を得ることではあるが、業界にとって革新的な構造改革にもなっている、という点も大きな特徴だ。

業界内の企業ではなく、ファンの立ち位置に近い一般の投資家から出資を募る。しかも集める資金は、映画の「製作」ではなく、「配給宣伝」のためのもの。映画の「製作費」に投資した場合、完成には時間がかかるし、完成しないリスクさえある。あらかじめ作品が完成していれば、すぐに配給宣伝活動を始め、興行収入も見えてくる。

プロジェクトの売上に対する分配について、出資金同額の分配までは個人投資家に配慮した条件設定としている。もちろん投資なので元本割れが発生するリスクもあるが、単に映画に投資する、ということではなく、あたらしい映画業界のスキーム作りに投資する、というのは何とも夢のある話ではないだろうか。

画像: 映画は業界内関係者だけのものではない!

『少年探偵団』シリーズの名探偵・明智小五郎とその弟子の小林芳雄(小林少年)の末裔の物語を描く『超・少年探偵団NEO −Beginning−』

「それにこの映画は単発の作品ではないのです。」と原田氏は続ける。

江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズを下敷きにして、主要キャラクターである明智小五郎、小林少年、怪人二十面相、それぞれの子孫が何世代にもわたって繰り広げる葛藤や確執の歴史絵巻を構想。今回の映画は4代目小林少年が主人公だ。

画像: ©2019 PROJECT SBD‐NEO

©2019 PROJECT SBD‐NEO

「一本の映画を作って終わりではなく、一つの世界観を構築したら、その世界観で長くずっと楽しんでいただけるような、時にはユーザー側の二次創作を誘発しつつ、それにさえ触発されながら展開をしていく。映画に「Beginning」と副題をつけたように、全ての物語の原点になるような映画にしました。」と芦塚監督。

「今回の興行は、この世界観にシンクロして一緒に盛り上がってくださる、いわゆるコアなファンをどれだけ集められるかがとても重要です。」と原田氏は続ける。

その意味では、クラウドファンディングの募集の段階で、すでにコアファンの募集が始まっていると言えるのかもしれない。

これまでの映画宣伝では、マス広告を見て映画を知り、劇場に足を運ばせるやり方が多かったが、最近ではSNSでの口コミ伝播のパワーが映画業界に大きなインパクトを与え、無視できない影響力をもってきている。「カメラを止めるな!」のように広がり、大ヒットさせる方法を、配給のスキームとして確立させられないか、というのが本ファンドの狙いだ。この想いは多くの人に受け入れられ、募集開始後10日ほどで、目標金額3,000万円に対してすでに2,500万円以上の申し込みがなされている。

ファンドは2月21日まで募集が行われている。興味のある方はお早めに。

※目標金額3,000万円に達した時点で、受け付けは終了となります。

https://moneykit.net/visitor/sbg/pj/20190001.html

公式サイト

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