映画『デイアンドナイト』『青の帰り道』など、話題作が続いているクリエイター集団、BABEL LABELが、オリジナル映画製作プロジェクトを立ち上げました。その名も<BABEL FILM>

その第1作目となるのが、2月16日(土)より公開される『LAPSE(ラプス)』
志真健太郎、アベラヒデノブ、HAVIT ART STUDIO、3組の監督陣が未来を自由に想像し、ラプス(=時の経過)に生きる人間の内面を描いています。

BABEL LABELが描く
3篇の未来の物語『LAPSE(ラプス)』

画像: BABEL LABELが描く 3篇の未来の物語『LAPSE(ラプス)』

シネフィルでは、全3回にわたって監督、キャストによる対談を敢行。記念すべき第1回は、『リンデン・バウム・ダンス』で映画監督デビューを果たしたHAVIT ART STUDIOの今野里絵監督と、出演の小川あんさんにお話をお聞きしました。

映画『LAPSE』公開記念 第1回「リンデン・バウム・ダンス」
HAVIT ART STUDIO 今野里絵監督×小川あん

ー「未来」というテーマに対し、3人の監督がどうアプローチするかが三者三様で面白い作品ですよね。今野監督が描いたのは、人間が人工知能に医療を委ねている2038年の世界。
SUMIREさん演じる大学生のヨウが、人工知能の法律改正によって決まった祖母の延命中止に葛藤するというストーリーです。

今野里絵(以下、今野:) 
まず未来とは関係なく描きたいことは何だろう?と考えたときに、このテーマのストーリーはずっと描きたかったことでした。そこに、オムニバス映画のテーマ、「未来」を絡めていったんです。時代を2038年に設定したのは、あまりにも遠い未来だと、私自身が想像もつかない世界だったりもして。それに、今回のテーマは“未来”だけど、
SF映画ではないんですよね。今と地続きの世界でありながら、人工知能の存在がどこか不気味であるというリアリティを重視しました。

画像: HAVIT ART STUDIO 今野里絵

HAVIT ART STUDIO 今野里絵

ー小川あんさんは、ヨウが夢の中で出会う、祖母の若い頃、シナノを演じています。そもそもキャスティングはどういった経緯で?

今野: 
映画が初めてというのもあり、俳優さんにはあまり詳しくなかったんです。それで脚本をプロデューサーの藤井(道人)さんに見てもらっている時に「この子がいいんじゃない?」と薦められたのが、あんちゃんでした。SUMIREちゃんとのコントラスト感も良くて、ピッタリだと思いましたね。

小川あん(以下、小川:)
藤井さんと初めてご一緒したのは中学3年生ぐらいのときですね。当時は芝居のこともよくわかっていなくて、ただひたすら純粋に現場を楽しんでいた感覚でした。今20歳ですが、もしかしたら藤井さん、そのときのイメージをずっと抱いてくださっているのかも(笑)。でも今もそう思ってくれているということは、私にとってひとつの“挑戦”だなと思いました。

今野:
あんちゃんが演じたのは、なかなか難しいキャラクターだった気がします。ヨウが想像するおばあちゃんの若い頃といった設定で。難しい役どころだけど、シナノの未来のことは考えなくて良いって話をした気がします。

小川:
はい。リエさんに言われて腑に落ちたのが、「シナノはシナノとしてその場を生きたほうが輝く」って。ダンスホールでの踊りのシーンも、「今、この瞬間を楽しもう!」ということを純粋に身体で表現するだけなんだと気付いたら、自然と身体が動いていました。

画像1: 映画『LAPSE』公開記念 第1回「リンデン・バウム・ダンス」 HAVIT ART STUDIO 今野里絵監督×小川あん

ー小川さんは映画をご覧になっていかがでしたか。

小川:
今、いろいろなものが進化しているけど、その進歩に対して人間がどう向き合うかの課題は消えていない気がして。これから先も、また新しい問題が増えていくんじゃないかなって思うんです。『リンデン・バウム・ダンス』でも、延命治療の法律の課題をヨウがどう乗り越えるかが描かれているし。進化もするけど、同じぐらい、人間も常に考え、動き続けているんだなって思います。

今野 
あんちゃんはとても深い部分まで考えてくれました。作品世界を読み込んで質問してくれることで、自分にとっても色々な発見があった現場でした。

ー発見といえば、今回、今野監督にとっては初めての映画の現場でした。そういう意味で、何か新鮮な驚きなどはありましたか。

今野:
今まで作ったミュージックビデオは、パソコンやスマホで見たり、街中のディスプレイを遠目に見るぐらいだったんです。だから暗闇で大きなスクリーンでみんなで観る経験はほとんどなくて。試写で改めて実感したのは、すべてに対してごまかしが効かないということ。YouTubeでミュージックビデオを見るのと、大きなスクリーンの前に座って30分を預けるのは全く違う行為。薄々感じていたもののびっくりしましたね。

小川:
でも、完成したものはすごく素晴らしかったですよ。現場では、カメラに映るものすべてをリエさんも撮影監督さんもこだわっていて。実際の映像を見たら、人もモノも色合いもバランスが素敵でした。お2人が突き詰めた映像の美しさに、もう「はぁ〜」ってなりました。

画像: 小川あん [葉月シナノ]

小川あん[葉月シナノ]

今野:
ラストシーンの草原は良かったよね。

小川:
はい! もう本当に。

今野:
あの場面はイメージした通りのものにしないと、と思っていました。他のシーンは色々な制約でロケ地を変えることはあっても、あそこだけは妥協したくなかったので、いろいろ探して、最後は農場主の方に制作スタッフさんが直談判してくれました。

ーあのシーンの小川さんは、
それまでのキラキラした姿とは違う“母性”がにじみ出ていたように思います。

小川:
それは嬉しいです。母性はかなり意識しましたね。シナノはヨウと一緒に遊んではいたけれど、あくまでもヨウにとってはおばあちゃんであって。

ー友達に見えちゃダメですもんね。

小川:
そうですね。

今野:
友達のような、でもやっぱり、孫とおばあちゃんのような見え方は意識していたと思います。

小川:
話し方や話す速度で母性を出せるかなと思い、試行錯誤しました。

画像2: 映画『LAPSE』公開記念 第1回「リンデン・バウム・ダンス」 HAVIT ART STUDIO 今野里絵監督×小川あん

ー今後、人工知能が進化していくと人間の職業が無くなっていくかもしれないという説があります。監督は映像、小川さんは演技という、それぞれの表現活動に携わっていらっしゃいます。AIがこれからの表現にもたらすものをどのように考えていますか。

今野:
映像制作にも、人工知能を使ってできる作業もあると思うんです。AIにカットを刻ませて、出演者の良い表情を記憶させる、とか。だからセオリー通り、みたいな作り方は、これからはあまり意味がなくなるのかな、と思っています。

小川:
私たちは上手いものが見たいわけじゃない。それこそ“温度”を全く感じなくなると思うんですよね。不器用だからこそ、良いものがあると思うんです。

今野:
だから、曲を聴いた時に自分はこう感じたという温度感や、別の側面を捉えることは大事なんじゃないかなって。『リンデン・バウム・ダンス』の中でも、ヨウがおばあちゃんの写真を撮るシーンの後、AIが映るカットがあるんですが、そこには「人間が感じるような複雑な感情が機械なんかにわかるの?」という皮肉を込めました。

画像3: 映画『LAPSE』公開記念 第1回「リンデン・バウム・ダンス」 HAVIT ART STUDIO 今野里絵監督×小川あん

小川:
例えば、人工知能によってそうした複雑な感情に答えが出るようになってしまったらつまらないですよね。例えばなぜ映画に関わっているのか、大きくいうと、なぜ生きているのか。そういう人生の課題がうまく掴めないからこそ、私たちはいろいろ失敗を繰り返して成長していくものだと思うんです。その判断をAIに丸ごと持っていかれちゃったら、考えることすらしなくなって、機械人間みたいになっちゃう気がする。怖いですね。

今野:
でもSNSが始まったときも、最初はみんな面白がっていたのに、「あれ、なんだか怖い側面もあるね」ということに気づいて、使い方を考えるようになった気がします。だから人工知能が今後進化していっても、人間はどこかで上手く線引きをしていくんじゃないかなと……。そう信じたいですね。

小川:
あ、私は失くし物が多いから、自分の携帯を誰かが拾ったら「これはあなたのものではありません」みたいな警報が鳴るとか。そういう平和な使い方だったらいいかな(笑)。

画像4: 映画『LAPSE』公開記念 第1回「リンデン・バウム・ダンス」 HAVIT ART STUDIO 今野里絵監督×小川あん

ー最後に、この映画をどういった方に見ていただきたいか、メッセージをお願いします。

今野:
まだ生や死が現実味を帯びていないような、若い人たちにも観てもらいたいですね。ビジュアルや音楽に余白を持たせているので、それぞれが自由に捉えてもらえれば。

小川:
みんな未来については漠然と考えつつも、やっぱり実際に何が起こるのかを目の当たりにしないとわからない。『LAPSE』は未来を考えるきっかけになる作品。渋谷のスクランブル交差点の大画面で『LAPSE』を流して、立ち止まった人たちに「なんだ、これは!?」って盛り上がってもらいたいですね。

監督・脚本 HAVIT ART STUDIO
気がついたら名前だけがひとりでに歩き出し、
姿も形もわからないままの HAVIT ART STUDIO。
2013年頃から夜な夜なビデオカメラ片手に街へ繰り出し、ディレクションから撮影まで全てを一貫して行ってきた。
時にはグラフィックデザインやアート作品なども手がけ、常に”表現”そのものを追求している。
今まで撮影したミュージックビデオは250曲以上に及び、手がけたアーティストもKOHHやV6など多岐にわたる。
2017年、映像のさらなる可能性を求めてBABEL LABELに加入。
今作が映画デビューとなり、メンバーの今野 里絵が脚本・監督、大橋 尚広が撮影監督を務める。

小川あん[葉月シナノ]
1998年生まれ、東京都出身。
2014年「パズル」(内藤瑛亮監督)で映画デビュー。出演作は「天国はまだ遠い」(16/濱口竜介監督)、「ピンカートンに会いにいく」(18/坂下雄一郎監督)など。
2018年は「目頭を押さえた」で舞台初主演し、日清食品カップヌードルCM「HUNGRY DAYS最終回篇」で話題になった。
公開待機作に主演「スウィート・ビター・キャンディ」(中村祐太郎監督)、「あいが、そいで、こい」(柴田啓佑監督)がある。

映画『LAPSEラプス』予告編

画像: 映画『LAPSE ラプス』予告編/BABEL LABELが描く3篇の未来の物語【2.16公開】 youtu.be

映画『LAPSE ラプス』予告編/BABEL LABELが描く3篇の未来の物語【2.16公開】

youtu.be

志真健太郎 監督・脚本 『SIN』

出演:栁俊太郎、内田慈、比嘉梨乃、 平岡亮、林田麻里、手塚とおる

アベラヒデノブ 監督・脚本 『失敗人間ヒトシジュニア』

出演:アベラヒデノブ、中村ゆりか、清水くるみ、ねお、信江勇、根岸拓哉、深水元基

HAVIT ART STUDIO 監督・脚本 『リンデン・バウム・ダンス』

出演:SUMIRE、小川あん

監督:志真健太郎、アベラヒデノブ、HAVIT ART STUDIO
主題歌:SALU『LIGHTS』

撮影:石塚将巳/佐藤匡/大橋尚広 
照明:水瀬貴寛 
美術:遠藤信弥 
録音:吉方淳二 
音楽:岩本裕司/河合里美 
助監督:滑川将人 
衣装:安本侑史 
ヘアメイク:白銀一太/細野裕之/中島彩花 

プロデューサー:山田久人、藤井道人

製作:BABEL LABEL
配給:アークエンタテインメント

2019年2月16日よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開

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