1980年代の美術は、モダニズム美術に対する「反動」である。

1980年代の日本の現代美術に着目した独自の美術展が、国際国立美術館で開催中です。

80年代というと、昭和が終わり、平成が始まった年。(平成元年は1989年1月7日から)
その平成も今年で30年目で、来年には新しい元号がスタートします。

10年ひと昔、30年だとひと昔×3 な訳ですが、展覧会の企画者によれば、どこにも引っかからない古くも新しくもない、まだ歴史にならない時代なのだそうです。

確かに30〜40年前だと歴史と呼ぶほどの重みはないのかもしれません。
でも生まれたばかりの赤ん坊が成人式を迎えて大人として社会に仲間入りし、さらに円熟期を迎えるまでの道程と考えると、人生においてはそれなりの重みが感じられます。

以下、主催者による展覧会の趣旨です。

『皆さんは1980年代という時代に、どんな記憶やイメージをお持ちですか。
インターネットも携帯電話も普及していなかった不便で未成熟な時代?
それとも好景気に沸き、日本人に自信と活力がみなぎっていた時代?
そんな時代の現代美術をふり返るのが本展覧会です。

美術は時代を映し出す鏡のような存在ではないでしょうか。
当時の美術を見ることで、私たちはその時代の人々が何を考え、何を楽しみ、社会をどのように捉え、人生をどう生きていたのかを知ることができます。
そして、それは今を生きる私たちに、きっと多くの示唆を与えてくれることでしよう。

本展に出品される65名の作家による約100点の作品は、各々がそうした時代の息吹きを深く湛えながら、生き生きとしたメッセージを私たちに語りかけてくれるに違いありません。
どうぞ、その声に耳を傾けていただきながら、皆さんにとっての1980年代像を作り上げてみてください。』

80年代に生まれた方も、当時は子どもだった方も、青春真っ盛りだった方も、すでに円熟期を迎えておられた方も、そしてまだ生まれてすらいなかった方も、この機会に時代を振り返ると共に昭和最後の日本の現代美術の世界に触れてみませんか?

現代美術ってなんでもアリの自由な世界で、案外面白いですよ。

展示は2年ごとに区切って展開されています。

展覧会の最後には1980年代に起こった主な社会事項(事件)と美術関連事項が1年ごとにまとめられている年表 ↓ が展示されており、これを見るだけでも昭和最後の時代の流れが感じられて感慨深いです。

画像: 1980年代の年表 「ニュー・ウエーブ 現代美術の80年代」展示 photo©︎cinefil

1980年代の年表 「ニュー・ウエーブ 現代美術の80年代」展示
photo©︎cinefil

また、地下2階の展示室で同時開催中の「コレクション 2 : 80年代の時代精神(ツァイトガイスト)から」も、当日の入場券で観ることができるというお得仕様。(地下2階の展示のみ鑑賞することも可能。ただしその場合は独自の入館料が必要です。)
是非こちらもご一緒にお楽しみ下さい。

1980ー81年
70年代を風靡した概念芸術やミニマルアートは、いまだ実験の途上段階。

1980年代が幕を開けた。高度成長期の反動から、さまざまな社会問題が噴出した70年代が終わりを告げると、人々はこの新しい10年紀に明るい未来への希望を託した。。。

左)佐川晃司 《無題(3)》1980年 国立国際美術館蔵
右)佐川晃司 《無題(4)》1980年 国立国際美術館蔵
photo©︎cinefil

画像: 壁・左)鴫剛《無題 D》1981年 国立国際美術館蔵 壁・真ん中)加納光於《《胸壁にて》-Pu 》 1980年 国立国際美術館蔵 壁・右)辰野登恵子《WORK 80-P-19》1980年 国立国際美術館蔵 手前)若林奮《西壁の植物》1981年 国立国際美術館蔵 photo©︎cinefil

壁・左)鴫剛《無題 D》1981年 国立国際美術館蔵
壁・真ん中)加納光於《《胸壁にて》-Pu 》 1980年 国立国際美術館蔵
壁・右)辰野登恵子《WORK 80-P-19》1980年 国立国際美術館蔵
手前)若林奮《西壁の植物》1981年 国立国際美術館蔵
photo©︎cinefil

1982ー83年
現代美術界に「ニュー・ウェイブ」と呼ばれる新しい世代が台頭し始める。

80年代が、いよいよ80年代らしさを増した時期である。アイドル・ブームが起こり、テレビではバラエティ番組が人気を博した。83年には東京ディズニーランドが開園し、NHKでは朝の連続ドラマ「おしん」がブームとなった。。。

北辻良央《Work-RR2》1982年 和歌山県立近代美術館蔵

画像: 左壁)杉山知子《The Channel Plant》1982年 作家蔵 左台上)日比野克彦《BOLING SHOE》1982年 岐阜県立美術館蔵 真ん中台上)日比野克彦《SOCCER STADIUM》1982年 岐阜県立美術館蔵 右台上)日比野克彦《BJ.MACKEY》1982年 岐阜県立美術館蔵 photo©︎cinefil

左壁)杉山知子《The Channel Plant》1982年 作家蔵
左台上)日比野克彦《BOLING SHOE》1982年 岐阜県立美術館蔵
真ん中台上)日比野克彦《SOCCER STADIUM》1982年 岐阜県立美術館蔵
右台上)日比野克彦《BJ.MACKEY》1982年 岐阜県立美術館蔵
photo©︎cinefil

左)山倉研志《香り》1983年 兵庫県立美術館蔵
右)福嶋敬恭《ENTASIS》1983年 作家蔵
photo©︎cinefil

1984ー85年
「ニュー・ペインティング」の流れは、次第に若い世代へと浸透していき、絵画も彫刻も大型化。

日本にとって8年ぶりの参加となったロサンゼルス・オリンピックが、大きな盛り上がりを見せた84年。そして21年ぶりに優勝を飾った阪神タイガースでフィーバーした85年。80年代の真ん中は、社会全体がバブル前夜とも呼べる興奮に包まれていた。。。

松井紫朗《carved goblet with four masses》1984年 豊田市美術館蔵

左奥)中西學《THE ROCKIN'BAND : The Drummer》1985年 作家蔵
真ん中)中西學《THE ROCKIN'BAND : The Guitar Man》1985年 作家蔵
右)中西學《THE ROCKIN'BAND : The Bass Man》1985年 作家蔵
photo©︎cinefil

左)吉本作次《中断された眠り I》1985年 作家蔵
真ん中)宮﨑豊治《身辺モデル-類似比》1985年 国立国際美術館蔵
右)山部泰司《AIR-PLANT(85-8)》1985年 作家蔵
photo©︎cinefil

1986ー87年
新表現主義の完成度と共に、異なる新たな方向性の登場でより多様化した局面に。

急激な円高ドル安によって、いよいよバブルの足音が聞こえてきたのがこの時代であるが、世界は少しずつ軋みを上げ始めていた。その象徴がソ連、チェルノブイリの原発事故であった。日本でもいじめやアイドルの自殺が大きな問題となるなど、新しいタイプの社会問題が表面化していった。。。

画像: 左)神山明《僕が空へ行く船》1987年 個人蔵 真ん中)山本富章《Untitled》1986年 国立国際美術館蔵 手前)田嶋悦子《HIP GARDEN-Flower》1987年 大原美術館蔵 photo©︎cinefil

左)神山明《僕が空へ行く船》1987年 個人蔵
真ん中)山本富章《Untitled》1986年 国立国際美術館蔵
手前)田嶋悦子《HIP GARDEN-Flower》1987年 大原美術館蔵
photo©︎cinefil

画像: 左)関口敦仁《水仙女の落し物》1986年  作家蔵 真ん中)荒敦子《ドレス図》1986年  世田谷美術館蔵 右)鈴木省三《森 Ⅰ》1987年  東京国立近代美術館蔵 photo©︎cinefil

左)関口敦仁《水仙女の落し物》1986年 作家蔵
真ん中)荒敦子《ドレス図》1986年 世田谷美術館蔵
右)鈴木省三《森 Ⅰ》1987年 東京国立近代美術館蔵
photo©︎cinefil

1988ー89年
「シュミレーショニズム」や「ネオポップ」が生まれ、次なる枠組みが構築。

80年代の最後、そして昭和の最後となったこの時期。世の中は大きなうねりの中にあった。バブル景気は、いよいよ人々の実感するところとなり、空前の好景気に沸き立った。。。

左)黒川弘毅《Golem 40》1989年 国立国際美術館蔵
右)小田英之《スペクタクル(2018バージョン)》1989年 作家蔵
photo©︎cinefil

左壁)堀浩哉《風の声-21》1989年 国立国際美術館蔵
真ん中壁)中村功《意勢11》1988年 東京国立近代美術館蔵
右壁)館勝生《dei andere seite》1988年 個人蔵
左手前)池垣タダヒコ《series"old-melancholy"Ⅶ「untitled」》1989年 作家蔵
右端)石原友明《 I.S.M.(スカート)》1988年 国立国際美術館蔵
photo©︎conefil

関連行事

講演会①
「関西ニュー・ウェイブと80年代美術」
講師)山部泰司(本展出品作家)
日時)12月22日(土)14:00~
場所)国立国際美術館 B1階 講堂
※ 参加無料、先着130名、当日10:00から整理券を配布します。

講演会②
「アートはこんなにヤワコい ― 80年代は別格だね」
講師)篠原資明(高松市美術館館長)
日時)12月23日(日・祝) 14:00~
場所)国立国際美術館 B1階 講堂
※ 参加無料、先着130名、当日10:00から整理券を配布します。

講演会 ③
「現代美術の曲がり角 追憶の80年代」
講師)安來正博(国立国際美術館主任研究員)
日時)1月12日(土) 14:00~
場所)国立国際美術館 B1階 講堂
※ 参加無料、先着130名、当日10:00から整理券を配布します。

ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代
開催概要

会場)国立国際美術館 B3階
〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-2-55

期間)2018年11月3日(土・祝)〜2019年1月20日(日)

開館時間)10:00 〜17:00 ※金曜・土曜は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)

休館日)月曜日(ただし、12月24日及び1月14日は開館し、翌日休館)、年末年始(12月28日(金)〜1月4日(金))

観覧料)一般900円(600円) 大学生500円(250円)
※( )内は20名以上の団体料金  
※ 高校生以下・18歳未満無料(要証明)
※ 心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
※ 本料金で、同時開催の「コレクション2」もご覧いただけます。
※ 夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の17:00〜20:00)一般700円 大学生400円

主催)国立国際美術館
協賛)ダイキン工業現代美術振興財団
助成)安藤忠雄文化財団

《出品作家》
朝比奈逸人、荒敦子、五十嵐彰雄、池垣タダヒコ、石原友明、小田英之、郭徳俊、加納光於、神山明、川島慶樹、川俣正、河原温、北辻良央、北山善夫、橘田尚之、木下佳通代、黒川弘毅、剣持和夫、小林正人、坂口正之、佐川晃司、鴫剛、杉山知子、鈴木省三、諏訪直樹、関口敦仁、高山登、田窪恭治、田嶋悦子、館勝生、辰野登恵子、中川佳宣、長沢秀之、中西學、中原浩大、中村功、中村一美、根岸芳郎、野田裕示、野村仁、畑祥雄、日比野克彦、平林薫、福嶋敬恭、福田美蘭、舟越桂、文承根、堀浩哉、松井紫朗、松井智惠、松尾直樹、松本陽子、宮﨑豊治、森村泰昌、百瀬寿、山倉研志、山部泰司、山本富章、横尾忠則、横溝秀実、吉澤美香、吉野辰海、吉原英里、吉本作次、若林奮(五十音順)

同時開催
コレクション 2
80年代の時代精神(ツァイトガイスト)から

欧米における1980年代は、絵画に再び注目が集まった時代として記憶されています。
当時、画家たちが直面した問いを要約すれば、「表現」「解釈」「制作」の再考であったといえるでしょう。
今回のコレクション展は80年代絵画を起点としつつ、これら3つの問いを、より広い視野からとらえなおします。

はじめに 1980年代の時代精神

画像: 左)アンゼルム・キーファー《星空》1995年 右)ゲオルク・バゼリッツ《ケーニッヒ夫妻の肖像》1970-71年 photo©︎cinefil

左)アンゼルム・キーファー《星空》1995年
右)ゲオルク・バゼリッツ《ケーニッヒ夫妻の肖像》1970-71年
photo©︎cinefil

第1章 あらためて、表現すること

画像: 奥)ブルース・マクレーン《バレエ、ブリⅠのための習作》1981年 手前)ジョージ・シーガル《瓦礫の壁》1970年 photo©︎cinefil

奥)ブルース・マクレーン《バレエ、ブリⅠのための習作》1981年
手前)ジョージ・シーガル《瓦礫の壁》1970年
photo©︎cinefil

第2章 あらためて、解釈すること

画像: 左)堀内正和《のどちんことはなのあな》1965/76 真ん中)ジャン=ピエール・レイノー《自刻像》1980年 右)エルヴィン・ヴルム《無題》2008年 photo©︎cinefil

左)堀内正和《のどちんことはなのあな》1965/76
真ん中)ジャン=ピエール・レイノー《自刻像》1980年
右)エルヴィン・ヴルム《無題》2008年
photo©︎cinefil

第3章 あらためて、制作すること

画像: 左)坂本夏子《階段》2016年 真ん中・対)ヴァルダ・カイヴァーノ《無題》2009年 右)ヴァルダ・カイヴァーノ《無題》2007年 photo©︎cinefil

左)坂本夏子《階段》2016年
真ん中・対)ヴァルダ・カイヴァーノ《無題》2009年
右)ヴァルダ・カイヴァーノ《無題》2007年
photo©︎cinefil

〈ギャラリー・トーク〉
講師)福元崇志(国立国際美術館研究員)
日時)1月13日(日) 14:00~
場所)国立国際美術館 B2階 展示室
※ 参加無料(要観覧券)、当日13:30から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出します(先着90名)

〈入館案内〉
場所)国立国際美術館 B2階
会期)2018年11月3日(土・祝)〜 2019年1月20日(日)
開館時間)10:00 〜17:00 金曜・土曜は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日)月曜日(ただし、12月24日及び1月14日は開館し、翌日休館)、年末年始(12月28日(金)〜1月4日(金))
同展は同時開催の「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」展の観覧券でご観覧いただけます。

独自の観覧料)一般 430円(220円) 大学生 130円(70円)
 ※( )内は20名以上の団体料金
 ※ 高校生以下・18歳未満・65歳以上無料(要証明)
 ※ 心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
 ※ 夜間割引料金  (対象時間:金曜日・土曜日の17:00 〜20:00)一般250円 大学生70円

無料観覧日) 1月5日(土)

主催)国立国際美術館
協賛)ダイキン工業現代美術振興財団

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」展プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2018年12月22日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。

抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

This article is a sponsored article by
''.