話題沸騰中の「京都ヒストリカ国際映画祭」。
今年は10周年の記念すべき年でもあるため、力の入れ方もスペシャル仕様!

連日上映している日本で未公開の海外の歴史映画の新作も素晴らしい作品ばかりなのでどれも本当に見逃せませんが、あえてここは日本映画のご紹介を!

何しろ日本映画の発祥の地であるここ京都で、今、まさに日本の黄金時代の映画が連日上映されているのですから!これを見逃す手はありません。

今回掘り下げてご紹介するのは、沢島忠監督の「殿さま弥次喜多」。

(C)東映

この映画、1960年の作品。(生まれてない!)
題名だけでは面白さが伝わりにくいのが残念。

何しろ主演二人の若殿さま(中村錦之助・中村賀津雄)の逃避行に、お家騒動、ドタバタ喜劇、大立ち回りのチャンバラ、お約束の悪の大老まで加わり、ラブコメのヒロインには昭和の大スター・美空ひばりを配するという豪華キャストで面白要素全部を詰め込んだ、痛快娯楽アクション大活劇なのに、ね。

画像2: (C)東映

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私なら紹介文に
「暴れん坊将軍誕生の前日譚発見!」
とか
「8代将軍誕生の貴重な秘話が今ここに!」
な〜んて書くかな。

画像3: (C)東映

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物語の出だしはこう。
徳川治世の江戸時代、8代将軍の候補にあがった仲良し二人組、尾州の若殿・徳川宗長と紀州の若殿・徳川義直が、共に将軍職を嫌い、江戸城にのぼる途中でまんま逃げ出し、江戸の町に弥次さん喜多さんという町人に化けて紛れ込みます。

この二人、どうやらトンズラの常習犯で、主演の二人のセリフ、「弥次さん、喜多さんで、またいっちょ行きますか」って、明らかに続きモノやん!
調べてみたら案の定、「殿さま弥次喜多」の3部作の最終章で、その前に同じ監督で「殿さま弥次喜多 怪談道中」、「殿さま弥次喜多 捕物道中」ってあるんですよね。(次回は是非3部作でお願いします!)
でもこの1作だけでも十分わかるし楽しめる作品に仕上がっているのが凄い!

ここに次期将軍決定のニュースを狙うかわら版の各版元たち(版元の一人の女社長が美空ひばり。弥次喜多の二人はひょんなことからここに潜り込み、社員として働くことに)の特ダネ争いと、将軍家を牛耳ろうと企む悪者の大老が絡んで、ドタバタの大騒動に!

若殿に逃げられた尾州紀州の家老たちも切腹の危機にも。なのに当の弥次喜多の二人は呑気なもんで、逃げるためなら暴れる暴れる!その大立ち回りが実に見事なんです!

そこに、男女逆転バージョン「日本版ローマの休日」要素も加わって、ヒーロー・ヒロインの報われることのない淡い恋模様にもキュンキュンしちゃうなんて、盛り込みすぎじゃない?ってぐらいの大サービス!

これぞ日本の時代劇!
セットも小道具も背景も違和感なく、何より出演者全員の着物姿や所作がぴったりハマっている!
スピード感あり、立ち回りの見せ場あり、歌ありで、しかも主演の二人がいい男で、ヒロインたちがおキャンでキュートとなると、これはもう観るっきゃないでしょう!

えっ?肝心の暴れん坊将軍はどうやって決めたかって?
それはナイショ、観てのお楽しみ!

是非、京都ヒストリカ国際映画祭へ足を運んで楽しんで下さい。
今ならまだ間に合います!
     
              by 阪口美佐(現地リポーター)

画像4: (C)東映

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あらすじ

八代将軍の候補に選ばれた尾州宗長(中村錦之助)紀州義直(中村賀津雄)は退屈な殿さま稼業は真っ平ゴメン!隙あらば逃げ出そうとする殿さまを両家の家老は駕籠に縛りつけて江戸に向かう。そこに次期将軍の特ダネを狙う瓦版屋は宿舎になだれ込んで大混乱。ドサクサに飛び出した二人はお君(美空ひばり)社長の瓦版屋に潜り込む。紀州、尾州に加え、二人を葬ろうとする老中が入り乱れた挙句、いつもハズし放しのお君の父(大河内伝次郎)が大芝居を打つ。

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