上野の国立西洋美術館において「ルーベンス展-バロックの誕生」が2019年1月20日まで、開催されています。

ペーテル・パウル・ルーベンスの名は、わが国では名作アニメ『フランダースの犬』によって知られています。そう、主人公ネロが一目見たいと望み続け、最終回にはその前で愛犬パトラッシュとともにこと切れる、聖母大聖堂の祭壇画の作者です。しかし本場西洋では、ルーベンスの方が圧倒的に有名です。バロックと呼ばれる壮麗華美な美術様式が栄えた17世紀ヨーロッパを代表する画家であり、後に「王の画家にして画家の王」と呼ばれたほどの存在なのです。本展覧会はこのルーベンスを、イタリアとのかかわりに焦点を当てて紹介するものです。

画像: 《セネカの死》 ペーテル・パウル・ルーベンスと工房 1615 / 16年 油彩/カンヴァス マドリード、プラド美術館 ©Madrid, Museo Nacional del Prado

《セネカの死》
ペーテル・パウル・ルーベンスと工房
1615 / 16年
油彩/カンヴァス
マドリード、プラド美術館
©Madrid, Museo Nacional del Prado

イタリアは古代美術やルネサンス美術が栄えた地であり、バロック美術の中心地もローマでした。また、当時はローマがヨーロッパの政治の中心でもありました。フランドルのアントウェルペンで育ったルーベンスは、幼いころから古代文化に親しみ、イタリアに憧れを抱きます。そして1600年、ついに彼はイタリアの土を踏み、08年まで滞在してこの地の美術を吸収することで、自らの芸術を大きく発展させたのです。フランドルに帰郷後も彼はたえずイタリアの美術を参照し、また手紙を書くときはイタリア語を用いるなど、心のなかにイタリアを保ち続けました。一方で、若い頃からきわめて有能だったルーベンスは、イタリアの若い画家たちに多大な影響を与え、バロック美術の発展に拍車をかけたと考えられます。ジョヴァンニ・ランフランコやジャン・ロレンツォ・ベルニーニ、ピエトロ・ダ・コルトーナといった盛期バロックの立役者となった芸術家たちは、ルーベンス作品との出会いによって表現を羽ばたかせた可能性があります。また17世紀末のルカ・ジョルダーノらは、ルーベンスから多くの刺激を受けました。

画像: 《聖アンデレの殉教》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1638-39 年 油彩/カンヴァス マドリード、カルロス・デ・アンベレス財団 Fundación Carlos de Amberes, Madrid

《聖アンデレの殉教》
ペーテル・パウル・ルーベンス
1638-39 年
油彩/カンヴァス
マドリード、カルロス・デ・アンベレス財団
Fundación Carlos de Amberes, Madrid

本展はルーベンスの作品を、古代彫刻や彼に先行する16世紀のイタリアの芸術家の作品、そして同時代以降のイタリア・バロックの芸術家たちの作品とともに展示します。ルーベンスがイタリアから何を学んだのかをお見せするとともに、彼とイタリア・バロック美術との関係を解きほぐし、明らかにすることを目指します。これまでわが国では何度かルーベンス展が開催されてきましたが、この画家とイタリアとの双方向の影響関係に焦点を当てた展覧会は、初の試みとなります。ルーベンスとイタリア・バロック美術という、西洋美術のふたつのハイライトに対する新たな眼差しのあり方を、日本の観衆に与える最良の機会となることでしょう。

画像: 《眠るふたりの子供》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1612-13 年頃 油彩/板 東京、国立西洋美術館

《眠るふたりの子供》
ペーテル・パウル・ルーベンス
1612-13 年頃
油彩/板
東京、国立西洋美術館

本展は7章構成となっています。

Ⅰ ルーベンスの世界 Rubens’s Personal World

Ⅱ 過去の伝統 The Traditions of the Past

Ⅲ 英雄としての聖人たち―宗教画とバロック Saints as Heroes: Sacred Painting and the Baroque

この章では宗教主題を特集します。
ルーベンスは宗教画に快楽的かつ古典的な性格を与えました。
ルーベンスの作品を、彼が参考にした作品や彼が影響を与えたイタリアの作品とともに展示します。

画像: 《キリスト哀悼》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1601~02年 油彩/カンヴァス ローマ、ボルゲーゼ美術館 Ministero dei beni e delle attività culturali e del turismo – Galleria Borghese

《キリスト哀悼》
ペーテル・パウル・ルーベンス
1601~02年
油彩/カンヴァス
ローマ、ボルゲーゼ美術館
Ministero dei beni e delle attività culturali e del turismo – Galleria Borghese

Ⅳ 神話の力1―ヘラクレスと男性ヌード The Power of Myth 1: Hercules and the Male Nude

この章は男性ヌードに焦点を当てます。
ルーベンスは《ファルネーゼ家のヘラクレス》などの古代彫刻に理想の男性像を見出しました。
ルーベンス以降のイタリアの画家たちによる男性ヌードも数多く展示します。

Ⅴ 神話の力2―ヴィーナスと女性ヌード The Power of Myth 2: Venus and the Female Nude

女性ヌードを特集します。
ここでは女性ヌードを題材とする全身像の古代彫刻を、ルーベンスやイタリアの画家たちの絵画作品と同じ空間に展示します。

画像: 《ヴィーナス、マルスとキューピッド》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1630年代初めから半ば 油彩/カンヴァス ロンドン、ダリッジ絵画館 Lent by Dulwich Picture Gallery, London.

《ヴィーナス、マルスとキューピッド》
ペーテル・パウル・ルーベンス
1630年代初めから半ば
油彩/カンヴァス
ロンドン、ダリッジ絵画館
Lent by Dulwich Picture Gallery, London.

Ⅵ 絵筆の熱狂 A Forious Brush

この章は「絵筆の熱狂」という言葉に沿って展開します。
この言葉はルーベンスの伝記作者たちによって記されたもので、彼の作品がかもしだす生き生きとして濃密な動きをうまく表現しています。

画像: 《パエトンの墜落》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1604-05年頃、おそらく1606-08年頃に再制作 油彩/カンヴァス ワシントン、ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Patron's Permanent Fund, 1990.1.1

《パエトンの墜落》
ペーテル・パウル・ルーベンス
1604-05年頃、おそらく1606-08年頃に再制作
油彩/カンヴァス
ワシントン、ナショナル・ギャラリー
National Gallery of Art, Washington, Patron's Permanent Fund, 1990.1.1

Ⅶ 寓意と寓意的説話 Allegory and Allegorical Narration

ルーベンスの描いたその他の神話主題を、古代彫刻とともに展示します。
これらの作品は、彼が古代彫刻の表現のみならず、古代文学にも精通していたことを物語っており、彼の造形が知性に根差したものであることを伝えてくれます。

画像: 《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1615-16 年 油彩/カンヴァス ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション ©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》
ペーテル・パウル・ルーベンス
1615-16 年
油彩/カンヴァス
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション
©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

画像: 《マルスとレア・シルウィア》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1616-17年 油彩/カンヴァス ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション ©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

《マルスとレア・シルウィア》
ペーテル・パウル・ルーベンス
1616-17年
油彩/カンヴァス
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション
©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

こちらがアニメ「フランダースの犬」のネロが愛犬パトラッシュとともに最期に見た聖母大聖堂の祭壇画の様子です。

画像: 《聖母大聖堂》 ベルギー・フランダース政府観光局提供

《聖母大聖堂》
ベルギー・フランダース政府観光局提供

画像: 《フランダースの犬》 © NIPPON ANIMATION CO., LTD.

《フランダースの犬》
© NIPPON ANIMATION CO., LTD.

今秋はネロにも思いを馳せながら、しばしイタリア・バロック美術に浸る一時をお過ごしください。

開催概要

会期:2018年10月16日(火)〜2019年1月20日(日)
会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
   東京都台東区上野公園7の7
開館時間:9時30分〜17時30分
    (金曜、土曜は20時まで。ただし11/17は17時30分まで)
     ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし12/24、1/14は開館)、12/28〜1/1、1/15
主催:国立西洋美術館、TBS、朝日新聞社
後援:ベルギー大使館、イタリア大使館、ベルギー・フランダース政府観光局、BS-TBS、TBSラ
   ジオ
特別協賛:大和証券グループ
協賛:NISSHA株式会社、あいおいニッセイ同和損保、三井物産、東日本旅客鉄道株式会社、シュガ
   ーレディグループ
協力:アリタリア、日本貨物航空、日本航空、日本通運、ルフトハンザカーゴ AG、
   ルフトハンザ ドイツ航空、西洋美術振興財団
ルーベンス展公式サイト:http://www.tbs.co.jp/rubens2018/
国立西洋美術館サイト:http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

チケット

観覧料 (税込)  一般     大学生   高校生
当日      1,600円   1,200円   800円
団体      1,400円   1,000円   600円

チケット販売場所:国立西洋美術館(開館日のみ)、チケットぴあ、TBSチケBOO!、他主要プレイガイド(手数料がかかる場合がございます。)
中学生以下無料。
心身に障害のある方とその付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください)。
団体は20名以上。

お得な企画チケット

アートとグルメの極上の時間
ルーベンス展―バロックの誕生 × 脇屋友詞Turandot 臥龍居 × シュガーレディグループ

国内外で高い評価を集める脇屋友詞シェフと、食品メーカー・シュガーレディグループとのコラボイベントを開催します。
バロックの巨匠、ルーベンスとはどんな画家なのか?
どうやって展覧会を楽しめばいいのか?美術展の楽しみ方や、絵画鑑賞のコツを名だたる講師陣が3回にわたってお伝えし、アートレクチャー後には出品作品にインスピレーションを受けた脇屋友詞シェフ × シュガーレディ厳選素材によるオリジナルコースをご堪能ください。

講演会情報

日時:2018年11月24日(土)14:00~15:30
幸福輝(美術史家・慶應義塾大学講師)
「ルーベンスとフランドル絵画におけるロマニズムの伝統」

日時:2018年12月8日(土)14:00~15:30
渡辺晋輔(本展監修者・国立西洋美術館主任研究員)
「ルーベンスとイタリア美術」

参加方法

会場:国立西洋美術館講堂(地下2階)
定員: 各回先着130名(聴講無料。ただし聴講券と本展の観覧券(半券可)が必要です。)
   当日12:00より、館内インフォメーションにて、本展の観覧券をお持ちの方お一人につき一枚
   聴講券を配付します。
    会場へは開演の30分前からご入場いただけます(整理番号順)。
   ※講演会のタイトル、内容等は変更となる場合があります。

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「ルーベンス展」プレゼント係宛てに
メールでご応募ください。
抽選の上10組20名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2018年11月11日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。

抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

This article is a sponsored article by
''.