滋賀県にあるMIHO MUSEUMで、茶杓を取り上げた興味深い展覧会が開催中です。

茶杓といえば、少しでも茶道を嗜んだ者にとってはお馴染みの茶道具の一つですが、正直茶杓だけでの展覧会など実現するのだろうか?と思っていました。

ところが内容を見てビックリ!
実に奥の深い催しでした。
ただ、茶道を少々習った程度の私のような素人には全く手に負えない分野なので、美術館の案内を中心にご紹介致します。

知る人ぞ知る、意外で魅力的な世界の一端を、あなたも是非垣間見て楽しんで下さい。

茶杓とは

茶杓とは、茶器に入った抹茶を掬い、茶碗に入れるための茶道具の一種です。

一見とてもシンプルな一片の匙にも関わらず、「茶杓は人なり」と称せられ、古くから大切 に扱われてきました。
そのシンプルな形ゆえに、作る人の美意識や人柄が映し出され ているからでしょう。

明治維新以後、近代日本の政財界を牽引した名だたる実業家たちは、その美意識と財力によって美術品を蒐集し、茶の湯の場において数寄者として親交を深めました。その交流の証の一つに自ら作った茶杓を贈りました。

同展は、池田瓢阿氏(竹芸家)の監修のもと、千利休や小堀遠州など近代茶杓の礎となった近世(安土桃山時代〜江戸時代)の茶杓を通した交友も回顧しつつ、三井財閥を支えた益田鈍翁を中心に、高橋箒庵、小林逸翁など東西の近代数寄者約30名が作った茶杓を展覧します。

また、近代に活躍した上村松園などの女性のほか、谷崎潤 一郎や川喜田半泥子など文化人・芸術家らによる茶杓もあわせて合計120余点を展示し、なぜ茶杓を作るのか、その魅力とは何かを探ります。あわせて、茶杓以外の自作道具やゆかりの蒐集品約80点も展観し、当時の数寄者の茶の湯の一端をご覧いただきます。

明治以降、新生日本の経済だけでなく、文化面においても新たな風を巻き起こした 偉人たちの存在を、茶杓を通じてたどります。

※ 会期中一部展示替えあり

展示される茶杓の作者一覧

千利休三井華精新島八重吉川英治
古田織部三井高棟上村松園高原杓庵
千宗旦三井泰山柳原白蓮堀口捨己
小堀遠州三井小柴庵堀越宗圓田山方南
片桐石州三井高昶村山玄庵小森松菴
松浦鎮信馬越化生嘉納鶴翁板谷波山
松平不昧野崎幻庵住友春翠川喜田半泥子
益田鈍翁高橋箒庵小林逸翁橋本関雪
愈好斎聴松藤原暁雲野村得庵朝倉文夫
安田松翁松永耳庵大谷心斎堂本印象
平瀬露香畠山即翁杉木普斎中川一政
石黒况翁横井夜雨近衛文麿荒川豊蔵
益田非黙富田宗慶水谷川紫山加藤唐九朗
益田紅艶高橋蓬庵北村謹次郎岡橋三山
江月宗玩森川如春庵正木直彦河瀬無窮亭
三井高福大田垣蓮月谷崎潤一郎金重陶陽

※ほぼ展示順(一部展示替えあり)

第一章 近代の茶杓 贈り筒を中心に

桃山時代の天正年間(1573-1591)、千利休によって「侘び」の美意識を軸とした茶の湯が大成され、茶人自らが作った茶杓が新たな価値をもちはじめます。以来、茶杓には作り手の思いが込められ、その美意識を象徴する道具として浸透していきました。

本章では、利休時代からはじまる近世の茶人たちが残した茶杓の中から、交流のわかる贈り筒(送り先の宛名が書付されている筒)の添った茶杓を中心にご覧いただきます。

 元祖茶人と言えばこの人、千利休作の茶杓 ↓
 歴史上の重要人物が作った実物を拝めるなんて、それだけで至福のひと時です。

千利休作 茶杓 銘「タヽイエ様参」
安土桃山時代 北村美術館蔵
展示:10/20~11/11

第二章 益田鈍翁 近代数寄者の大立者

明治維新以後、近代日本の政財界を牽引した実業家たちは、茶の湯を新たな形で再興します。
彼らは古社寺や 諸大名家から流出した重宝類を蒐集し、それらを茶の湯 の場に取り込んでいきました。その中心人物の一人に、 創成期の日本経済を動かし、三井財閥を支えた益田鈍翁 (孝)(1848-1938)がいます。

本章では鈍翁の茶杓とともに、ゆかりの品々を展示し 鈍翁の美意識の一端を垣間見ていただきます。
あわせて、 近代の黎明期に活躍した数寄者たちと鈍翁の二人の弟の茶杓をご紹介いたします。

画像: 沙門地獄草紙 解身地獄  鎌倉時代 (益田鈍翁旧蔵) MIHO MUSEUM蔵 展示:11/13~12/2

沙門地獄草紙 解身地獄  鎌倉時代 (益田鈍翁旧蔵) MIHO MUSEUM蔵
展示:11/13~12/2

画像: 益田非黙作 黒茶碗 銘「翁さひ」 展示:全期間

益田非黙作 黒茶碗 銘「翁さひ」
展示:全期間

第三章 益田鈍翁を中心とする関東・中京における数寄者の茶杓

近代数寄者の牽引者である益田鈍翁は、近世の茶人がしたように、自ら作った茶杓を茶友に贈ります。また、それに影響された他の数寄者も同じように自ら茶杓を作ったため、 近代において個性豊かな茶杓の世界が広がりました。

本章では鈍翁の主人ともいうべき三井家の人々の茶杓のほか、近代数寄者の茶の湯を押し広めた高橋箒庵、茶の湯界 の風雲児森川如春庵など、鈍翁と親交のある関東と中京の数寄者たち16名が作った茶杓に加え、ゆかりの茶道具を展示いたします。

益田鈍翁作 茶杓 歌銘「年暮」 昭和13年(1938)
展示:全期間

第四章 女性による茶杓

本章では、江戸時代末期から昭和時代に生きた5名の女性による茶杓をご紹介いたします。
立場や生き方は違いますが、女性の権利が弱い時代に男性の世界であった茶の湯を嗜んだ彼女たちの茶杓は、強くしなやかに生きた女性の象徴といえるで しょう。

 女流画家の上村松園作の茶杓 ↓
 絵が上手い人は字も美しいですね。

上村松園作 茶杓 銘「蜻蛉」
展示:全期間

第五章 関西における数寄者の茶杓

関西にも著名な数寄者が少なからず存在し、彼ら主催の茶会が数多く開催され、互いの茶を楽しんだようです。

本章では、関西を中心に活躍した住友春翠など9名の数寄者の茶杓をご覧いただくとともに、昭和6年12月15日、小林 逸翁が永田町の自邸に高橋箒庵を招いた茶会の道具組を展示いたします。

画像: 小井戸茶碗 銘「六地蔵」 朝鮮時代 泉屋博古館分館蔵 展示:全期間

小井戸茶碗 銘「六地蔵」 朝鮮時代 泉屋博古館分館蔵
展示:全期間

第六章 文化人の茶杓

近代において、茶の湯は日本を代表する一つの文化として評価されはじめ、文化人の中には流派の家元や数寄者と交流し、茶の湯を嗜む人々もでてきました。

東京美術学校(東京藝術大学の前身)の校長を務めた正木直 彦は日本美術の一つとして学術的に茶道具を評価し、自身の茶杓を人に贈っています。
また、小説家の谷崎潤一郎は茶杓に銘を認め、陶芸家の板谷波山も茶杓を作り贈っています。

本章で 紹介する学者や画家など15人の茶杓は、余技と一言で片づけるには惜しいほどの個性にあふれています。

 谷崎潤一郎作の茶杓 ↓
 銘が「細雪」となっています。かの小説を思って作ったのでしょうか?

谷崎潤一郎作 茶杓 銘「細雪」 逸翁美術館蔵
展示:全期間

関連プログラム

【講演会】
11月17日(土)14:00~15:30
「近代数寄者とは」(予定)
講師)熊倉 功夫(くまくら・いさおMIHO MUSEUM館長)
会場)南レクチャーホール
定員)100名 (予約不要。当日美術館棟受付にて整理券配布)
参加無料(入館料要)

秋季特別展II「百(もも)の手すさび 近代の茶杓と数寄者往来」
開催概要

会場)MIHO MUSEUM
〒529-1814 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
TEL.0748-82-3411

開催期間)2018年(平成30年)10月20日(土)〜12月2日(日)

開館時間)午前10時〜午後5時 【入館は午後4時まで】

休館日)毎月曜日

入館料)一般   1100円
    高・大生  800円
    小・中生 300円
【20名以上の団体は各200円割引】

主催)MIHO MUSEUM、京都新聞
後援)滋賀県、滋賀県教育委員会、NHK大津放送局、BBCびわ湖放送、 エフエム京都

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「百のてすさび展」プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上10組20名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、
公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2018年11月20日 24:00 水曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
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