「春画」と「妖怪画」というキワモノのテーマ2つを一緒に開催しちゃうという、摩訶不思議な展覧会が京都の細見美術館で開催中です。
しかも題が、『描かれた「わらい」と「こわい」展ー春画・妖怪画の世界ー』って。
妖怪画の「わらい」と「こわい」はなんとなくわかるとして、春画のそれってどうなの?というのが素朴な疑問。
ここは好奇心旺盛の精神でのぞいてみるとしましょう。

まずは「春画」と「妖怪画」についてちょっとおさらいを。

と、その前に。。。
こちらの展覧会は18歳未満は入館不可(美術館・ショップ)です!
大人のための展覧会です!

「春画」と「妖怪画」について

「春画」とは江戸時代に描かれた浮世絵の中で性描写があるものをそう呼んだものです。

2014年、イギリスの大英博物館で「春画展」が開催され大成功をおさめてから、日本国内でも「春画」は日本が誇る芸術の一つだと認識され、にわかにクローズアップされてきました。

それを受けて、2015年には東京の永青文庫で、2016年には京都の細見美術館で「春画展」が開催され、それぞれ話題をさらいます。

本来、春画というのは決して特別なものではなく、役者絵、美人絵、名所絵などと並ぶ江戸時代に流行した浮世絵のジャンルの一つで、江戸の庶民風俗を生き生きと面白おかしく描く風俗画の一つでした。
当然、浮世絵師なら誰でも春画を描いていたわけで、実際に菱川師宣、鈴木春信、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳などといった一流の浮世絵師たちによる作品も数多く知られています。
ただ一流絵師の春画作品は、構図が凝っていたり版が美しかったりと隠しきれない才能が溢れ出し、やはりどの分野でも絵描きの技量の差が如実に出るようです。

性を扱う春画ですが、大英博物館の春画展では入場者中のほとんどの女性に好評だったし(入場者の男女比はやや女性の方が上回っていたそうです)、日本国内の展覧会でも女性たちの反応は「不快感がない」「意外とあっさりしている」などと好意的な感想が多いそうです。
「春画」は「枕絵」や「笑い絵」とも言われ、大勢でワイワイ楽しむこともあったとか。また絵自体も他の多くの風俗画と同じであっけらかんとしているからそう感じるのかもしれませんね。

それにしても、元は庶民が楽しむ江戸の大衆文化の一つだったものが、西欧で「素晴らしい!芸術だ!」と騒がれた途端にあっという間に日本国内でも芸術作品に昇格するなんて。
まあ、日本映画でもアニメでも、海外で大絶賛された途端、日本に逆輸入されて再評価されることがままありますけど。

    錦絵の第一人者、鈴木春信の春画。↓ さすが巨匠、絵が繊細で綺麗! 
                      。。。こらこら、何のぞいてるの?

鈴木春信 「風流座敷八景」(部分) 国際日本文化研究センター蔵 《1期》《2期》

「妖怪画」に至ってはもっと不思議なジャンルです。
人でないもの、奇怪なもの、この世にあらざるもの、架空のものたちを描く妖怪画は、平安時代の絵巻にはすでに登場していたそうです。それがジャンルとして定着しているということは、長く人々に愛されているからなのでしょう。

何しろ妖怪は恐ろしい存在だけではなく、時として実に人間臭い魅力に溢れた描かれかたをしています。
現代においても、古くは「ゲゲゲの鬼太郎」から、最近の「妖怪ウオッチ」まで、いまだに色褪せないモチーフの一つです。(アニメ版の鬼太郎は時代を経ながら現在で第6シリーズ目まで作られています。)

いつの時代も怖いもの見たさや、他人の不幸は蜜の味、の心理が働くのでしょうか?
その他人が妖怪ならば、容赦なく痛めつけたり、物笑いの種にしたり、悪者に仕立て上げたりして気軽に楽しめるのかもしれません。

画像: 北斎季親 「化物尽絵巻」(部分) 国際日本文化研究センター蔵 《1期》《2期》《3期》《4期》

北斎季親 「化物尽絵巻」(部分) 国際日本文化研究センター蔵 《1期》《2期》《3期》《4期》

趣旨文
ー貴重な日文研コレクションを初公開!

中世から近世にかけて、日本人は絵巻や浮世絵で日常のなかの目に見えるもの、あるいは形なきものを視覚化してきました。日常の「表と裏」、「この世とあの世」。そこは今以上に境目があいまいな世界が広がっています。

今回の細身美術館は、*日文研コレクション所蔵の「春画」と「妖怪画」より精選された約150点を通して、「わらい」と「こわい」という一見相反するテーマのもと、恐怖と笑いが地続きで繋がる前近代の豊かな日常をみていきます。(掲載の作品は全て日文研所蔵)

ナルホド、趣旨はよくわかりました。
取り敢えず、続きを観てみましょう。

まずは展覧会のイントロダクションから。

*日文研とは、昨年創立30周年を迎えた「国際日本文化研究センター」の略称で、1987年日本文化に関する国際的・学術的な総合研究と世界の日本研究者に対する研究協力・支援を行うことを目的に設置されました。

イントロダクション

「春画」といえば、あるいは「妖怪画」といえば、どのようなイメージが浮かぶでしょうか。
人の性を描くもの、異形や怪異を描くもの。一見、この二つは全く異なるものとみなされるかもしれません。しかし、春画や妖怪画をながめていると「わらい」と「こわい」という言葉が浮かび上がってきます。
性を誇張して描き出す春画には思わず笑みをこぼしてしまうこともあります。また時に春画は人の死をためらいなく描き、見ている者に「性」とは「死」とは何かを突きつけます。

それは妖怪画についてもいえるでしょう。
人々を怖がらせる鬼や幽霊も、人と同じように振る舞って笑いを誘う妖怪も多様な「妖怪画」の登場人物たちです。

「わらい」と「こわい」は相反するもののように思えますが、それらは表裏というよりは隣り合わせに存在するようにも思われます。人は自分の理解、知識、常識の範疇から大きく外れたものに出会った時、思わず笑ってしまったり、あるいは恐怖を覚えたりするのではないでしょうか。

地続きに広がっている春画と妖怪画の世界をどうぞお楽しみください。

    お化粧中(?)の妖怪。↓ みんな楽しそうで可愛らしい!

[英一蝶] [妖怪絵巻](部分) 国際日本文化研究センター蔵 《1期》

今回の展示は、このイントロダクションを含めて7つのテーマで分類しています。
会期中、展示替えもあります。
世界初公開の「俳諧女夫まねへもん」の展示もあります。
是非お見逃しなく!

生・性・死

人はどのように生まれ、生き、死んでいくのか。人生の様々な側面を、人間、動物、幽霊などとの交わりからみていきます。

   妖怪の見合いと婚礼、出産、初宮参りまでを描いています。↓
   人間と似ているようで微妙に違う化物の生活がユーモラスに表現されています。 

狢穴住 「化物婚礼絵巻」 肉筆・巻子本  国際日本文化研究センター蔵 《1期》《2期》《3期》《4期》
photo©︎cinefil

復讐する幽霊/退治される妖怪

幽霊・妖怪は日常に潜むもの。一方で、猛々しい武者たちによって劇的に退治される存在でもあります。そしてときに妖怪退治の絵は、春画にも題材を提供していました。

 有名な「酒呑童子」が首だけになって襲ってくる一場面。↓
鬼は日本では昔からよく登場する妖怪。それが実在の人物と同じ空間で戦っている図はなんともシュール。
それにしても色合いが鮮やかで美しい!

歌川芳艶 「大江山酒呑退治」大判錦絵 国際日本文化研究センター蔵 《1期》《2期》《3期》《4期》
photo©︎cinefil

不思議な生き物 /おかしな生き物

妖怪画、春画には空想を含め多様な生き物が描かれています。その愛らしい、あるいは奇妙な姿をながめていきます。

寒がりのタヌキは自分の八畳敷きで暖をとります。↓ そんなアホな!

歌川国芳 「さむがり狸 初午のたぬき」 大判絵巻 国際日本文化研究センター蔵 《1期》
photo©︎cinefil

おおらかな信仰

古来、日本における性と信仰の結びつきは強い。また、病や災い、あるいは地獄といった見えないものを視覚化した絵画も多く描かれました。ここでは様々な信仰の様相が垣間見える表現を紹介します。

「日本書紀」の国産神話によると、日本という国は男女の二柱の神が天の瓊鉾(ぬぼこ)で海をかき回して島を作り、その後その島に下り、まぐわいによって国を産み出したそうです。
こちらは天の浮橋に立つ伊邪那岐命・伊邪那美命の男女二神 ↓ が描かれており、伊邪那岐命の手には天の瓊鉾が描かれています。鳥は二神に男女交合を教えた鶺鴒。
国のスタート地点からしてなんておおらかな!

柳川重信「天野浮橋」 色刷・大本 国際日本文化研究センター蔵  《1期》《2期》
photo©︎cinefil

虫下しの薬の袋に描かれているのは病の原因とされた「腹の虫」。
こんな薬の袋ならもらってみたい! ↓

絵師未詳 「引札(セメンエン)』 墨摺・一枚絵 国際日本文化研究センター蔵  《1期》《2期》
photo©︎cinefil

戯れ

現代の私たちにとって意外かもしれませんが、日本の春画には「笑い」があふれています。性にまつわる滑稽な人間のやりとり、誇張された性器、古典や現代文化を題材にしたパロディ。読者を笑わせる方法はバラエティに富んでいます。ここでは、妖怪画にみられる笑いも紹介します。

〈世界初公開!「俳諧女夫まねへもん」〉
浮世草子・浮世絵の題材・画題として描かれてきた「豆男もの」の一つである本組物は、仙薬などによって体の小さくなった男女が、様々な閨房(寝室)をのぞいて色道修行をする趣向で描かれた鈴木春信「風流艶色真似ゑもん」の続編です。

左端に小さい女性がちょこんと座って男女の営みをじっと見ています。おいおい。

磯田湖龍斎 「 俳諧女夫まねへもん」中判錦絵組物 国際日本文化研究センター蔵  《1期》《2期》
photo©︎cinefil

なんとも可愛い妖怪たち ↓

画像: 山本光一 「滑稽百鬼夜行絵巻」(部分) 国際日本文化研究センター蔵 《1期》《2期》《3期》《4期》

山本光一 「滑稽百鬼夜行絵巻」(部分) 国際日本文化研究センター蔵 《1期》《2期》《3期》《4期》

おもちゃ絵―妖怪で遊ぶ、性で遊ぶ

幕末になると子ども向けに様々な玩具絵が作られ、その中で妖怪は人気のモチーフの一つでした。さらに、そのフォーマットを応用して、大人向けの玩具絵も登場します

子どものおもちゃ絵。↓ 妖怪画は今も昔も子どもに大人気!

真野暁亭 「東都千社納札大会披露」 国際日本文化研究センター蔵 《3期》《4期》

こちらは大人向けの可動式の春画 ↓
障子をめくると男女の姿全体が現れ、下部にあるつまみで人物を動かすことができます。
こんな艶っぽい仕掛絵本、初めて見ました。

絵師未詳「初桜色の雛がた」豆版錦絵・仕掛絵 国際日本文化研究センター蔵 
《1期》《2期》《3期》《4期》
photo©︎cinefil

今回のテーマの「わらい」と「こわい」は、最初いくら説明を読んでも正直ピンときませんでした。
でも実際に展示を観てみると、ストンと納得。

春画は案外ツッコミどころ満載で面白いです!
そして確かに「不快感がない」。
妖怪画も人間臭くて面白いです。
そしていつの時代も人間は怖いです。下手すると妖怪よりも。。。

テーマがテーマだけに、載せきれない画像もたくさんあります。
百聞は一見にしかず、是非現地へと足を運んで、ご自分の目でお確かめ下さい。
意外とハマる、奥深くて濃い世界です。

描かれた「わらい」と「こわい」展 ー春画・妖怪画の世界ー
開催概要

会場)細見美術館
〒606-8342 京都市左京区岡崎最勝寺町6-3

会期 )2018年10月16日(火)~12月9日(日)
※展示替有り・再入場不可
1期:10月16日(火)~10月28日(日)  
2期:10月30日(火)~11月11日(日)  
3期:11月13日(火)~11月25日(日)
4期:11月27日(火)~12月9日(日)

休館日)月曜日

開館時間)午前10時~午後6時 (毎週土曜日は午後8時まで)
※入館は閉館の60分前まで

入館料)1,500円(1,400円)

18歳未満は入館不可ですので、受付にて、年齢のわかるものをご提示いただく場合があります。
※( )内は20名以上の団体料金
※ 障がい者の方は、障がい者手帳などのご提示でご優待
 (一般:1,500円→1,400円)

主催)細見美術館、日本文化研究センター 、京都新聞
広報協力)MBS
協力)青幻舎プロモーション

相互優待のご案内

【京都国立近代美術館と細見美術館 】
京都国立近代美術館の観覧券をご提示頂けますと、団体料金にてご入館頂けます。
また、細見美術館の入館シールまたは友の会メンバーズカードを京都国立近代美術館にてご提示頂ければ、京都国立近代美術館で開催中の展覧会を割引料金にてご観覧頂けます。
※ 展覧会によっては、優待が適用されない場合がございます。詳しくは各窓口までお問合せ下さい。

【京都市美術館と細見美術館 】
京都市美術館の観覧券をご提示頂けますと、団体料金にてご入館頂けます。
また、細見美術館の入館シールまたは友の会メンバーズカードを京都市美術館にてご提示頂ければ、京都市美術館で開催中の展覧会を割引料金にてご観覧頂けます。
※ 展覧会によっては、優待が適用されない場合がございます。詳しくは各窓口までお問合せ下さい。
※ 2017年4月から京都市美術館本館は休館となり、別館のみ開館しています。

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「わらいとこわい展」プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に、
ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2018年11月17日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。

抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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