東京展のチラシの絵は、東山魁夷の代表作の一つ、《道》です。
東山魁夷42歳の作品です。
実際に見た風景画ではなく、象徴の道なのだそうです。
真っすぐに伸びる道は、観る人それぞれの心の中の方向性を表しているようです。

東京では10年ぶりの大回顧展

お待たせいたしました!
「生誕110年 東山魁夷展」が、いよいよ京都から東京へとやって参ります。

東京での大回顧展は実に10年ぶりですが、今回は京都展でも話題沸騰の、かの鑑真和上が建立した奈良の唐招提寺の「御影堂障壁画」の再現展示がじっくりとご覧頂けます。

この機会をぜひお見逃しなく!

全6章で、戦前の3作品を含む代表作から絶筆までの名品を網羅

明治41年(1908)、横浜に生まれた東山魁夷は、幼少期から少年期までを神戸で過ごした後、東京美術学校に進学、卒業し、昭和8年(1933年)にドイツ留学を果たし、のちの画業につながる大きな一歩を踏み出します。しかしその後太平洋戦争に応召され、終戦前後に次々と肉親を失い、空襲により自宅までも失うという苦境に立たされます。

しかしそうした苦難のなか風景の美しさに開眼し、清澄で深い情感をたたえた風景画により戦後の日本画の世界に大きな足跡を残しました。
自然と真摯に向き合い、思索を重ねながらつくりあげたその芸術世界は、日本人の自然観や心情までも反映した普遍性を有するものとして評価されています。

同展は氏の生誕110年を記念し、戦後の日本を代表する「国民的画家」と謳われた東山魁夷の画業を代表作でたどるとともに、現在補修工事中の奈良県の唐招提寺御影堂より特別にお貸し頂いた、東山芸術の記念碑的大作「唐招提寺御影堂障壁画」を再現展示します。

また、東京展のみ、戦前の作品3点も展示されます。

明治、昭和、平成の移りゆく激動の時代に生きた東山魁夷の創作の全貌を年代別に全6章に分け、壮大な障壁画を含む約70件の名品によってご紹介いたします。
心ゆくまでご堪能ください。

第1章 国民的風景画家

人生のどん底にいた東山は、昭和22年(1947年)に《残照》で日展の特選を受賞します。
この作品が後に国民的風景画家と呼ばれるようになる出発点になります。

画像: 《残照》東山魁夷 1947年 額装 紙本彩色 151.5x212.0cm 東京国立近代美術館蔵

《残照》東山魁夷 1947年 額装 紙本彩色 151.5x212.0cm 東京国立近代美術館蔵

日本中を写生して回り、その特徴を残しつつも普遍化された氏の作品は、日本の風景に慣れ親しんだ人々の心に素直に響く風景画になっており、やがて「国民的風景画家」あるいは「国民的画家」と呼ばれるようになります。

第2章 北欧を描く

昭和37(1962)年、心の中の豊かさが薄れてくるように感じた氏は、若い頃からの憧れの地であった北欧に旅立ちます。そこで厳しい中にも優しくて柔らかい色彩に触れ、ご本人曰く「息を吹き返し」、帰国後、幻想的で清澄な絵を生み出します。
そこに青色が多用されていたこともあって「青の画家」というイメージが生まれました。

画像: 《冬華》東山魁夷 1964年 額装、紙本彩色 203.0×163.5cm 東京国立近代美術館蔵

《冬華》東山魁夷 1964年 額装、紙本彩色 203.0×163.5cm 東京国立近代美術館蔵

空にあるのは『太陽』です。
北欧の空気感をも写し取ったような透明感のある作品です。

第3章 古都を描く・京都

智積院の桃山時代の障壁画に感銘を受け、京都の美しさに魅了され、いつか京都を描きたいと思っていた氏は、親交のあった作家の川端康成より「京都を描くなら今のうち」と古都の景観を描き残して欲しいと勧められ、古都、京都を描きます。

画像: 《花明り》東山魁夷 1968年 額装、紙本彩色 126.5×96.0cm 株式会社大和証券グループ本社蔵

《花明り》東山魁夷 1968年 額装、紙本彩色 126.5×96.0cm 株式会社大和証券グループ本社蔵

京都の東山を背景にした祇園円山公園の枝垂れ桜と満月を描いた大作《花明り》。
静寂の中にも幻想的な雰囲気の、魅惑的なひときわ目を惹く作品です。

第4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア

先の京都シリーズを公表した翌年、ドイツ、オーストリアに旅立った氏は、ここでは圧倒的に街並みや建物を多く描いています。
どれも日本画家が描いたとは思えないような作風で、氏の画力の幅の深さの魅力に感嘆しつつも異色の風景画を大いに楽しめます。

第5章 唐招提寺御影堂障壁画

構想から10年を費やして完成させた東山芸術の集大成です。

東山魁夷は昭和45年(1970年)の暮れに奈良の唐招提寺から、開山・鑑真和上の像を安置する御影堂障壁画制作と御厨子内部装飾の依頼を受け、熟考の末、翌年正式に受諾しました。

大和朝廷の要請を受け、5度の渡航失敗を経て失明するも、6度目にしてようやく日本の地に辿りついた鑑真和上。
その鑑真が見たかったであろう日本の風景を描こうと、氏は日本の風景画を描くために改めて日本中を巡り、取材し、新たに2000枚以上もスケッチし、そこから障壁画にふさわしい構図を依頼主と検討、小下図→中下図→実物大と3度も下図を描きながら構図を練り直し、昭和50年には第一期の仕事として奉納します。

使った顔料は群青と緑青。
新たな息吹が始まる早朝の色で、深閑とした奥深い色なのだとか。
清々しくも瑞々しい空気感が伝わる絵です。

画像: 唐招提寺御影堂障壁画のうち《濤声》(部分)東山魁夷 1975年 襖、紙本彩色 178.4×279.0cm 唐招提寺蔵

唐招提寺御影堂障壁画のうち《濤声》(部分)東山魁夷 1975年 襖、紙本彩色 178.4×279.0cm 唐招提寺蔵

《濤声》↑ は海の代表の絵。鑑真の渡航の苦労を慮り、波は穏やかに描いたのだそうです。

《山雲》↓ は山の代表の絵。鑑真が見たかったであろう静寂をたたえた奥深い緑で描きます。

画像: 唐招提寺御影堂障壁画のうち、《山雲》(部分)東山魁夷 1975年 床貼付・襖 紙本彩色 唐招提寺蔵

唐招提寺御影堂障壁画のうち、《山雲》(部分)東山魁夷 1975年 床貼付・襖 紙本彩色 唐招提寺蔵

そして、鑑真の御厨子を取り囲むように設置される松の間と、その両隣にあたる梅の間と桜の間には、鑑真の故郷である中国の絵を描こうと、中国を3年に亘って3回訪問し、鑑真の出身地である揚州の風景《揚州薫風》と、第5回渡航に失敗した鑑真が1年間滞在した桂林の風景《桂林月宵》と、僧の修行の地である黄山(東山自身命がけで登ったらしい)の風景《黄山暁雲》をそれぞれの襖に描きます。画家人生初の水墨画にも挑戦し、55年に完成、第二期として奉納します。

日本の緑で描いた襖絵も中国の水墨画のような墨一色の襖絵もどちらも素晴らしく、同じ画家が描いたとは思えないほどそれぞれに味があり、いつまでも眺めていたいほどです。

先にも述べましたが、奈良県にある唐招提寺御影堂が現在修復中なので、障壁画の全68面をお借りすることができました。
当然のことながら、現地に行っても当分の間は観ることができません。
美術館の中なので、作品として明るい状態で、しかもごくごく真近で見られます。
本当に画像では伝えきれない、圧倒的な迫力と静寂と美しさを兼ね備えています。
今がチャンスです!是非足を運んで実物をご覧ください。

〈間奏〉白馬のいる風景

『東山魁夷=白馬』のイメージを思い描く人も多い白馬を描いた作品シリーズですが、実は昭和47年の一年間だけ出てきた全く新しいモチーフで、唐招提寺の障壁画を描くことになった時に生まれたんだそうです。
氏自身は、障壁画を描くにあたって偶然ではなく必然的に生まれた、自らの「祈り」の現れであろう、と後に語っておられます。

画像: 《緑響く》東山魁夷 1982年 額装、紙本彩色 84.0×116.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

《緑響く》東山魁夷 1982年 額装、紙本彩色 84.0×116.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

この《緑響く》だけが1982年作となっているのは、その年のパリでの展覧会の為に所在不明になった元の作品を、作者自らが再制作した為なんだそうです。
氏にとってはそれだけ思い出深い作品だそうです。
緑青の森の中に神聖な空気を醸し出す白馬が映える、凛とした美しい作品です。

第6章 心を写す風景画

主題に囚われずに描いた晩年の作品群です。

70歳を超えた氏は新たに写生に出ることも難しくなりますが、これまでに見つめてきた無数の風景と描いてきたスケッチをもとに迷いなく制作を続けます。そうして生み出された作品は、特定の地から離れ、自らの心の中に形作られた風景を描いたものとなり、これまで以上に鮮やかに自由自在に輝きを増していきます。

画像: 《白い朝》東山魁夷  1980年 額装、紙本彩色 147.0x205.0cm 東京国立近代美術館蔵

《白い朝》東山魁夷  1980年 額装、紙本彩色 147.0x205.0cm 東京国立近代美術館蔵

東山作品にしては珍しく一羽の鳥が印象的に描かれている作品、《白い朝》。
凍てつく寒さにの中の鳥の後ろ姿になぜかホッとさせられる、そんな不思議な感情を抱かせる一枚です。

画像: 《夕星》東山魁夷 1999年 額装、麻布彩色 66.0×100.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

《夕星》東山魁夷 1999年 額装、麻布彩色 66.0×100.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

東山魁夷の絶筆《夕星》。
氏の夢の中でしか存在しない風景でありながら、どこか懐かしさを感じる風景。
「ここが最後の憩いの場になるのではとの感を胸に秘めながら」制作されたそうです。
平成11年、90歳。
静寂に包まれた中に光る一番星が印象的な作品です。

生誕110年 東山魁夷展(東京)
開催概要

会場)国立新美術館 企画展示室2E 
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2

会期)2018年10月24日(水)~12月3日(月)

休館日)毎週火曜日

開館時間)10:00~18:00
※ 毎週金・土曜日は 20:00まで
※ 入場は閉館の30分前まで

観覧料(税込)
当日)1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生)
前売/団体) 1,400円(一般)、1,000円(大学生)、600円(高校生)

※ 中学生以下および障害者手帳をご持参の方(付添いの方1名含む)は入場無料。
※ 11月23日(金・祝)、24日(土)、25日(日)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)
※ 前売券は2018年9月4日(火)~10月23日(火)までの販売。ただし、国立新美術館では10月22日(月)まで。

お問い合わせ)03-5777-8600(ハローダイヤル)

主催)国立新美術館、日本経済新聞社、テレビ東京、BSテレビ東京
特別協賛)大和証券グループ
協賛)大和ハウス工業、凸版印刷、トヨタ自動車、パナソニック、三井物産
特別協力)唐招提寺
協力)長野県信濃美術館 東山魁夷館

関連イベント

「窓と帽子―東山魁夷の芸術を読み解く」
講師)野地耕一郎(泉屋博古館 分館長)
日時)2018年11月10日(土)13:00〜14:00(12:30開場)
開場)国立新美術館3階講堂
*定員260名(先着順、申込不要)
*聴講は無料ですが、本展または「改組 新 第5回 日展」の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

cinefil読者プレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「東山魁夷 東京展」プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2018年11月3日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
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抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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