京都では30年ぶりの大回顧展

明治41年(1908)、横浜に生まれた東山魁夷は、幼少期から少年期までを神戸で過ごした後、東京美術学校に進学、卒業し、ドイツ留学ののち太平洋戦争への応召、肉親の相次ぐ死といった試練に見舞われます。
しかしそうした苦難のなか風景の美しさに開眼し、清澄で深い情感をたたえた風景画により戦後の日本画の世界に大きな足跡を残しました。
自然と真摯に向き合い、思索を重ねながらつくりあげたその芸術世界は、日本人の自然観や心情までも反映した普遍性を有するものとして評価されています。

本展は氏の生誕110年を記念し、戦後の日本を代表する「国民的画家」と謳われた東山魁夷の画業を代表作でたどるとともに、現在補修工事中の奈良県の唐招提寺御影堂より特別にお貸し頂いた、東山芸術の記念碑的大作「唐招提寺御影堂障壁画」を再現展示します。

また今回の京都展のキャッチコピーである『本当の「あお」に出会う』を体感できる、日本の古来からの「あお」を表す緑がかった「緑青」が絵の随所に散りばめられた、どこか懐かしい色彩が溢れる実に印象的な展覧会です。

京都では30年ぶりに開催される本格的な大回顧展、実物はどれも本当に美しく、写真画像には限界があると認めざるを得ません。
是非肉眼でお楽しみ下さい。

戦後の代表作から平成の絶筆までを6章にわたり紹介

同展では代表作の《残照》や《道》といった風景画の名作のほか、ヨーロッパや京都の古都を描いた風景画や、《緑響く》などの作品に登場する幻想的な白馬が描かれた風景画を含む約80点と、特別展示の「唐招提寺御影堂障壁画」の再現展示を6章に分けて展示しています。

第1章 国民的風景画家

日本中を写生して回り、その特徴を残しつつも普遍化された氏の作品は、日本の風景に慣れ親しんだ人々の心に素直に響く風景画になっており、やがて「国民的風景画家」あるいは「国民的画家」と呼ばれるようになりました。

画像: 《道》東山魁夷 1950年 額装、絹本彩色 134.4×102.2cm 東京国立近代美術館蔵

《道》東山魁夷 1950年 額装、絹本彩色 134.4×102.2cm 東京国立近代美術館蔵

代表作の一つ、《道》。
東山魁夷42歳の作品です。
実際に見た風景画ではなく、象徴の道なのだそうです。
真っすぐに伸びる道は、観る人それぞれの心の中の方向性を表しているようです。

第2章 北欧を描く

昭和37(1962)年、氏は北欧旅行で取材した風景に想を得て、帰国後、幻想的で清澄な絵を生み出します。
そこに青色が多用されていたこともあって「青の画家」というイメージが生まれました。

画像: 《冬華》東山魁夷 1964年 額装、紙本彩色  203.0×163.5cm 東京国立近代美術館蔵

《冬華》東山魁夷 1964年 額装、紙本彩色 203.0×163.5cm 東京国立近代美術館蔵

空にあるのは『太陽』です。
北欧の空気感をも写し取ったような作品です。

第3章 古都を描く・京都

智積院の桃山時代の障壁画に感銘を受け、京都の美しさに魅了され、いつか京都を描きたいと思っていた氏は、親交のあった作家の川端康成より「京都を描くなら今のうち」と古都の景観を描き残して欲しいと勧められ、古都、京都を描きます。
京都の開催地ならではの作品群をご堪能下さい。

画像: 《花明り》東山魁夷 1968年 額装、紙本彩色 126.5×96.0cm 株式会社大和証券グループ本社蔵

《花明り》東山魁夷 1968年 額装、紙本彩色 126.5×96.0cm 株式会社大和証券グループ本社蔵

京都の東山を背景にした祇園円山公園の枝垂れ桜と満月を描いた大作《花明り》。
静寂の中にも幻想的な雰囲気の魅惑的な作品です。

左上)《あぶり餅》東山魁夷 1964-66年 額装、紙本彩色 33.9x39.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館
左下)《三玄院露地》東山魁夷 1964-66年 額装、紙本彩色 31.0x44.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館
真ん中上)《街道の家》東山魁夷 1964-66年 額装、紙本彩色 31.0x44.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館
真ん中下)《小道具屋》東山魁夷 1964-66年 額装、紙本彩色 27.0x41.5cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館
右上)《砂紋》東山魁夷 1964-66年 額装、紙本彩色 27.0x41.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館
右下)《蔦もみじ》東山魁夷 1964-66年 額装、紙本彩色 27.0x41.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館
photo@cinefil

3年の歳月をかけて地図を頼りに京都を歩き回り、京都の街並みを描いた「京洛四季」のスケッチの連作。
どこか懐かしい風情漂う京都がそこにあります。

第4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア

先の京都シリーズを公表した翌年、ドイツ、オーストリアに旅立った氏は、ここでは圧倒的に街並みや建物を多く描いています。
日本画家?と思うような作風で、氏の画力の幅の深さの魅力に感嘆しつつも異色の風景画を大いに楽しめます。

左)《丘の上のローテンブルク》東山魁夷 1971年 額装、紙本彩色 59.0x99.8cm 個人蔵
右)《石の窓》東山魁夷 1971年 額装、紙本彩色 114.0x166.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館
photo@cinefil

ゴツゴツした石の壁や異国の建物なのに、なぜか懐かしさや温かみが感じられる優しい作品群です。

第5章 唐招提寺御影堂障壁画

構想から10年を費やして完成させた東山芸術の集大成です。

先にも述べましたが、奈良県にある唐招提寺御影堂が現在修復中なので、障壁画の全68面をお借りして再現しています。
当然のことながら、現地に行っても当分の間は観ることができません。
美術館の中なので、作品として明るい状態で、しかもごくごく真近で見られます。
本当に圧倒的な迫力です。
今がチャンスです!
どうぞお見逃しなく!

画像: 唐招提寺御影堂障壁画のうち《濤声》(部分)東山魁夷 1975年 襖、紙本彩色 178.4×279.0cm 唐招提寺蔵

唐招提寺御影堂障壁画のうち《濤声》(部分)東山魁夷 1975年 襖、紙本彩色 178.4×279.0cm 唐招提寺蔵

こんな感じ ↓ で再現展示されています。

唐招提寺御影堂障壁画のうち《山雲》(部分)東山魁夷 1975年 襖、紙本彩色 唐招提寺蔵
photo@cinefil

第5章 〈間奏〉 白馬のいる風景

『東山魁夷=白馬』のイメージを思い描く人も多い白馬を描いた作品シリーズですが、実は昭和47年の1年間だけ出てきたモチーフだそうで、唐招提寺の障壁画を描くことになった時に生まれたんだそうです。
氏自身は、障壁画を描くにあたって偶然ではなく必然的に生まれた、自らの「祈り」の現れであろう、と後に語っておられます。

画像: 《緑響く》東山魁夷 1982年 額装、紙本彩色 84.0×116.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

《緑響く》東山魁夷 1982年 額装、紙本彩色 84.0×116.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

この《緑響く》だけが1982年作となっているのは、その年のパリでの展覧会の為に所在不明になった元の作品を作者自らが再制作した為なんだそうです。
氏にとってはそれだけ思い出深い作品だそうです。
緑青の森の中に神聖な空気を醸し出す白馬が映える、凛とした美しい作品です。

第6章 心を写す風景画

主題に囚われずに描いた晩年の作品群です。

画像: 《行く秋》東山魁夷 1990年 額装、紙本彩色 114.0×162.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

《行く秋》東山魁夷 1990年 額装、紙本彩色 114.0×162.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

紅葉の足元だけで深まる秋が表現されたこの《行く秋》は、白や青の多い絵の中でひときわ印象に残る鮮やかな色彩です。

画像: 《夕星》東山魁夷 1999年 額装、麻布彩色 66.0×100.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

《夕星》東山魁夷 1999年 額装、麻布彩色 66.0×100.0cm 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

東山魁夷の絶筆《夕星》。
「ここが最後の憩いの場になるのではとの感を胸に秘めながら」制作されたそうです。
平成11年、90歳。
静寂に包まれた中に光る一番星が印象的な作品です。

「東山魁夷」京都展
開催概要

会場)京都国立近代美術館
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町26-1

会期)2018年8月29日(水)~ 10月8日(月・祝)
   前期:8月29日(水)〜 9月17日(月・祝)
   後期:9月19日(水)〜 10月8日(月・祝)

*作品保護のため、会期中、一部作品に展示替えがあります。

開館時間)午前9時30分~午後5時
ただし金曜日、土曜日は午後9時まで開館
*入館は閉館の30分前まで

休館日)毎週月曜日、9月18日(火)、9月25日(火)
※ただし9月17日(月)、9月24日(月)、10月8日(月・祝)は開館

観覧料)一般:1500円(1300円)
    大学生:1100円(900円)
    高校生:600円(400円)

※( )は団体料金で 20名以上から。
※ 中学生以下は無料。
※ 心身に障がいのある方と付添者1名は無料(入館の際に証明できるものをご提示下さい)。
※ 本料金でコレクション展もご覧いただけます。

主催)京都国立近代美術館、日本経済新聞社、テレビ大阪

特別協賛)大和証券グループ

協賛)岩谷産業、大和ハウス工業、凸版印刷、トヨタ自動車、パナソニック、三井物産

特別協力)唐招提寺

協力)長野県信濃美術館 東山魁夷館

問合せ)TEL (075) 761-4111

巡回)東京展:国立新美術館 2018年10月24日(水)~12月3日(月)

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「東山魁夷 京都展」プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2018年9月8日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
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   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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