「ラスト・ワルツ」を知り尽くす音楽評論家の萩原健太氏と、「ラスト・ワルツ」を生で見た生き証人である音楽評論家の天辰保文氏が、「ラスト・ワルツ」とザ・バンド、ボブ・ディランなどの超豪華登場アーティスト達、そしてあの時代を、あらゆる角度から語る音楽トーク。
40年経った今だから語れる驚愕の初出しエピソードの数々が披露された。この一夜限りの激レアなスペシャルイベントを、レポートしました。

【 日時 】 4/18(水) 19:30スタート 
【 会場 】 渋谷cocotiビル4階 東京カルチャーカルチャー
【 出演 】 
 萩原健太 (音楽評論家)
 天辰保文 (音楽評論家・「ラスト・ワルツ」を生で見た生き証人!)

主催: 渋谷cocoti 
映画上映館:ヒューマントラストシネマ渋谷 
トーク会場・制作・運営:東京カルチャーカルチャー 
協力:ブロードウェイ/アダンソニア

画像: 【 日時 】 4/18(水) 19:30スタート 【 会場 】 渋谷cocotiビル4階 東京カルチャーカルチャー 【 出演 】 萩原健太 (音楽評論家) 天辰保文 (音楽評論家・「ラスト・ワルツ」を生で見た生き証人!)

トークイベントレポート

4月14日(土)から絶賛公開中の映画『ラスト・ワルツ』。その公開を記念して、上映劇場であるヒューマントラストシネマ渋谷の下階にある「東京カルチャーカルチャー」にて、音楽評論家の萩原健太氏、同じく音楽評論家で「ラスト・ワルツ」を生で見たという天辰保文氏がゲストとして、作品について語った。会場は満員御礼で人が溢れるほどの盛況となった。

いきなり萩原氏から「ラスト・ワルツを生で見たなんで、本当に羨ましい!」と水を向けられた天辰氏は、「1976年は、自分も勤めていた会社をやめて、ぶらぶらしていたときだった。そんなとき、当時某会社でボブ・ディランの担当をしていた友人からの電話で、このライブのことを知った。あのときは、来日していたのはニール・ヤングだけだったから、それ以外のアーティストは、まだ来日していなくて。でも、すごいメンバーがどんどん出てきて、『なんだかすごいものを見てしまった!』というのが率直な感想ですね」と当時を振り返った。

画像1: 左より萩原健太氏 (音楽評論家) 天辰保文氏 (音楽評論家)

左より萩原健太氏 (音楽評論家) 天辰保文氏 (音楽評論家)

萩原氏に「実際にライブを体験した立場から、映画はどう思う?」と尋ねられると、天辰氏は「別物ですよね。映画は編集もされていて、実際の曲順ではないし、時間だって短くまとめられているから、正確にはドキュメントとは言えないかもしれない。でも、会場で気づかなかったことをたくさん見せてくれる。例えば、ニール・ヤングの登場シーンのとき、ジョニ・ミッチェルが舞台袖のほうでコーラスをつけているんだけど、あれは会場では見えなかった。また、スポットライトをうまく使っていて、どのシーンも本当にカッコいいですよね」と語った。

画像1: トークイベントレポート

「一番印象に残ったゲストは?」と萩原氏が尋ねると、天辰氏は「ニール・ヤングは本当にはしゃいでいるのが分かって。僕も好きだったから嬉しかった。映画ではカットされているんだけど、最後ジャムセッションをしたときに、スティーブン・スティルスと最後に肩を組んで退場したところを見たときは、あの二人はずっとライバルで、しかもその頃は一緒にやるツアーをニールが途中で辞めて険悪の時期でもあったから、 『いいもの見たな』って嬉しかったね。ジョニ・ミッチェルも、本当にかっこよかった。あのメンバーの中で3曲も演奏していて。ディランだって4曲なんだから、あの扱いもすごい」と振り返ると、萩原氏も「なんか、みんなジョニに気に入られようとしている男の子たちみたい(笑)」と客席を沸かせた。

また、「ラスト・ワルツで演奏された中で、一番印象的な曲」として萩原氏が挙げたのは、(映画ではカットされているんだけど)ヴァン・モリソンが歌った「アイルランドの子守唄」が演奏されるシーン。「なんてことない、フツーの歌なんですよ。でも、それをアイルランド出身のヴァンがとてもソウルフルに歌って。あと、ザ・バンドはカナダ出身だけど、同じカナダ出身のニール・ヤングとジョニ・ミッチェルをコーラスに迎えて歌う「アケイディアの流木」とか。みんな自分たちのルーツをしっかり意識しているんだなって気づかされて。「ルーツに対する素直なアプローチ」に感動する」と語った。

画像2: トークイベントレポート

「ラスト・ワルツ」は、そもそも「ザ・バンド」のロビー・ロバートソンが、グループの解散コンサートとして企画したイベントだった。
なぜ、あのタイミングで解散したのか?萩原氏が「ウィンターランド・ボールルームは、もともとスケートリンクだったんですよね。そこで5,400名収容という大規模なコンサートをやった。1976年といえば、イーグルスが『ホテル・カリフォルニア』で、ロックは金儲けの道具になっていてスピリットを失っている、とまるで内部告発みたいなアルバムを出した年だった。1975年くらいまでは、スタジオにはミュージシャンとエンジニアしかいなかったけど、それ以降は弁護士もいるようになった(笑)なんて言われますよね。ちょうどロックが大きなビジネスになっていく時代だったから、「ラスト・ワルツ」自体が、そうした時代の変化の象徴だったし、ロビー・ロバートソンはきっとそれが分かっていたから、このまま同じことを続けていても仕方ないと思ったんじゃないかな」と当時の空気も交えて述べると、天辰氏も「僕自身もそうだったけど、どんどん変わっていくことへの恐れはありました。だけど、じゃあ、それが何かの終わりだったかと言えば、そんなことはないですよね。あそこに登場したミュージシャンたちの曲は、いまでも世代を超えて多くの人に聴き継がれている」と結んだ。

画像2: 左より萩原健太氏 (音楽評論家) 天辰保文氏 (音楽評論家)

左より萩原健太氏 (音楽評論家) 天辰保文氏 (音楽評論家)

マーティン・スコセッシ監督の究極のライブ・ドキュメント
『ラスト・ワルツ』予告

画像: マーティン・スコセッシ監督の究極のライブ・ドキュメント『ラスト・ワルツ』予告 youtu.be

マーティン・スコセッシ監督の究極のライブ・ドキュメント『ラスト・ワルツ』予告

youtu.be

ドキュメンタリー映画『ラスト・ワルツ』
1978年/アメリカ/カラー/117分/DCP
監督:マーティン・スコセッシ 
製作総指揮:ジョナサン・タプリン 
プロデューサー:ロビー・ロバートソン
撮影監督:マイケル・チャップマン  
撮影:ラズロ・コヴァックス、ヴィルモス・ジグモンド、デイビッド・マイヤーズ、ボビー・バーン、マイケル・ワトキンス、ヒロ・ナリタ 

出演:ザ・バンド、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル、ヴァン・モリソン、ニール・ダイヤモンド、リンゴ・スター、ロン・ウッド、ドクター・ジョン、ポール・バターフィールド、ロニー・ホーキンス、マディ・ウォーターズ 他 日本語字幕:菊池浩司
配給:ブロードウェイ/アダンソニア  

ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー中!

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