現在、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町にて大ヒット公開中のハリ ー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』。公開初日より満席が続出するなど、大反響となっています。 本作の公開を記念して映画評論家の大久保賢一氏が登壇、トークイベントを行いました。

■日時:2018 年 3 月 21 日(水・祝)
■会場:アップリンク渋谷(東京都渋谷区宇田川町 37-18 トツネビル 1F)
■ゲスト:大久保賢一(映画評論家)

ハリー・ディーン・スタントンの最後の出演作『ラッキー』の公開記念イベントが 21 日、アップリンク渋谷にて行なわれ、 ハリー・ディーンが表紙を飾る 1989 年 12 月号『SWITCH』の特集で、彼の家へ行きインタビュ ー行った映画評論家の大久保賢一氏が当時のやり取りや、ハリー・ディーンについて語った。

画像: ■日時:2018 年 3 月 21 日(水・祝) ■会場:アップリンク渋谷(東京都渋谷区宇田川町 37-18 トツネビル 1F) ■ゲスト:大久保賢一(映画評論家)

「いまご覧になった『ラッキー』、主人公のラッキーを演じたハリー・ディーン・スタントンは一見、とても ぶっきらぼうにみえます。この作品は彼自身の生涯、生活、考え方、それに基づいて作られたのですが、ハリ ー・ディーン自身とすごく重なると思ったのは、ぶっきらぼうに見えて、まったくこびないという生き方をし てきたということ」だと説明する。

続いて当時を振り返り「1989 年という遠い昔の話ですが、彼の自宅に行ってインタビューをしました。 デヴ ィッド・リンチの映画でおなじみのマルホランド・ドライブまでレンタカーを走らせてドアをあけると、ハリー・ディーンが手を合わせてお辞儀をしました。“日本式のお辞儀”だと言ってね。プライベートでは彼は絶対に、上から目線にならないという人でした。インタビュー中、ショーン・ペン、ジャック・ニコルソンから電話がかかってきて、そのやりとりを聞いていると、タメ口なんです。何歳であっても、骨のある、ゆずらないところがある、そんな映画人とは同じ目線で付き合うんですね」と彼の人となりを表す出来事を話した。

映画にも登場し、ハリー・ディーンと実際、長きにわたる友人である デヴィッド・リンチについて大久保氏は 「デヴィッド・リンチは、彼を自分の作品 6 本に出演させました。 リンチは彼の演技についてこう言っていま す。“普通の俳優はセリフを言うその瞬間に芝居をしようとする。でもハリーはそうじゃない。続いている時間の中で、口を開かないときのハリーがどれだけ素晴らしいか!”と。我々はそのことを彼の映画で十分に味わってきたと思う」と俳優としての彼の存在を賞賛。

最後に「インタビューの最初に、ハリー・ディーンが“まず最初に朗読を録音してほしい“と言いました。それがシアトル酋長の演説です。ワシントン州と後に呼ばれることになる土地を収めていた酋長が、大統領に届くように朗読しました。原文が存在せず、ねつ造とも言われています。でも、それでもいいと思うんです。この美しい言葉を、ハリーがとても好きだと言った。“俺たち全員にとって重要な言葉だから聞いてほしい”と。
途中で電話がかかってきたり、テープがひっかかったり、犬がきて中断したりしまうが、聞いてほしいと思います」と締めくくり、録音したハリー・ディーンのスピーチを会場に流した。

以下、シアトル酋長の演説より一部抜粋

ー生命のつながりー 自分にもよくわからない。私たちの生き方はあなた方とは違う。白人の建てた都会の風景はインデイアンの目に痛い。でもそれもインデイアンは未開人で理解能力がないからなのだろう。 私たちの知らない間にバッファローがすべて殺され、野生の馬が飼い慣らされ、森の奥の秘密の場所に人間のにおいがたちこめ、繁った丘がおしゃべりする針金(電線)で覆われるようになってしまった。茂みはどこにあるのか。今はもうない。鷲はどこにいるのか。今はもういない。

大久保賢一 氏

<プロフィール>
大久保賢一 (おおくぼ・けんいち)
'75 年に原将人らと雑誌「NEW CINEMA EXPRESS」を刊行、大林宣彦、大森一樹、高嶺剛、長崎俊一などのイ ンディペンデント新作を上映。80 年代にかけての日本映画の大変動に立ち会う。ロッテルダム、ベルリン、カ ンヌ、ウィーン、香港、ブリスベーン、オーバーハウゼン、トロント等の映画祭にプレス、審査員、プログラ
ム持ち込みで参加。国際交流基金の企画で各国へ日本映画プログラムを出前。「中央アジア映画祭」などをデ ィレクション。多摩美上野毛、東京造形、東北芸工の各大学で教え、現在大正大学客員教授。国際映画批評家 連盟メンバー、コミュニティシネマセンター理事。
2018 年 3 月 17 日(土)、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、 ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

銀行強盗もしない、飛行機から飛び降りもしない、人助けもしない。
「人生の終わり」にファンファーレは鳴り響かない——

全ての者に訪れる「死」——
90歳の気難しい現実主義者ラッキーがたどり着いた、ある答え。

『ラッキー』予告

画像: 名優ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』予告 youtu.be

名優ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』予告

youtu.be

映画『ラッキー』
監督:ジョン・キャロル・リンチ(『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』出演)
出演:ハリー・ディーン・スタントン(『パリ、テキサス』『レポマン』『ツイン・ピークス The Return』)、デヴィッド・リンチ(『インランド・エンパイア』『ツイン・ピークス』監督)、ロン・リビングストン(『セックス・アンド・ザ・シティ』)、エド・ベグリー・ジュニア、トム・スケリット、べス・グラント、ジェイムズ・ダレン、バリー・シャバカ・ヘンリー
(2017/アメリカ/88分/英語/1:2.35/5.1ch/DCP)
配給・宣伝:アップリンク

2018 年 3 月 17 日(土)、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町絶賛公開中!

This article is a sponsored article by
''.