3月17日(土)より、大林宣彦監督最新作『花筐/HANAGATAMI』公開を記念し、『この空の花―長岡花火物語』『野のなななのか』を含めた<大林的戦争三部作>をポレポレ東中野で開催することが決定しました。

戦後の日本がかつての戦前に変わっていくようなムードは日に日にリアリティを帯び始める。

その中で起きてしまった2011年3月11日の東日本大震災。戦争を体験した最後の世代にあたる映画作家の大林宣彦監督は、未曽有の災害を「日本人の精神的なやり直し」ととらえ、新潟県中越沖地震の爪痕が残る長岡市山古志の里を舞台に、長編映画『この空の花―長岡花火物語』(2011)を地元の人と共に完成させた。

大林映画の虚構性は、現実と緊張関係にあるがゆえに、スクリーンを見ている私たちの心を突き動かしてくる。大林監督の映画作家ならではの情熱と自由な表現力は、北海道芦別市を舞台にした次作『野のなななのか』(2014年)で更に凄味を増し、そして肺がんで余命宣告を受けた状態の中で九州唐津市で撮りきった渾身の最新作『花筐/HANAGATAMI』(2017)へと至る。

まだ戦争には間に合いますか―『この空の花―長岡花火物語』劇中の台詞だ。<大林的戦争三部作>は戦争を体験したことのない世代に託された「これからの想像力」であり、まさに映画表現ならではの贈りものだ。大林監督が長きにわたる映画人生を通して追求してきた自由な表現と、その中に注ぎ込まれた平和へのメッセージを、スクリーンの光で目一杯浴びてほしい。

■監督プロフィール
大林宣彦 おおばやしのぶひこ
映画作家

1938年広島県尾道市生まれ。3歳の時に自宅の納戸で見付けた活動写真機と戯れるうちに映画を造り始める。大学時代には自主制作映画のパイオニア的存在となり、その後は数多くのテレビCMも手がける。1977年『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。自身の古里・尾道を舞台にした『転校生』(82)、『時をかける少女』(83)、『さびしんぼう』(85)は“尾道三部作”と称され世代を超えて愛されている。大林の実験精神溢れる映画表現は<映像の魔術師>の異名を持ち、国外にも熱狂的なファンを持つ。『この空の花〜長岡花火物語』(11)、『野のなななのか』(14)、最新作『花筐/HANAGATAMI』(17)は“大林的戦争三部作”となる。2004年春の紫綬褒章受章、2009年秋の旭日小綬章受章

■上映作品詳細

『この空の花―長岡花火物語』

(2011年/160分/配給:PSC、TMエンタテインメント)
監督:大林宣彦
脚本:長谷川孝治、大林宣彦
撮影:加藤雄大、三本木久城、星貴|美術:竹内公一|音楽:久石譲
出演:松雪泰子、高嶋政宏、猪股南、原田夏希、森田直幸、筧利夫、池内万作、富司純子

画像1: ©「長岡映画」製作委員会 PSC 2011

©「長岡映画」製作委員会 PSC 2011

記者・遠藤玲子(松雪泰子)の元にかつての恋人の片山健一(髙嶋政宏)から手紙が届く。彼が教師を務める高校の生徒が創作した「まだ戦争には間に合う」という舞台と長岡の花火を見に行くために、玲子は長岡を訪れた。同市は東日本大震災の被災者を迅速に受け入れた町でもあった。行く先々で出逢う人々と不思議な体験を重ねてゆく玲子。そのほとんどが実際に起きた長岡の歴史と織り合わさっているのだと理解したとき、物語は過去、現在、未来へと時をまたぎ、誰も体験したことのない世界へと紡がれてゆく。

画像2: ©「長岡映画」製作委員会 PSC 2011

©「長岡映画」製作委員会 PSC 2011

『野のなななのか』

(2014年/171分/配給:PSC、TMエンタテインメント)
監督:大林宣彦
原作:長谷川孝治「なななのか」
脚本:内藤忠司、大林宣彦|撮影:三本木久城|美術:竹内公一|音楽:山下康介
出演:品川徹、常盤貴子、村田雄浩、松重豊、寺島咲、山崎紘菜、窪塚俊介、安達祐実

画像1: ©2014 芦別映画製作委員会/PSC

©2014 芦別映画製作委員会/PSC

北海道芦別市で古物商を経営する元病院長の鈴木光男(品川徹)が、3月11日の14時46分に他界。散り散りに暮らしていた鈴木家の面々が葬式のために古里・芦別に集結。そこに謎の女・清水信子(常盤貴子)が現れる。彼女を通して1945年に起きた旧ソ連の樺太侵攻で光男が体験した出来事を彼らは知る。生と死の境界線が曖昧な“なななのか(四十九日)”の期間に生者も死者も彷徨い人となり、やがて家族や古里がつながっていることを学び、未来を生きようと決意をする。

画像2: ©2014 芦別映画製作委員会/PSC

©2014 芦別映画製作委員会/PSC

『花筐/HANAGATAMI』

(2017/169分/配給:新日本映画社)
監督:大林宣彦
原作:檀一雄「花筐」
脚本:大林宣彦、桂千穂|音楽:山下康介|製作:辻幸徳(唐津映画製作委員会)、大林恭子(PSC)
出演:窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子

画像1: ©唐津映画製作委員会/PSC 2017

©唐津映画製作委員会/PSC 2017

1941年の春、佐賀県唐津に暮らす叔母(常盤貴子)の元に身を寄せることになった17歳の榊山俊彦(窪塚俊介)。アポロ神のように雄々しい鵜飼(満島真之介)、虚無僧のような吉良(長塚圭史)、お調子者の阿蘇(柄本時生)ら学友を得て“勇気を試す冒険”に興じる日々。肺病を患う従妹の美那(矢作穂香)に恋心を抱きながらも、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)と“不良”なる青春を謳歌している。しかし、我が「生」を自分の意志で生きようとする彼らの純粋で自由な荒ぶる青春のときは儚く、いつしか戦争の渦に飲み込まれてゆく。

画像2: ©唐津映画製作委員会/PSC 2017

©唐津映画製作委員会/PSC 2017

■初日舞台挨拶
3/17(土)12:20『花筐/HANAGATAMI』上映後、大林宣彦監督の舞台挨拶あり。

■上映情報
『花筐/HANAGATAMI』
3/17(土)~23(金)連日12:20
3/24(土)~4/13(金)連日19:30

『この空の花―長岡花火物語』
3/17(土)、19(月)、21(水)、23(金)各日15:50

『野のなななのか』
3/18(日)、20(火)、22(木)各日15:50

■料金
『花筐/HANAGATAMI』
当日:一般1800円|大学・専門・シニア1300円|高校・中学・障害1000円

『この空の花―長岡花火物語』
『野のなななのか』
当日:一般・大学・専門・シニア1300円|高校・中学・障害1000円

※相互割引あり!
『花筐/HANAGATAMI』『この空の花―長岡花火物語』『野のなななのか』各作品の半券提示で当日一般料金が300円引きになります。

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