<コンペティション国際審査委員総評>

トミー・リー・ジョーンズ審査委員長
「まるで一本の映画を撮り終えた後の打ち上げに参加している気分です。この映画祭期間中、映画作りと同様でみんなで一緒に仕事をして、それが終わった今は、友達も作れてとても良い経験となりました。またどこかの映画祭でばったりお目にかかれると思いますが、今はただただ嬉しいです」

レザ・ミルキャリミ
「トミー・リー・ジョーンズさんと同じ気持ちで、良き友達を見つけられてとても嬉しいです。これからも素晴らしい作品を観られる事を期待しています。映画祭に出るチャンスのある映画は全て受賞する可能性のある立場だと思います。皆素晴らしい映画で審査する事はとても難しく、審査委員それぞれの好みや意見がある中、意見を合わせるのは困難なことが多いです。いつも100パーセント合意する事は難しいが、今回はそれが出来たと思っています」

マルタン・プロヴォ
「本当に貴重でインパクトの強い経験となりました。他の映画祭にはない東京国際映画祭だからこその、素晴らしい審査委員をさせてもらいとても感謝しています。それぞれが現在の世界の状況を描写して、色んな不安が描かれていましたが、これから取り組むべきこともたくさんあるなと感じました。映画監督がそれを描写して問題提起をして人々の意識を高め、これから世の中が光と愛に溢れる方向に向いていければすごく嬉しいです」

ヴィッキー・チャオ(趙薇)
「この東京国際映画祭は非常に開かれた映画祭だと思います。どの作品にも我々審査委員に対してもとても良くしてくれて、良い作品を観ることができて嬉しく思います。5つの国の国際審査委員団で映画を観て、議論して、インスパイアし合うことが出来ました。このような機会を与えてくれた東京国際映画祭に感謝しています」

永瀬正敏
「25日のオープニングの日に審査委員長から、『1作観るごとに必ずミーティングをしよう』という提案がありましたが、それが本当に素晴らしい提案でした。他の映画祭の審査委員に聞くと、そんなことはまずないとのことです。映画を観てすぐに話し合うことで共通認識を持てて様々なアイデアを引き出すことが出来たことに感謝しています。この出逢いを生涯大事にしたいですし、他の審査委員の皆さんは監督で、僕は役者なので今後役者として起用してもらえるように頑張っていきたいです」

Q:トミー・リー・ジョーンズ審査委員長はなぜ1作品観るたびにミーティングすることにしたのでしょうか?

トミー・リー・ジョーンズ
「上映直後に意見交換することで、作品の第一印象を新鮮な気持ちで覚えているからです。考えは表現するうちに成長するので、他の人の意見を聞く事で発展したり、変化することもあります。今回はそれが非常に有効的に働いたと思います」

Q:審査結果以外で、お気に入りだった作品は?

永瀬正敏
「それは私たち5人の秘密なのですが、他にももっとたくさんの賞があれば全ての作品が賞を獲っていると思います。それほどまでにどの作品も素晴らしかったです」

Q:トミー・リー・ジョーンズの審査委員長としてのリーダーぶりはいかがでしたか?

ヴィッキー・チャオ(趙薇)
「ジョーンズ氏は素晴らしいリーダーでした。独自の意見はもちろん持ちつつ、我々の意見も尊重してくださいました。ずっと言いたかったけれど、実は私はトミーさんのファンで、これまでご本人に言えなかったので、この場で言わせていただきます」

Q:審議はパッションをぶつけあう熱いものでしたか?それとも穏やかに進んだのでしょうか?

レザ・ミルキャリミ
「とても穏やかな雰囲気でした。特にトミーと僕との関係は親子のような関係になり、トミーは父のように私に接してくれ、現在のイランとアメリカの中とは全くの逆のものでした」

コンペティション部門

東京グランプリ/東京都知事賞
Tokyo Grand Prix /
The Governor of Tokyo Award
『グレイン』"Grain"

いつとも知れない近未来。種子遺伝学者であるエロールは、移民の侵入を防ぐ磁気壁が囲む都市に暮らしている。その都市の農地が原因不明の遺伝子不全に見舞われ、エロールは同僚研究者アクマンの噂を耳にする。アクマンは遺伝子改良に関する重要な論文を書いていたが、失踪していた。エロールはアクマンを探す旅に出る…。

画像: © KAPLAN FILM / HEIMATFILM / SOPHIE DULAC PRODUCTIONS / THE CHIMNEY POT / GALATA FILM / TRT / ZDF / ARTE FRANCE CINEMA 2017

© KAPLAN FILM / HEIMATFILM / SOPHIE DULAC PRODUCTIONS / THE CHIMNEY POT / GALATA FILM / TRT / ZDF / ARTE FRANCE CINEMA 2017

監督 : セミフ・カプランオール
1963年トルコ生まれ。現代トルコ映画界では最も評価の 高 い 脚 本 家 ・ 監 督 の ひ と り で あ る 。 『 卵 』( 0 7 ) は カ ン ヌ 映 画 祭監督週間でプレミア上映された。2008年、『ミルク』がヴェ ネチア映画祭に出品され、イスタンブール国際映画祭の国際 映画批評家連盟賞をはじめとする数々の国際映画賞に輝い た。『蜂蜜』(13)はユスフ3部作の完結作として、ベルリン映 画祭で金熊賞を受賞した。本作が監督第6作目にあたる。

作品解説
陽光眩い自然美に満ちていた「ユスフ3部作」から一転、カプランオール監督の 7年ぶりの新作はダークなディストピアを描く近未来SFである。しかし映像美は むしろ研ぎ澄まされ、シャープなモノクロ映像が人類居住区域のリアルな混乱と 居住不能地域の不毛な美しさのコントラストを際立たせている。監督の母国トル コがシリア難民で溢れたように、4年にわたる構想中に現実世界は激動し、その 事象が映画に反映されていった。人類を救う特殊な麦の粒を探し求める旅は、難 民問題やエコロジーというマクロな事象を経て、次第に人間心理を司る宗教や信 念やエゴイズムといった内面の旅へと至るだろう。『惑星ソラリス』や『2001年 宇宙の旅』の系譜に連なる、知能中枢を刺激されるアート系SF大作である。

監督のメッセージ
本作は、年代不明の未来の世界で展開します。そこでは、ひとりの男が進行中の戦争、気候変動による環境破壊、難民流入を防ぐために築かれた殺傷力のある磁気壁、遺伝子操作された種子に起因する混乱への対処法を見つけようとします。ロケ地として廃墟の雰囲気がある都市の風景を求めてデトロイトに行ったと き、中東からの難民に出会いました。トルコのアナトリアでは多数のシリア人難民 を目にしました。ストックホルムの凍てつく寒さのなか、貧困に苦しみながらギリ ギリで生き延びている人々を目撃しました。本作の物語は今日の現実とも重なるのです。

スタッフ
監督/脚本/編集/プロデューサー ― セミフ・カプランオール
脚本レイラ・イペッキチ
撮影監督 ジャイルズ・ナットジェンズ
編集 オスマン・バイラクタルオウル、アイハン・エルギュルセル
音楽ムスタファ・ビベル
音響ヨルグ・キードロウスキー
衣装/プロダクション・デザイナー、ナズ・エルアイダ
エグゼクティブ・プロデューサーヨハネス・レキシン
プロデューサーナディル・オペルリ

キャスト
ジャン=マルク・バール 、エルミン・ブラヴォ 、グリゴリー・ドブリギン、クリスティナ・フルトゥル

監督 受賞のQ&A

Q:作品名が呼ばれた時の気持ちは?

「賞はもらうものではなく、与えられるものだと思っています。私は私の映画を理解していただけると希望を持っていました。そして実際評価をして頂けたので、そういうことなんだろうと思いました」

Q:トルコは今、映画業界的に注目を集めていますが、映画の制作はしやすい環境でしょうか?

「コマーシャルやコメディについていうと、撮影の機会は多く、容易に見つけることが可能です。しかし人間の存在性や生きることへの態度などといった問題についての映画というと簡単ではないです。資金源を見つけることはなかなか難しいのです。 ただ、私の場合は前作の『蜂蜜』(2010)がベルリン国際映画祭で金熊賞をとったことで、世界 40 カ国で配給が実現しました。それにより本作を作ることが可能になりました。一方で、トルコの文化観光相がかなり広範囲での映画製作のサポートを用意していて、短編も長編もドキュメンタリーもフォローしてくれる場合もあります」

Q:本作のテーマはどのように考えましたか?

「現在の世界はひどい状況です。気候変動や文化間の問題、各国の間では所得の差が激しく、貧困などもあれば浪費も激しい。病気もあれば土壌汚染、難民、戦争、テロ、CO2 などがあり、そういったものの中で私たちは生活をしているのです。そのなかで自分たちはどこから来てどこにいくのか、私たちは何なのか?そういったことを模索するようになったのが、この作品のルーツになりました」

審査員特別賞 Special Jury Prize
『ナポリ、輝きの陰で』"Crater"

ロザリオはナポリ郊外の市場の露店商。貧乏暮らしから抜け出したい彼は、そ の夢を娘シャロンの才能に託すことにした。まだ10代の娘の映像に魅了されたロ ザリオは、シャロンをイタリアン・ポップスのスターにするべく、興行師に転じる。ド キュメンタリーと現実的な物語の間を行き来しながら、父の野望と娘の自由の対立を描く。

画像: cTfilm 2017

cTfilm 2017

監督 : シルヴィア・ルーツィ、ルカ・ベッリーノ
シルヴィア・ルーツィとルカ・ベッリーノはあらゆる形で権力 に抵抗する方法を模索してきた。監督としては、数々の国際映 画賞を受賞もしくはノミネート、プロデューサーとしてはロー マに拠点を置く制作会社T lmのCEOである。T lmは社会 的・政治的意味合いをもつ作品、映画と現在の社会状況の両 方への視点をもつ作品を積極的に手掛けている。

作品解説
本作の舞台となる、ナポリ近郊に横たわる地域を監督たちは「クレーター」(原 題)と呼び、ナポリの光に隠れる形で、なかば独立し隔絶された場所として描いて いる。本作は、この低所得者層の地域に生きる人々に密着した物語である。監督 たちは取材の過程で地域に暮らすロザリオとその一家に出会い、彼を脚本執筆 に参加させている。この作品は、ロザリオと娘シャロンの実際の日々の姿であり、 彼らが地域を象徴するような人物に扮したフィクションでもある。そして、住人が 感じている閉塞感を強調するために、カメラは人物に極端に接近し、彼らを周囲 から浮かび上がらせていく。ドキュメンタリー出身監督ならではの手法を存分に いかし、驚くべきリアリズムで父の思いを活写する迫真のドラマである。

監督のメッセージ
ドキュメンタリーとイタリア・ネオリアリズムからインスピレーションを構築して きました。初めての劇映画となる本作では、経済危機のスパイラルと、タレント発 掘TV番組に出れば金になるという幻想を非難することを念頭に置きました。それ ぞれの立場を抱えた露天商一家をモチーフにした社会派ドラマであり、家族の物 語です。彼らの社会的孤立の描写は、被写体により肉薄することができる、50ミ リ固定焦点レンズという機材のおかげで表現することができました。

監督/脚本/プロデューサー/編集 : シルヴィア・ルーツィ
監督/脚本/プロデューサー/編集 : ルカ・ベッリーノ
脚本 : ロザリオ・カロッチャ
音楽 : アレッサンドロ・パオリーニ
音響 : ステファノ・グロッソ
音響編集 : ダニエラ・バッサーニ
音響編集 : マルツィア・コルド
音響編集 : ジャンカルロ・ルティッリャー
ポストプロダクション : マウロ・ヴィチェンティーニ

キャスト シャロン・カロッチャ
ロザリオ・カロッチャ
ティナ・アマリュテイ 
アッスンタ・アルチェッラ
イッマ・ベンヴェヌート
エロス・カッロッチァ

シルヴィア・ルーツィ(監督/脚本/プロデューサー/編集) &ルカ・ベッリーノ(監督/脚本/プロデューサー/編集) 受賞のQ&A

Q:作り込まれた世界ではなく、あえて素人を起用することでリアリティを出すという意図がありましたか?

ルカ・ベッリーノ 「これは意図的なものでしたが、ある意味で実験的な仕事の仕方をしたと思います。私たちの最初のアイデアは 非職業俳優を起用することでしたが、ただ彼らを使うだけではなく、脚本を書くことにも彼らを入れることにし ました。特に父親役には脚本に非常に参加してもらい、一緒に作品を作りました。この作品は時系列に沿って作られていますが、最初の僕たちのオリジナルのアイデアから、彼らの演技の仕方を見ながら一緒に作っていくという方法をとりました。そこで非常に大事だったのは、彼らが純粋さを持っているからこそできるものでもありました」

シルヴィア・ルーツィ 「もちろん、これからも今回と同じメソッドで仕事をしたいですが、これからはワンステップ上がった感じでや りたいと思います」

最優秀監督賞 Award for Best Director
エドモンド・ヨウ Edmund Yeo
『アケラット―ロヒンギャの祈り』"AQÉRAT (We the Dead)"

本当の人生は台湾にたどり着けば始まる。少なくともフイリンはそう思ってい る。今はマレーシアとタイの国境にいて、奇妙な仕事をしながら貯金をする日々だ。 貯金を全部注ぎ込んでも何とか台湾へ行くべく、手早く金を稼ぐためにボスの人 身売買に手を貸すことに。このおぞましい闇の仕事に手を染めるうちに、彼女はロ ヒンギャ移民に対する残虐行為を目にする。そんな彼女にとってひと筋の光は、フ イリンを昔の知り合いだと信じている若い病院スタッフのウェイ。現代マレーシア の転移(ディスプレイスメント)と倫理観についての野心作。

画像: 最優秀監督賞 Award for Best Director エドモンド・ヨウ Edmund Yeo 『アケラット―ロヒンギャの祈り』"AQÉRAT (We the Dead)"

監督 : エドモンド・ヨウ(杨毅恒)
1984年シンガポール生まれ。早稲田大学を卒業。短編
『金魚』が2009年のヴェネチア映画祭で初上映、翌10年 『 避けられないこと』が 釜 山 国 際 映 画 祭で上 映され、最 優 秀 アジア短編賞を受賞した。初長編『破裂するドリアンの河の 記憶』が第27回東京国際映画祭コンペティション部門で初 上映された。今年は本作とクロスカット・アジア部門『ヤスミンさん』の2本の監督作をひっさげて東京に戻ってきた。

作品解説
ヨウ監督は、多文化多言語が自然に同居していたはずのマレーシアとタイの国 境付近の街に、新作の舞台を設定した。そして、その「理想郷」が現在ミャンマー から逃れるロヒンギャの人々をいかに扱うかを描き、現状に対して問題を提起す る。アジア全域の歴史や文化に意識を巡らす懐の深さがヨウ監督を大器ならしめ ているが、その真骨頂は社会問題と詩情溢れるラブストーリーの融合である。監 督の前作に続いての主演となるダフネ・ロー演じるヒロインは、思いもよらず人身 売買ビジネスに関わるが、やがて物語は時空と生死の境を越え、ドキュメンタリー とフィクションの境も越える。そして、「ロヒンギャの来世」はより身近な存在と なっていく。真摯な哀悼の念と、未来への希望の祈りを込めた入魂の1作である。

監督のメッセージ
“Aqerat(アケラット)”とはロヒンギャの言葉で“来世”を意味します。この作品 はミャンマーで現在も続くロヒンギャに対する虐殺と、それがマレーシアのような 近隣国にいかなる影響を及ぼしているのかを読み解く試みです。虐殺を逃れよう と、6万人近いロヒンギャの人々がボートでマレーシアにやってきています。居場 所を失い、よりよい暮らしを求めて私の国に来た人々。にもかかわらず、2015年、 マレーシアとタイの国境付近のジャングルにあった廃れた人身売買の拠点から、 139体のロヒンギャ移民の白骨死体が見つかりました。人身売買ブローカーはマ レーシア人です。フイリンを通して、この恐ろしい行為を続けることをなぜ選択し、 その結果何が起きたのかを私なりに探ったのが本作です。

監督/脚本 : エドモンド・ヨウ
撮影監督 : レスリー・レオン・リー
ライン・プロデューサー : チェン・ティムキアン
作曲 : ウォン・ウォアンフーン
プロデューサー : リム・インシャン
エグゼクティブ・プロデューサー : ウー・ミンジン
エグゼクティブ・プロデューサー : ルム・ライ・ファン
特殊メイク : キット・ヒュー
録音 : レモン・チュウ

キャスト ダフネ・ロー
ハワード・ホン・カーホウ
ルビー・ヤップ
ジョニー・ゴウ
ウォン・ジュン・ヤップ

エドモンド・ヨウ監督 受賞のQ&A

Q:ロヒャンギャについての前知識がなくとも、マレーシアの人々には作中の問題などは伝わるのでしょうか?

「私は説教くさい映画を作りたくはなかったので、あえて情報は排除して作っています。この映画では歴史的に説明することはやりたくなく、問いを投げかけることをしたかったのです」

最優秀女優賞 Award for Best Actress
アデリーヌ・デルミー Adeline D'Hermy
『マリリンヌ』 "Maryline"

アデリーヌ・デルミー『マリリンヌ』
リール地方音楽院でコンテンポラリーダンスの指導を受けた後、クール・フローランにて演劇を学び始め る。2008年にフランス国立高等演劇学校入学。そこで、アラン・フランソンやドミニク・ヴァラデイを始めとし た著名演出家のステージやワークショップを経験し、エドワード・ボンド、モリエール、チェーホフなどの作品を 演じた。その後2010年にはコメディ・フランセーズ(フランス国立劇団)に入団、Muriel Mayette-Holtz, ジーン・ ピア・ヴィンセント、フィリップ・ラグル、ドゥニ・ポダリデス、ジャック・ラサールなど数多くの演出家と舞台 を経験する。さらに併行して、テレビ映画にも出演。J.L. Lorenzi、ファブリス・カズヌーヴ、ローラン・エヌマ ン、ニーナ・コンパネーズ等と仕事を共にする。2010年にはジーン・ピア・デニスの “Here Below” に出演し、映 画界でのキャリアをスタートする。出演作にジャリル・レスペール監督の『イヴ・サンローラン』(14)、ノエミ・ ルボフスキー監督の『カミーユ、恋はふたたび』(12) など。『マリリンヌ』が映画初主演作品となる。

最優秀男優賞 Award for Best Actor
ドアン・イーホン Duan Yihong
『迫り来る嵐』 "The Looming Storm"

ドアン・イーホン『迫り来る嵐』

Q:雨での撮影はどうでしたか?
「正直大変辛かったです。役者としては映画の出来栄えが非常に気になりますが、役者であることを一旦忘れて、 この雨の中でどういった表情を出せるのかを探していました」

1973年中国、新疆ウイグル自治区生まれ。中央戯劇学院卒業。1998年より中国国家话剧院で活動。出演作に “Drifters” (03)、“Feng Sheng” (09)、“Shi Bing Tu Ji” (06) など。 略歴:2003年、インド国際映画祭 最優秀男優賞受賞 “Drifters” (03)
2011年、ワン・チュアンアン監督 “White Deer Plain” (11) 出演 2011年、中国映画表現芸術学会 ゴールデン・フェニックス賞主演男優賞受賞 “西風烈~WIND BLAST~” (11) 2015年、第18回上海国際映画祭 最優秀男優賞受賞 “The Dead End” (15)

最優秀芸術貢献賞 Award for Best Artistic Contribution
『迫り来る嵐』"The Looming Storm"

ドン・ユエ(監督/脚本)受賞のQ&A

Q:撮影日数はどれくらいで、実際に雨が降っていたのは何日ほどだったのでしょうか?

「この映画 64 日間で撮影しましたが、雨は最初から最後まで全て人工的に降らせていました。この撮影は 3 月 だったのですが現地の雨季は 11 月〜12 月で、想像を絶するほど厳しい現場でした。しかし、今回の雨を降ら せる技術の ームは中国では最も優れた ームだったので、彼らのおかげでこの映画を撮ることが出来ました」

最優秀脚本賞 Presented by WOWOW  Best Screenplay Award by WOWOW
『ペット安楽死請負人』
 "Euthanizer"

ヤニ・ポソ(プロデューサー)受賞のQ&A

Q:この映画を誰に一番観てもらいたい?

「この作品の場合は、中年のある種の主義主張を持った男性たちに観てもらいたいです。そういった男性たちが どれだけ馬鹿げているのかを語った映画ですので」

観客賞 Audience Award
『勝手にふるえてろ』 "Tremble All You Want"

画像: ©2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

©2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

“脳内片思い”の毎日に“リアル恋愛”が勃発!?
2人の彼氏(?)の間で揺れながら、
傷だらけの現実を突き抜ける 暴走ラブコメディ!
24歳のOLヨシカは中学の同級生「イチ」(北村匠海)へ10年間片思い中!
そんなヨシカの前に、突然暑苦しい会社の同期「ニ」(渡辺大知)
が現れ告白される。「人生初告られた!」とテンションがあがるも、
ニとの関係にいまいち乗り切れないヨシカ。
ある出来事をきっかけに「一目でいいから、今のイチに会って
前のめりに死んでいこうと思ったんです」と思い立ち、
同級生の名を騙り同窓会を計画。ついに再会の日が訪れるのだが…

監督・脚本:大九明子

原作:綿矢りさ著『勝手にふるえてろ』文春文庫刊 
出演:松岡茉優 渡辺大知(黒猫チェルシー) 石橋杏奈 北村匠海(DISH//)
趣里 前野朋哉 池田鉄洋 稲川実代子 栁俊太郎 山野海  
梶原ひかり 金井美樹 小林龍二(DISH//) 増田朋弥 後藤ユウミ 原扶貴子 仲田育史 松島庄汰 古舘寛治 片桐はいり
(古舘寛治の名前表記は正式には外字の舘(※舎官)となります。WEB上では、表現できない文字のため、「舘」を使用しています。)

監督 受賞のQ&A

Q:観客賞を取れると思っていましたか?

「ノミネートさせて下さった時に、『よくぞこんなに小さな作品を見つけてくださった』と思いましたが、本心で は『もらえるとしたら観客賞かな』などとも思っていました(笑)」

Q:東京国際映画祭について、今後どういった発展を希望していますか?

「これまで、東京国際映画祭にはあまり来たことが無かったのですが、今回ノミネートさせて頂き、あらゆる仕 事を排除して出来るだけ多く劇場に足を運び作品を観て映画祭の空気に触れるようにしました。そこでこれまで 来なかったことに、なんて勿体無いことをしていたのかと思いました。
今年の東京国際映画祭にはアル・ゴアさんやトミー・リー・ジョーンズさんが来ているのに、世間の目がこっち に向いていないのが悲しいです。映画を愛する全ての人々でどうにか気付いて頂く工夫が大切なんだと思うので、 学生は当日券 500 円で観られるようなシステムを にしてしまう勢いで、若い人たちが で遊べる空間に して、その遊びの一環に映画が組み込まれて行動してもらえるようにすればいいなと思いました」

アジアの未来部門

アジアの未来 作品賞
『僕の帰る場所』"Passage of Life"

どうしてパパはかえってこないの?
祖国を離れ、日本に暮らす4人のミャンマー人一家。ある日、家族のもとに届いた通知が家族の運命を変えていく…。
日本とミャンマー、国境を越えて紡ぐ愛の物語。

画像: アジアの未来 作品賞 『僕の帰る場所』"Passage of Life"

脚本・監督・編集:藤元明緒

STAFF
プロデューサー:渡邉一孝 吉田文人
共同プロデューサー:キタガワユウキ
撮影監督:岸健太朗
録音:弥栄裕樹
美術:飯森則裕
ヘアメイク:大江一代
制作担当:半田雅也
企画・製作・制作: 株式会社 E.x.N

出演者
Kaung Myat Thu/Khin Myat Thu/Issace/Htet Myat Naing/來河侑希/黒宮ニイナ/津田寛治

監督 受賞のQ&A

Q:本作はどう演出し、どう作ったのでしょうか?

「映画を見た方々から、ドキュメン リーのように演じられているとよく言われ、嬉しいのですが、僕はドキュ メン リー ッ にしようとは思っていなくて、同じ思いを持って、脚本に共感してくれた方々が出てくれたの で、演じるというかそのままの、ありのままの姿を見せて頂きました。あのシ ュエーションの中で生きている 姿を取ろうとしていたので、真実の言葉で怒ったり、泣いたり、笑ったりしている姿を撮ったのでドキュメン リーの印象を与えたのかと思います」

アジアの未来 スペシャル・メンション
『老いた野獣』"Old Beast"

画像: © 2017 Dongchun Films Co., Ltd.

© 2017 Dongchun Films Co., Ltd.

国際交流基金アジアセンター特別賞
藤元 明緒 Akio Fujimoto
『僕の帰る場所』"Passage of Life"

脚本・監督・編集:藤元明緒

日本映画スプラッシュ部門

日本映画スプラッシュ 作品賞
『Of Love & Law』 "Of Love & Law"

画像: 日本映画スプラッシュ 作品賞 『Of Love & Law』 "Of Love & Law"

愛と法律と家族の物語
カズとフミは大阪の下町で一緒に法律事務所を営む弁護士“夫夫”。出会って15年。仕事も生活も常に二人三脚のふたりは、法律上は他人同士。そんな彼らのもとには日本全国から生きづらさを抱えた人々がやってくる。

監督 : 戸田ひかる

プロデューサー : エルハム・シャケリファー
撮影監督 : ジェイソン・ブルックス
編集/アソシエイト・プロデューサー : 秦 岳志
音楽 : 前田雄一朗
共同プロデューサー : エステル・ロバン・ユウ
音響 : ヴァネサ・ロレナ・テイト

キャスト
南 和行
吉田昌史
南 ヤヱ
辻谷一摩
ろくでなし子
辻谷博子
井戸まさえ
山本なつお

監督 受賞のQ&A

Q:弁護士カップルのどこに興味を持ったか?

「最初は純粋に彼らのラブストーリーに惹かれました。とても不完成なふたりがその不完成な部分を、お互いが 受け入れあっている二人のカップルとしての姿に惹かれました。私は海外での生活が長いのですが、みんな同じ で当たり前の日本社会で、当たり前から外れたゲイのカップルのオープンでいるふたりが、どうやって生きてい るのかに興味が湧きました」

新設された東京ジェムストーン賞

東京ジェムストーン賞
松岡茉優、石橋静河、アデリーヌ・デルミー、ダフネ・ロー
Mayu Matsuoka, Shizuka Ishibashi, Adeline D'Hermy, Daphne Low

東京国際映画祭のビジョンの一つに掲げた「映画の未来の開拓」に沿って、宝石の原石(ジェム ストーン)の様な輝きを放つ若手俳優を東京で見出し、顕彰し、世界に紹介することで、彼らがその輝きを増す一助となることを目的として「東京ジェムストーン賞」を新設しました。
東京国際映画祭に出品される全作品を対象として、映画祭事務局が日本と世界の若手俳優(男優、女 優を問わず)数名を選出する東京ジェムストーン賞。
今年は、松岡茉優さん、石橋静河さん、アデリーヌ・デルミーさん、ダフネ・ローさんの4名にこの賞を授与させて頂きます。

松岡茉優
『勝手にふるえてろ』(コンペティション)
1995年2月16日、東京都生まれ。映画『桐島、部活やめるってよ』(12/ 吉田大八監督)、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」などで注目される。 抜群の演技力で今後の活躍が最も期待される若手女優。2016年は「真田 丸」でNHK大河ドラマ初出演、「その『おこだわり』、私にもくれ よ!!」(16/テレビ東京)、『水族館ガール』(16/NHK) に主演、『猫な んかよんでもこない。』(山本透監督)、『ちはやふる』(小泉徳宏監督) では第8回TAMA映画賞で最優秀新進女優賞、第40回山路ふみ子映画賞で 新人女優賞を受賞。2017年は『カーズ/クロスロード』で吹き替えを担 当した他、「やすらぎの郷」(テレビ朝日)、「ウチの夫は仕事ができな い」(日本テレビ) などに出演。現在、「コウノドリ」(TBS)に出演中。 公開待機作品に『blank13』(18/斎藤工監督)、『ちはやふる-結び-』 (18/小泉徳宏監督) など。本作が映画初主演作品となる。

石橋静河
『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』 (Japan Now)
1994年7月8日生まれ。東京都出身。4歳からクラシックバレエをはじめ、 09年より米・ボストン、カナダ・カルガリーにダンス留学後13年に帰国 し、コンテンポラリーダンサーとして活動を始める。15年より舞台や映 画へ役者として活動の場を広げ、17年には本作の他に『PARKSパーク ス』(瀬田なつき監督)、『うつくしいひと サバ?』(行定勲監督)が公開。 今後が期待される大型新人女優である。

アデリーヌ・デルミー
『マリリンヌ』(コンペティション)
リール地方音楽院でコンテンポラリーダンスの指導を受けた後、クー ル・フローランにて演劇を学び始める。2008年にフランス国立高等演劇 学校入学。そこで、アラン・フランソンやドミニク・ヴァラデイを始め とした著名演出家のステージやワークショップを経験し、エドワード・ ボンド、モリエール、チェーホフなどの作品を演じた。その後2010年に はコメディ・フランセーズ(フランス国立劇団)に入団、Muriel Mayette- Holtz, ジーン・ピア・ヴィンセント、フィリップ・ラグル、ドゥニ・ポ ダリデス、ジャック・ラサールなど数多くの演出家と舞台を経験する。 さらに併行して、テレビ映画にも出演。J.L. Lorenzi、ファブリス・カズ ヌーヴ、ローラン・エヌマン、ニーナ・コンパネーズ等と仕事を共にす る。2010年にはジーン・ピア・デニスの “Here Below” に出演し、映画 界でのキャリアをスタートする。出演作にジャリル・レスペール監督の 『イヴ・サンローラン』(14)、ノエミ・ルボフスキー監督の『カミーユ、 恋はふたたび』(12) など。『マリリンヌ』が映画初主演作品となる。

ダフネ・ロー
『アケラット-ロヒンギャの祈り』
(コンペティション)
ダフネ・ローは16歳から雑誌での活動をスタート。ここ数年は、多数の 映画、テレビシリーズ、短編映画に出演し、演技でのキャリアを積んで いる。2014年にはエドモンド・ヨウ監督の『破裂するドリアンの河の記 憶』のキャストとして第27回東京国際映画祭に参加。これまでの出演作 に”Wei le ai” (14, 短編映画)、“Hold Me Tight” (15)、 “Ola Bola” (16)、 “Let's Eat” (16) など。

第30回TIFF クロージングセレモニー 審査委員& 受賞者記者会見

画像: 第30回TIFF クロージングセレモニー 審査委員& 受賞者記者会見|30th TIFF Closing Events youtu.be

第30回TIFF クロージングセレモニー 審査委員& 受賞者記者会見|30th TIFF Closing Events

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