世界に先駆けてデジタルシネマにフォーカスし、若手映像クリエイターの登竜門として2004年にスタートしたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、7月15日より14回目の開催を迎え、最終日となる本日23日のクロージング・セレモニー(表彰式)にて、長編部門・短編部門・アニメーション部門の、コンペティション3部門の各賞を発表いたしました!

長編部門では、ノルウェー作品『愛せない息子』(アーリル・アンドレーセン監督)がグランプリに輝き、ノルウェー作品としては本映画祭では他の賞も含め初の受賞となりました!
また監督賞は、ドキュメンタリー映画『中国のゴッホ』(ハイボー・ユウ監督、キキ・ティエンチー・ユウ監督)が受賞。
海外のドキュメンタリー作品の受賞も、本映画祭では他賞を含め初となりました!

さらに審査員特別賞にはハンガリー映画『市民』(ローランド・ヴラニク監督)が輝き、こちらもハンガリー映画の受賞は本映画祭では初となります。各賞受賞作品は以下の通りです。
今年も受賞作品をはじめとするノミネート作品・監督から、映画の未来を担う新たな才能が羽ばたいていくことを願っています。

画像: SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017-長編部門グランプリはノルウェー作品『愛せない息子』に決定!SKIPシティアワードは『三尺魂』加藤悦生監督にー

長編部門(国際コンペティション) 受賞結果

長編部門 国際審査委員長
黒沢 清氏(映画監督)コメント

本当にいろいろな国の映画が集められていて、正直どれもかなりレベルが高く、改めて世界中にこんなに優れた映画 がたくさんあるんだなということを認識した。
今回の受賞作品は、これまでどの映画祭でも紹介されてこなかった、 本当に新しい映画だったというのが、素直な喜びだった。受賞された方たちは、さらに世界的な評価を高めていく才能のある作家たちだと思うが、彼らを発見したのは、ここ川口だと大いに誇っていいのではないかと思う。

グランプリ『愛せない息子』(ノルウェー)

監督:アーリル・アンドレーセン
出演:クリストッフェル・ヨーネル、クリストッフェル・ベック、マーロン・モレノ、エレン・ドリット・ペーテシェン

画像: ©Norsk Filmdistribusjon / Motlys

©Norsk Filmdistribusjon / Motlys

画像: 『愛せない息子』(Handle with Care)予告編 【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017長編部門】 youtu.be

『愛せない息子』(Handle with Care)予告編 【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017長編部門】

youtu.be

長編部門 最優秀作品賞受賞 『愛せない息子』 アーリル・アンドレーセン監督
*アーリル・アンドレーセン監督は表彰式に欠席のため、ヒルデ・スサン・ヤークトネスさん(脚本)が代理受賞
動物の赤ちゃんには、生まれたその日から立ち上がって走りださなければならない種もいる。しかし人間の子供は、 何年もの間、自分では何もできず親に頼らなくては生きていけない。本作の企画の始まりは、もし親が子供を愛せな いというタブーが起きた場合どうなるか、ということだった。この映画をご覧になった方の中に、もし親として子育 てに悩んでいる方がいたら、その問題に目を背けるのではなく、オープンに話し合うことが大事だと気づいて欲しい。

亡き妻が愛した養子の息子を連れて、息子の実母を探すためノルウェーからコロンビアにやって来た男。自分に懐かない息子を返してしまうか、亡き妻のためにも本当の父親になる決意をするのか、父性をテーマにしたスリリングな本作は、今年のヨーテボリ国際映画祭でワールド・プレミアされ、本映画祭がアジアン・プレミアとなる。アーリル・アンドレーセン監督は、初長編作品『The Liverpool Goalie』(10)がベルリン国際映画祭ジェネレーションKプラス部門の最高賞クリスタル・ベア賞を、ニ作目の『The Orheim Company』(12)がヨーテボリ国際映画祭ノルディック映画コンペティション部門の作品賞を受賞した実力派。葛藤する父を演じた主演のクリストッフェル・ヨーネルは、『レヴェナント:蘇えりし者』(15)にも出演するノルウェーの人気スターである。

監督賞『中国のゴッホ』(中国)

監督:ハイボー・ユウ、キキ・ティエンチー・ユウ

画像: ©YU Haibo

©YU Haibo

海外ドキュメンタリー作品が本映画祭の長編部門にノミネートされるのは、2009年の『エル・システマ~音楽の喜び~』以来8年ぶり。中国・深圳市近郊にある「大芬(ダーフェン)油画村」では、ゴッホをはじめとする有名画家のレプリカ制作が産業として確立しており、実に世界市場の6割を生産しているといわれている。本作は、そんな大芬で生きるひとりの画家が、未だ経験がない“本物のゴッホの絵を見る”という夢を叶えるためアムステルダムを訪れるまでを描いた感動のドキュメンタリー。2016年のアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭でワールド・プレミアされた後、数多くの映画祭で上映されている。監督のハイボー・ユウとキキ・ティアンチー・ユウは父娘であり、父は著名な写真家、娘は自身の制作会社で監督・プロデューサーを務めるだけでなく、上海の学校で教鞭も執っている。

審査員特別賞『市民』(ハンガリー)

監督:ローランド・ヴラニク
出演:マルセロ・カケ=ベリ、アーグネシュ・マール、アルガワン・シェラキ

画像: 審査員特別賞『市民』(ハンガリー)

2015年のカンヌ映画祭グランプリ、2016年の米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『サウルの息子』(15)、今年のベルリン国際映画祭金熊賞『On Body and Soul』(17)と、近年ハンガリー映画が世界の映画市場を席巻している。そんなハンガリーから届いた本作は、市民権を得るために必要な“国家にまつわる試験”というユニークな題材をもとに、現代社会が抱える移民問題の矛盾を浮き彫りにしていくパワフルな作品。本映画祭では2015年の『女狐リザ』(15:劇場公開タイトル『リザとキツネと恋する死者たち』)や『スウィング!』(14)以来のハンガリー映画ノミネートとなった。監督は、ハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督のアシスタントを務めていたローランド・ヴラニク。長編デビュー作『Black Brush』(05)はハンガリー映画週間作品賞を受賞し、テッサロニキ国際映画祭をはじめ数々の映画祭でも受賞を果たすなど、早くからその才能が高く評価されている。

日本作品に贈られるSKIPシティアワードは『三尺魂』(加藤悦生監督)が受賞しました!

SKIPシティアワード『三尺魂』(日本)

監督:加藤悦生
出演:村上穂乃佳、木ノ本嶺浩、辻しのぶ、津田寛治

画像: ©三尺魂 2017

©三尺魂 2017

画像: 『三尺魂』予告編 【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017長編部門】 youtu.be

『三尺魂』予告編 【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017長編部門】

youtu.be

加藤悦生監督は10代の終わりに観た森田芳光監督の『家族ゲーム』(83)に影響を受けて映画の道を志し、現在はフリーランスとしてTV、CM、VPの映像演出を手掛けている。引き籠りと強盗を題材にした長編デビュー作『PLASTIC CRIME』(13)は、2014年の本映画祭長編部門にノミネートしており、引き籠りという社会問題を扱いながらもエンターテインメントに仕上げ好評を博した。長編第二作にあたる本作も、集団自殺というシリアスな設定を描きながら笑えて泣けるドラマに仕上がっており、前作に続き監督の手腕を感じさせる作品となっている。また、津田寛治、辻しのぶといった演技派の俳優たちを相手に、ヒロイン・希子を演じたのは、『リアル鬼ごっこ』(15)、『人狼ゲーム クレイジーフォックス』(15)などに出演する村上穂乃佳。

短編部門(国内コンペティション) 受賞結果

短編部門 審査委員長
桝井 省志氏(株式会社アルタミラピクチャーズ代表取締役/映画プロデューサー)コメント

今までは、短編は今後長編を撮る可能性のある監督の登竜門という考え方をしていたと思う。
しかし今年の作品を見ると、ほぼプロフェッショナルの方々のコンペティションといっても差し支えない。ただ作りたいものだけを作るのではなく、商業的な支えの方々をどう説き伏せながら自分の言いたいことを言うか、皆さんがチャレンジしている姿に感動を覚えた。今回受賞した作品は、社会性を踏まえたメッセージを持ちながら、映画が作られているという点で、 敬意を表したい。

最優秀作品賞
『冬が燃えたら』
2016 年/日本/22 分 監督:浅沼 直也
©Altan Cinemas

画像: ©Altan Cinemas

©Altan Cinemas

短編部門 最優秀作品賞受賞 『冬が燃えたら』 浅沼 直也 監督 コメント
この作品はキャスト 2 人とスタッフ3人だけで、本当に手作りで作った。制作中は、行き届かないところがあったと思うが、最後までしっかり、僕の言っていることを汲み取って、本当に助けていただいた。主演の澤田和宏とは、十年来の友達で、苦労を共にした仲間なので、ありがとうと伝えたい。グランプリを頂いたことを自分の励みにして、これ からも映画制作を頑張っていきたい。

奨励賞
『サイレン』
2017 年/日本/17 分
監督:三宅 伸行
©クロマリズム

画像: ©クロマリズム

©クロマリズム

『追憶ダンス』
2016 年/日本/25 分 監督:土屋 哲彦
©TEAM 追憶ダンス 2016

画像: ©TEAM 追憶ダンス 2016

©TEAM 追憶ダンス 2016

アニメーション部門 (国内コンペティション) 受賞結果

アニメーション部門審査委員長
小出 正志氏(アニメーション研究者、東京造形大学教授)コメント

この映画祭は 15 年近くの長きにわたる、今や「伝統ある」といってもよい映画祭だが、アニメーション部門は始まって数年の若い部門。
映画祭の役割のひとつとして、普段あまり知られることのない種類や技法の作品を見ていただいて、そういった作品に親しむ場を作るということもある。ぜひ皆さまに、この映画祭のアニメーション部門を広く周知いただき、もっとたくさんの作品の応募が行われるようになることを期待したい。

最優秀作品賞
『 I think you're a little confused』
2016 年/日本/8 分
監督:小川 育
©Iku Ogawa

画像: ©Iku Ogawa

©Iku Ogawa

アニメーション部門 最優秀作品賞受賞 『I think you're a little confused』小川 育 監督 コメント
トロフィーがすごく重くて(笑)、賞の重みを感じる。この作品は大学院の修了制作として制作したもので、学生として最後の作品だったので、このような賞をいただいて、大変うれしく思う。今は仕事をしているので、なかなか自分の作品を制作するのが難しいが、今回の受賞を糧に自分の作品をもっと作りたいなという思いが強まった。

奨励賞
『The Interpreter』 2015 年/イギリス/7 分
監督:尾角 典子
©Noriko Okaku

画像: ©Noriko Okaku

©Noriko Okaku

『竹田駅メモリーズ』
2016 年/日本/4 分 監督:浜村 満果
©HamamuraMichika

画像: ©HamamuraMichika

©HamamuraMichika

<SKIP シティ国際 D シネマ映画祭 2017 開催概要>
■会期:2017 年 7 月 15 日(土)~7 月 23 日(日)
■会場:SKIP シティ 映像ホール、多目的ホールほか(川口市上青木 3-12-63)
■主催:埼玉県、川口市、SKIP シティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会

This article is a sponsored article by
''.