ロカルノ国際映画祭2017 
二ノ宮隆太郎監督の新作と近浦啓監督の短編がノミネート

スイス・ロカルノで8月2日から開かれる第70回ロカルノ国際映画祭についての記者会見で12日、日本から二ノ宮隆太郎監督の『枝葉のこと』が新鋭監督コンペティション部門に、近浦啓監督の短編『SIGNATURE』が短編コンペティション部門にノミネートされたと発表された。いずれもワールドプレミアだ。

 二ノ宮監督の『枝葉のこと(Sweating the Small Stuff)』を同映画祭の芸術監督を務めるカルロ・シャトリアン氏は、「二ノ宮隆太郎は、この映画の監督であり出演者でもある。彼が自分の役を解釈・表現するやり方、そして映画そのものの質の高さに、我々選考委員は全員衝撃を受けた」と高く評価した。

画像: ロカルノ国際映画祭2017の記者会見 ノミネートされた作品を発表する芸術監督のカルロ・シャトリアン氏 (写真・里信邦子)

ロカルノ国際映画祭2017の記者会見
ノミネートされた作品を発表する芸術監督のカルロ・シャトリアン氏
(写真・里信邦子)

 この新鋭監督コンペティション部門には昨年、真利子哲也監督の『ディストラクション・ベイビーズ』がノミネートされ、映画祭の最終日に最優秀新人監督賞が監督に贈られ、話題を集めている。
 

新人の発見がロカルノ国際映画祭の基本精神!

 ロカルノ映画祭のメインは何といっても「国際コンペティション部門」なのだが、シャトリアン氏は以前のインタビューで「新人の発見がロカルノの基本精神だという意味では、新鋭監督コンペティションと短編コンペティションはとても大切だ」と語っている。

画像: 「SIGNATURE」場面写真

「SIGNATURE」場面写真

 この短編コンペティション部門(Pardi di domani)に今年、日本から近浦啓監督の13分の短編『SIGNATURE』がノミネートされた。近浦監督は、第66回カンヌ国際映画祭の短編部門に『Empty House』が招待上映されたことで一気に有名になった監督だ。

 今作は、東京渋谷を舞台に、希望を抱えて日本を訪れるひとりの中国人の若者を主役にした短編映画。国際映画祭の舞台でも脚光をあびる中国人俳優 Lu Yulaiが主役を演じている。

ロカルノ、70周年

 今年は、ロカルノ国際映画祭70周年という記念の年だが、このことをシャトリアン氏は「これを契機に、今後も成長し続ける映画祭にする」と位置づけた。この節目の年に合わせ、新しく三つの映画館がオープン。また、歴史的名画が毎日上映される映画館「グラン・レックス」も改装されて広くなり、映画ファンを喜ばせることになる。

 さらにシャトリアン氏が「今年は、世界トップクラスの俳優たちを数多く招待したことでも例外的な年になる」と語ったように、開始から2日目の8月3日には、ナスターシャ・キンスキーが野外のメイン会場、ピアツァ・グランデ広場で表彰され、4日には『戦場のピアニスト』でオスカー俳優になったエイドリアン・ブロディが金豹クラブ賞を受け取る。

画像: 『戦場のピアニスト』でオスカー俳優になったエイドリアン・ブロンディに映画祭の3日目に金豹クラブ賞が贈られる(写真・Pardolive.ch)

『戦場のピアニスト』でオスカー俳優になったエイドリアン・ブロンディに映画祭の3日目に金豹クラブ賞が贈られる(写真・Pardolive.ch)

 観客約16万人が訪れるロカルノ国際映画祭の楽しみは、新人の作品を発見するだけではなく、すでに有名な監督の作品を夜空の野鳥の声を聞きながらピアツァ・グランデ広場の大型スクリーンで見ることにもある。今年は、例えばアメリカの『ザ・ビッグ・シック』やイタリアのフランチェスカ・コメンチーニ監督の女性へのオマージュを描いたとして評判の高い『AMORI CHE NON SANNO STARE AL MONDO』なども上映される。

 また、選び抜かれた7本のドキュメンタリーを上映するドキュメンタリー部門のファンが多いことも特筆に値する。

 こうして今年開催される映画祭に、シャトリアン氏は、「ロカルノは新人や過去の偉大な監督の作品、ジャンルの違う作品など、まるでいくつもの道路が交わる交差点に立った観客一人ひとりが、どの道を進むか決定し楽しむ所だ」と語っていた。

取材・記事 里信邦子(スイスにて)

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