東京国立近代美術館 2F ギャラリー4において「マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good」が2017年5月7日まで開催されています。

マルセル・ブロイヤーといえば、《クラブチェア B3》(通称ワシリーチェア)。それまでの重々しい椅子のイメージを一新し、クッションや大仰な布張りをすっかり取り除いたシンプルなパイプ椅子。実は1925年に弱冠23歳で考案したものなのです。

本展では《クラブチェア B3》の4つの異なるモデルが一堂に展示され、さらに組み立て工程を映像で見ることができます。

画像: マルセル・ブロイヤーによる《クラブチェア B3》に座る女性(リス・バイヤーかイセ・グロピウス)、マスクはオスカー・シュレンマー、ドレスはリス・バイヤーによる photo©cinefil

マルセル・ブロイヤーによる《クラブチェア B3》に座る女性(リス・バイヤーかイセ・グロピウス)、マスクはオスカー・シュレンマー、ドレスはリス・バイヤーによる
photo©cinefil

画像: 最初期の《クラブチェア B3》1925-26年 バウハウス家具工房(デッサウ、ドイツ) 宇都宮美術館蔵 パイプを熔接して構成。 photo©cinefil

最初期の《クラブチェア B3》1925-26年 バウハウス家具工房(デッサウ、ドイツ) 宇都宮美術館蔵
パイプを熔接して構成。
photo©cinefil

画像: 《クラブチェア B3》1927-28年(1925-1926年) 大阪新美術館準備室蔵 こちらはパイプをビス留めして、クッション性が増している。また背もたれに取っ手が付け加えられている。 photo©cinefil

《クラブチェア B3》1927-28年(1925-1926年) 大阪新美術館準備室蔵
こちらはパイプをビス留めして、クッション性が増している。また背もたれに取っ手が付け加えられている。
photo©cinefil

現在、わたくし達が目にするのはKnoll ( ノル )社で「 Wassily Chair ( ワシリーチェア )」として販売されいるものですが、座面や肘掛・背もたれは革張りで、高級品(高額品)です。しかし、考案当時は産業と芸術を統合する取り組みを重視した量産型モデルでした。合理主義・機能主義に基づいたデザインは、彼が学んだドイツの造形学校バウハウス(ヴァルター・グロピウス校長)の影響を強く受けています。1925-28年には自身も学んだ家具工房で主任を務め、デッサウ・バウハウス校舎のインテリアデザインを手がけるなど、彼の作風はバウハウスの進化と密接に結びついています。

ちなみに、画家ヴァシリ―・カンディンスキーに由来する「ワシリー」という愛称は、《クラブチェア B3》発表後からかなり経った1960年頃、生産権利を購入したイタリアの家具メーカーが、正式な商品名としてその名をつけたことがはじまりです。

画像: 《ネストテーブル B9-9c》 1929年 東京国立近代美術館蔵 photo©cinefil

《ネストテーブル B9-9c》 1929年 東京国立近代美術館蔵
photo©cinefil

バウハウスはドイツのヴァイマールに1919年に設立され、1925年にはデッサウに移転しました。
そのデッサウ時代の校舎でも使われていたのが、スツールとテーブルの機能を兼ね備えた《ネストテーブル B9-9c》です。今見ても、そのシンプルさは見事です。

画像: 《ティートローリー》 1932年 東京国立近代美術館蔵 photo©cinefil

《ティートローリー》 1932年 東京国立近代美術館蔵
photo©cinefil

1928年に発表されたティートローリーの改良バージョンでは、車輪が3つから4つに変わって、さらに大小の車輪となっています。天板は外してトレイとしても使用できるすぐれものです。

画像: 《サイドチェア 301》1932-34年 ミサワホーム株式会社蔵 photo©cinefil

《サイドチェア 301》1932-34年 ミサワホーム株式会社蔵
photo©cinefil

画像: 左:《アイソコン・サイドチェア BC3》1936年 東京国立近代美術館蔵、中央:《アイソコン・テーブル BT3》1936年 ヴィトラ・デザイン・ミュージアム蔵、右:《アイソコン・サイドチェア BC3》1936年 ヴィトラ・デザイン・ミュージアム蔵 photo©cinefil

左:《アイソコン・サイドチェア BC3》1936年 東京国立近代美術館蔵、中央:《アイソコン・テーブル BT3》1936年 ヴィトラ・デザイン・ミュージアム蔵、右:《アイソコン・サイドチェア BC3》1936年 ヴィトラ・デザイン・ミュージアム蔵
photo©cinefil

1928年にバウハウスを去った後、ブロイヤーはヨーロッパの主要な都市を巡りながら様々な建築や家具デザインのプロジェクトに携わります。スイス時代には、骨組みが一本につながったアルミニウムの平板で構成された《サイドチェア 301》を製作し、イギリス時代には、合板(プライウッド)を曲げたシルエットが独特の丸みを持つ《アイソコン・サイドチェア BC3》を制作して、新しい素材を家具の構造やデザインにも応用しました。

画像: 左:《ロングチェア》1932年 ミサワホーム株式会社蔵、右:《アイソコン・ロングチェア BC1》1935-36年 ヴィトラ・デザイン・ミュージアム蔵 photo©cinefil

左:《ロングチェア》1932年 ミサワホーム株式会社蔵、右:《アイソコン・ロングチェア BC1》1935-36年 ヴィトラ・デザイン・ミュージアム蔵
photo©cinefil

戦後にはパリのユネスコ本部やニューヨークの旧ホイットニー美術館(現・メトロポリタン美術館分館)を手がけ、建築家としても知られるのマルセル・ブロイヤー(1902-81)の、家具デザインに焦点を当てた家具・プロダクト好きには魅力いっぱいの展示です。ギャラリー4のコンパクトな空間ですが、密度高い体験ができます。

開催概要

会場:    東京国立近代美術館 2F ギャラリー4
会期:    2017年3月3日(金)~ 2017年5月7日(日)
開館時間:  10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)
       *入館は閉館30分前まで
休館日:   月曜(5/1は開館)

観覧料:  一般430(220)円・大学生130(70)円
      *( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
      *高校生以下および18歳未満、65歳以上、キャンパスメンバーズ、「MOMATパスポー
       ト」をお持ちの方、友の会・賛助会会員、MOMAT支援サークルパートナー企業(同
       伴者1名迄。シルバー会員は本人のみ)、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)
       は無料。
無料観覧日:5月7日(日)
      *本展および所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)のみ

巡回:   まなびあテラス 東根市美術館(山形県)
      2017年7月15日~9月24日

ギャラリートーク

・2017年4月15日(土)芦原太郎氏(建築家)
・2017年4月22日(土)当館研究員

※各日とも午後3時から会場にて。
※申込不要・参加無料(要観覧券)

「マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good」
cinefilチケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good」チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いしております。

☆応募先メールアドレス  
info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2017年4月16日 24:00 日曜日
記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

This article is a sponsored article by
''.