2017年11月下旬から公開することになりました三浦しをん原作・大森立嗣監督による映画「光」につきまして、音楽情報を解禁いたします。
全編に渡って音楽を手掛けたのは、世界を股にかけるテクノの巨匠、ジェフ・ミルズ。

現在のエレクトロニック・ミュージックの原点ともいえるジャンル「デトロイト・テクノ」のパイオニア的存在であり、DJとしても年間100回近いイベントを世界中で行っています。
本年2月には、クラシックとテクノを融合したコンサートも日本で実施し、音楽界に革新を起こす存在として世界中の注目を浴びています。

そんなジェフ・ミルズが、大森監督からの熱い要望に応えて、今回自身初となる、本作の音楽を手掛けることになりました。劇場公開映画への音楽提供が自身初であることに加え、それが日本映画であることはとても貴重な出来事です。

日本映画界をけん引する大森立嗣と、世界で活躍するジェフ・ミルズとの新たな挑戦は、今までの日本映画にはない映像と音楽のぶつかり合いを生み出しました。

画像: ジェフ・ミルズと大森立嗣監督

ジェフ・ミルズと大森立嗣監督

<大森監督からのコメント>

音楽は映画に強い影響を与えます。
ときには魔法のようにシーンをまったく別の意味にしてしまいます。だからこそ慎重になります。
いつもそうですが、シーンを説明するような音楽はつけたくないという思いがあり、それがこの映画には一層強くありました。なぜなら『光』という映画が放つ力は、理性的に、寄り添う様にある人間の営みとは別の『生命そのものの光』だと思ったからです。それは異物と異物のぶつかり合い、あるいは融合のようなものです。編集した映像と音楽もそのような関係になればいいと思っていました。
 大駱駝艦(※)を通してジェフ・ミルズさんの曲を聴いていて、もしご一緒したらどうなるだろう? それを想像が出来なくて、でも想像ができないからこそワクワクしました。
パリとマイアミに拠点を置くジェフさんとは、スチール写真をお送りしたり、映画をイメージするキーワードを10個ほどお送りして作って貰うことになりました。音楽はすぐ出来上がってきました。自分の想像を超えていて、映画と融合したときにどう見えるのかを考えると楽しみで仕方ありませんでした。そんなやりとりを重ねて映画は完成しました。
出来上がった映画『光』はタイトルの如く、恒星のように発光していました。俳優が宇宙人のように見えたり、別の星の話に感じたり、地球の重力から解放されたような錯覚すらあったのです。今までこんな映画があっただろうか、すごいことになるぞという感じがしました。
ぜひ映像、ストーリー、音楽がどう共鳴しあっているかを体感していただきたいと思います。

※大駱駝艦・・・1972年、大森監督自身の実父である麿赤兒が立ち上げた世界に誇る日本の舞踏集団。ジェフ・ミルズ自身もコラボレーションしている。

<ジェフ・ミルズさんからのコメント>

Q1:初めて「光」の音楽を担当される、というお話があった際の印象、ご感想を教えてください。

この作品に力添えができて光栄に思います。素晴らしい作品なので、様々なシーンで巻き起こる感情をしっかりと音楽で表現できるように力を尽くしました。

Q2:物語を読み、お持ちになった印象を教えてください。

非常に率直な物語です。控えめさを完全にそぎ落とした、辛辣な作品。芯のある登場人物たちですが、同時に倫理観や慈悲心における喪失感が感じられます。サウンドトラックの制作をしている中で、どの登場人物にも共感できなかったのです。だからこそ、音楽のコード構成や重要な音の配置に関して客観的に作業ができました。

Q3:音楽を創作される際、どのようなイメージをもって創作されましたか。

サウンドトラックが、そのシーンの新たな登場人物である様子を想像しました。また、音楽が登場人物の内なる声として存在してほしかったのです。すべての音の要素が目的を持っている、そんな楽曲作りを心がけました。

Q4:大森監督とは制作時にどのような対話をされましたでしょうか。

大森監督からはサウンドトラック使用シーンのサンプル映像を頂き、映像を何度も見返してシーンを覚えて作曲を始めていきました。比較的多くのアイデアを創り出しました。監督が示す方向性を理解し、それに見合ったタイプの曲を広げていきました。

Q5:これから映画を見る、日本の皆さんへメッセージをお願いします。

頭を空にして、オープンマインドでこの映画を見にきてほしい、それが僕からのメッセージかな。

<音楽:ジェフ・ミルズ プロフィール>
1963年アメリカ、デトロイト市生まれ。現在のエレクトロニック・ミュージックの原点ともいえるジャンル“デトロイト・テクノ”のパイオニア的存在。Axis Records主宰。DJとして年間100回近く世界中のイベントに出演する。
音楽のみならず近代アートとのコラボレーションも積極的に行い、2007年、フランス政府より日本の文化勲章にあたる芸術文化勲章Chevalier des Arts et des Lettresを授与される。
2013年、日本科学未来館館のシンボル、地球ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」を取り囲む空間オーバルブリッジの音楽「インナーコスモス・サウンドトラック」を作曲。現在もその音楽が使用されている。
2005年、モンペリエ交響楽団との共演をきかっけに開始したミルズとオーケストラの公演はこれまで全世界ですべてソールドアウト。エレクトロニック・ミュージック・シーンのパイオニアでありながら、クラシック音楽界に革新を起こす存在として世界中の注目を浴びている。

『光』 作品概要

過去の忌まわしい事件が、25年たった今、再び迫りくる―。
原作:三浦しをん×監督:大森立嗣。
逃れることの出来ない運命に翻弄され、「野生」を目覚めさせた人間を描く、
過酷で濃厚なサスペンス・ドラマ。

原作は、「舟を編む」で本屋大賞を受賞した三浦しをん。今作は、明るいテーマの多い筆者の作品群の中でも特別な位置を示す。
「日常に潜む暴力」を書きたかったとし、その先にある希望は何かと問いかける。社会を成り立たせている根本的な部分をテーマに挑んだ、多くの読者からも高い評価を得ている野心作に挑んだのは、「まほろ駅前多田便利軒」でタッグを組んだ大森立嗣監督。

 そして、もとよりお互いが共演を望んでいた井浦新と瑛太が参戦し、長谷川京子、橋本マナミという初めての4人のアンサンブルが実現した。

物語

東京の離島、美浜島。記録的な暑さが続くその島で暮らす中学生の信之は、信之を慕う年下の輔は、父親から激しい虐待を受けている。同級生は、幼馴染で美しい恋人の美花ただひとりだ。ある夜、美花と待ち合わせた信之は、島の外部からやってきた者に、美花が犯されている姿を見てしまう。美花を救う為に、信之は取り返しのつかない罪を犯す。そして次の日、理不尽で容赦のない自然の圧倒的な力、津波が島に襲いかかり、全てを消滅させる。生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった。
それから二十五年。
妻(橋本マナミ)と、一人娘とともに暮らしている信之(井浦新)の前に輔(瑛太)が現れ、過去の事件の真相を仄めかし、やがて、封じ込めていた過去の真相が明らかになっていく。
秘密を握る輔は、記憶の中の信之を取り戻すため、信之と美花を脅し始める、信之は美花(長谷川京子)を守ろうとするが―。

【クレジット】
井浦新 瑛太 長谷川京子 橋本マナミ  南果歩 平田満
監督・脚本:大森立嗣 
原作:三浦しをん(「光」集英社文庫刊) 
音楽:ジェフ・ミルズ 
配給:ファントム・フィルム
©三浦しをん/集英社・©2017「光」製作委員会


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