カンヌ国際映画祭で上映されるや観る人を震撼させ、韓国で観客動員数700万人に迫る大ヒットを記録した究極のサスペンス・スリラー『哭声/コクソン』 が、3月11日よりシネマート新宿ほかにて公開となります。

韓国で最も権威ある映画賞のひとつである第37回青龍映画賞では監督賞をはじめ、日本から参加し平和な田舎の村に大きな変化をもたらす“よそ者”を演じた國村隼が同映画賞の歴史の中で韓国以外の外国人俳優として初受賞となる男優助演賞と人気スター賞を受賞するなど、同年度最多となる合計5部門を受賞。
また、韓国のアカデミー賞といわれる第53回大鐘賞でも本年度最多タイとなる5部門で受賞。
その評価は各国映画祭や韓国だけに留まらず、米No.1映画レビューサイト【RottenTomatoes】では批評家満足度で驚異の99%(1月30日時点)をマークしている。

本作が、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017」でクロージング作品として3月5日に上映され、本上映のために今年1月に続き来日したナ・ホンジン監督と國村隼が舞台挨拶に登場! 
上映後に観客とのティーチインを行いました。

監督は『チェイサー』が上映された2009年と審査員として参加した2011年以来の訪夕、國村は初めてのゆうばり映画祭参加となり、本作の日本公開を目前に控えての“北海道プレミア”ともいうべき機会を存分に満喫しました。

今回、終幕を迎えた「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017」でのクロージング上映後に開催されたティーチインレポートお伝えします。

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017
クロージング上映 『哭声/コクソン』

■ゲスト:國村隼、ナ・ホンジン監督
■日時:3月5日(日)11:30~14:50
■場所:合宿の宿ひまわり 体育館(夕張市鹿の谷山手町18)

画像: 國村隼とナ・ホンジン監督

國村隼とナ・ホンジン監督


上映前にはナ・ホンジン監督がひとりで登場。
本上映に合わせて昨晩夕張に到着したばかりだといい、「コンニチハ、ナ・ホンジンデス」と日本語を交えて挨拶。
國村が青龍映画賞で外国人俳優史上初となる男優助演賞を受賞したことについて、「本当にうれしかったです。その演技はもらって当然だと思ってはいましたが、授賞式のために韓国まで足を運んでくださって受賞されなかったらどうしようかと心配したので、胸をなでおろしました」と振り返る。

上映後には國村も登場。この映画の脚本を読んだ上で出演を決めた理由について聞かれると、「撮影自体は今まで経験したことのないくらいタフなものになるだろと予想はしていましたが、それでもやりたいと思いました」と語った。
國村に出演オファーをした監督は、「國村さんのこれまでの映画を見て、編集されていないひとつのカットの中ですでに編集されているような多様な姿を見せているのが印象的でした。映画をご覧頂いたように、お客さんが“よそ者”という人物をどう捉えるかが重要で、その点で國村さんとこの映画が目指す目標が一致したのでお願いすることにしました」と振り返る。

会場には大勢の観客が詰めかけ、ティーチインにも質問が途切れることなく飛び出した。
映画のアイデアの根源を聞かれた監督は、

「実話を素材にした物語ではありません。これまで作られた他の作品を見てみても、加害者からの視点の方が多かったと思います。でも、自分は被害者の視点でこの物語を進めたかったんです。
“なぜ、この人はこんな目に遭わなければならないのか”
“なぜこんなことになってしまったのか?”
その答えは、実際の出来事や作品をいくら探してもありませんでした。だから、悩み悩んでこのような話を思いついたんです」と答える。

“よそ者”を日本人にしたことについて、監督は、「よそ者のモチーフは新約聖書から得ました。皆さんは主人公ジョングの立場から映画をご覧になったと思いますが、よそ者は聖書ではその反対側にある存在です。遠くエルサレムから噂になっているイエスという存在。イエスが近づいてきて実際に姿を現し、それを見守るユダヤ人の姿。それを日本人にした理由は、韓国人と似たような外見でありながら異質である国の人の存在が必要でした。韓国に中国人はたくさんいて脱北者も意外に多いので、それで日本人にしました」と説明する。

MCが、何かが起こった時によそ者のあいつのせいだと排除していく物語の進行が、社会の流れとリンクしていることについて尋ねると、國村は、「僕もそう感じました。この役柄は、その存在すら疑ってもいいような存在です。韓国映画における日本人という捉え方ではとても掴めないキャラクターで、もっと人間の存在の根源の部分を問いかけます。人の世の中で一番恐ろしい“噂”だったり、確かなものでないものへの不安。そこから沸き起こる疑心暗鬼が生み出す悲劇だと考えれば、納得のいくストーリーだといえます」と説明する。

登場人物のひとり祈祷師イルグァンが象徴するものについて聞かれた監督は、「このキャラクターは韓国の民族信仰(シャーマニズム)の象徴です。でも、彼のやってる行為は悪を葬ろうとするのか振り払おうとするのかは曖昧です。“よそ者”が果たす役割によって、イルグァンの役割の解釈も変わってくると思います」と本作をひもとく上でのヒントを語ってくれた。

本作は谷城(コクソン)という韓国にある実際の町が物語の舞台になっているが、劇中激しい雨になったり晴れ間が見えたりといった印象的な気候の変化について聞かれると、「コクソンを舞台に選んだのは、高いビルも山並みも見える、スカイラインも見えるという場所だったからです。それによって天気や時間の変化、そういうものが常に人物の後ろに現れるように設定しました。理由としては、この映画は神という存在に関する話でもありますが、自然を通して神という存在を表現したかったんです」と説明した。

本作の内容ゆえ、当初は地元のリアクションは冷ややかだったというが、韓国で劇場公開されると“聖地巡礼”として観光客が8倍に増えて町長に感謝されたことを明かすと場内は大きな笑いに包まれるなど、ふたりとも熱気ある観客に触れ饒舌に様々なエピソードを披露した。

画像: ギリギリシーンの『哭声/コクソン』 WEB予告「恐ろしい噂 よそ者」編 youtu.be

ギリギリシーンの『哭声/コクソン』 WEB予告「恐ろしい噂 よそ者」編

youtu.be

<STORY>
平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。彼がいつ、そしてなぜこの村に来たのかを誰も知らない。この男についての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして必ず殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。事件を担当する村の警官ジョングは、ある日自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。ジョングが娘を救うためによそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、誰も想像てきない結末へと走り出す―

監督:ナ・ホンジン
出演:クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、チョン・ウヒ
2016年/韓国/シネマスコープ/DCP5.1ch/156分 
©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

This article is a sponsored article by
''.