映画『雪女』が 3 月 4 日(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、シネマ・ジャック&ベティを皮切りに全国公開されます。

画像: 杉野希妃 Snow Woman Film Partners

杉野希妃
Snow Woman Film Partners

100 年以上前に小泉八雲が著した「怪談」は、日本各地の伝説を怪奇文学に昇華させた作品。その中の一編「雪女」を、独自の解釈で杉野希妃が映画化したのが本作です。『マンガ肉と僕』、『欲動』に続く、監督第三作としてかねてから映画化を切望していた杉野が、自ら雪女とユキの二役に挑みました。
主人公の巳之吉役に、活躍目覚ましい青木崇高、娘のウメに注目の若手山口まゆ。佐野史郎、水野久美、宮崎美子、山本剛史、松岡広大など大ベテランの演技派や注目の若手が脇を固めています。
撮影監督は名手上野彰吾、美術は種田陽平門下の田中真紗美、音楽は杉野作品の殆どに携わっている sow jow。杉野の故郷である広島県の全面協力のもと、映画の街で知られる尾道市を中心に、全編を広島県内、広島弁で撮影されました。

第 29 回東京国際映画祭(TIFF)のコンペティション部門出品作『雪女』(3 月 4 日公開)の試写会と記者会見が、2 月 23 日に公益社団法人日本外国特派員協会で開催されました。
杉野希妃監督と青木崇高が登壇し、流暢な英語を交え、外国人記者からの質問に答えました。

画像: 杉野希妃監督・主演『雪女』共演の青木崇高と共に外国特派員協会で記者会見ー”異種”に対しての寛容さを持つことが未来を創ることに繋がるのではないか--

Q&A

Q.なぜラフカディオ・ハーンのこの短編を今映画化したのか。

A.4年前に小泉八雲の本を読む機会がありました。ギリシャ出身でアイルランドやアメリカを経て日本に辿り着いた彼が、海外から来た人間として、日本の良さや日本の心を国内、そして海外に伝えようとしたこと。それは、いまの時代にも求められていることだと感じました。彼が描いた「見えないものと共存する私たち」という視点は失われつつあります。現代、世界中で思想が過激になっていく中で、「異種」、つまり自分とは違う人々に対して寛容になり、交わることが未来を創ることに繋がるのではないかと思います。(杉野)

Q.大映の映画から影響を受けたと聞いたが、どのような意匠を凝らしてこの作品を撮ったのか。

A.特に溝口健二監督、増村保造監督、吉村公三郎監督に強く影響を受けました。私が映画の世界を志したそもそものきっかけが大映映画なので、その匂いがする作品になっているところもあるかもしれません。また本作において具体的には、渡し舟のシーンは溝口監督のとある作品からインスパイアされましたし、『浮草』等での小津監督の色づかいも参考にさせて頂きまし た。原作を読んだ時に自分の中で想起された、古い日本映画のような映像を大切にしたかったので、あえて完全に現代風にアレンジせず、クラシックな良さとモダンな面白さを共存させた作品を目指しました。(杉野)

Q.やはり『雪女』といえば小林正樹監督だが、これを参考にした部分はあるか。

A.皆様ご存知の通り小林正樹監督の『怪談』は傑作ですし、中でも怪談の世界観をそのままに、莫大な予算をつぎ込んで作られた『雪女』は一番好きな作品です。しかし、もとより原作通りに映画化するつもりはありませんでしたし、それだけの予算もなかったので、これに対抗するのではなくまったく違う作品を目指したつもりです。自分がいまできることは雪女と人間の混血である「子供」という存在に焦点を当てることであり、そしてそれがいまこの作品を映画化する意味だと思いました。(杉野)

Q.杉野監督に対し、女性監督だからこその違う視点をお持ちだと感じたことはあるか。

A.以前から女優、監督、そしてプロデューサーとしてマルチに活躍する彼女とぜひ一緒に仕事をしたいと思っていました。監督が女性であることや若いことは、自分が『雪女』の世界を生きる、そしてそれを楽しむ上ではあまり関係のないことでしたが、ただ監督とラブシーンを演じるというのはなかなか貴重な体験だったのではないかと思います。(青木)

Q.「夫婦であっても男と女は永遠に分かり合えないもの」というセリフがあったが、これは日本的な考え方なのか。

A.セリフには私自身が普段考えていることを反映しています。私は2008年頃からプロデューサーとしてさまざまな国の方と仕事をしています。もちろん分かり合えないことだらけで、当初はそれをストレスに感じていましたが、今ではそれが当然なのだと受け入れられるようになりました。分かり合えない中でも互いを尊重し、共有できる部分を模索し、受け入れ合うことが大事であり、それは夫婦においても同じなのではないかと思います。(杉野)

A.日本人はよくそういうことを言いますがネガティブな意味ではけっしてなく、だからこそ2人で支え合いながら生きていきなさい、というメッセージなのだと思います。これは劇中で巳之吉のお母さんが彼に、自分を信じて頑張りなさいという応援の気持ちを伝えようとした言葉だったのではないでしょうか。(青木)

Q.映画作りのやり方、どうやって多くの人を纏めていくのかについて教えてほしい。

A.これはひとえに彼女の人柄、そしてパワーによるものだと思います。(青木)

A.本当に大好きで、発案段階から演じていただきたいと思っていた青木さんをはじめとする、自分が共演したかった方々とご一 緒にお仕事ができたことが本当に嬉しいです。私にはリーダーシップがあるわけではないのですが人一倍情熱を持っていて、 その「やりたい」という溢れる思いを周囲にストレートに伝える、ということは得意なのかなと思っています。(杉野)

A.それだけではなく、彼女はまさに雪女なんです。というのも、撮影した際は暖冬でなかなか雪も降らなかったのですが、監督が現れるとその日だけ雪が降った。キャスト、スタッフ一同彼女が雪女であると認めざるを得なくなり、この作品が良いものになることを信じて監督についていこう、という雰囲気になりました。(青木)

Q.時代設定はいつなのか。

A.現代のパラレルワールドとして描いているのではっきりとした時代設定はありませんが、衣装や美術は大正、昭和初期を参考にしました。原作の本質としてどの時代のものかわからないような、むしろいつ起こってもおかしくないような物語だと感じましたし、また雪女の存在そのものがSF的であると思ったので、例えば古臭いマタギの格好とスーツ、といった様々な服装が入り交じり観客の皆様を幻惑させることで、時代を超えていく作品にできるのではないかとチャレンジしてみました。(杉野)

Q.劇中の、成人の儀式で用いられる歌は日本の古典を参照しているのか。

A.完全にオリジナルです。渡し舟のシーンではあの世とこの世の境い目として「川」を登場させているように、「川」というモチーフをまた子供が大人になる過程で超えていく境界としても象徴的に用いたかった。歌詞は作曲家と私で考案しました。小泉八雲の朗読ライブを10年以上続けられてきて、八雲研究家といっても過言ではないほどの見識をもつ佐野史郎さんが、撮影中も言い回しについてさまざまなアドバイスをくださったので、少しずつ歌詞を変えていきました。俳優さんと意見を出し合い、深くコ ミットしながら撮影ができてとても幸せでした。(杉野)

A.雪女に見つめられて「殺しますよ」と言われたら頑張らざるを得ないですよね!(青木)

画像: Q.劇中の、成人の儀式で用いられる歌は日本の古典を参照しているのか。

『雪女』予告

画像: 杉野希妃 監督・主演『雪女』予告 youtu.be

杉野希妃 監督・主演『雪女』予告

youtu.be

物語

ある時代、山の奥深く、吹雪の夜。
猟師の巳之吉は、山小屋で、雪女が仲間の茂作の命を奪う姿を目撃してしまう。
雪女 は「この事を口外したら、お前の命を奪う」と言い残して消え去る。翌年、茂作の一周忌法要の帰り道。巳之吉は、美しい 女ユキと出会う。
やがて二人は結婚し、娘ウメが生まれる。14 年後。美しく聡明な少女に成長したウメは、村の有力者の 息子で、茂作の遠縁にあたる病弱な幹生の、良き話し相手だった。
しかしある日、茂作の死んだ山小屋で幹生が亡くなっ てしまう。幹生の遺体には、茂作と同じような凍傷の跡があった。ユキの血を引く娘のせいだと、巳之吉を激しく問いつめ る幹生の祖父。
巳之吉の脳裏に 14 年前の出来事が蘇り、以前から自分の中にあったユキに対する疑心と葛藤する。自 分があの夜の山小屋で見たものは何だったのか、そしてユキは誰なのか..。

CAST
杉野希妃 青木崇高 山口まゆ 佐野史郎 水野久美 宮崎美子 山本剛史 松岡広大 梅野渚
STAFF
エグゼクティブプロデューサー:坂本敏明、田中弘樹、梶浦隆章、小野光輔、門田大地、市村友一
プロデューサー:小野光輔、門田大地
コプロデューサー:福島珠理、山口幸彦
脚本:重田光雄、杉野希妃、富森星元(小泉八雲「怪談」より)
撮影:上野彰吾
ラインプロデューサー:大谷治
美術:田中真紗美
音楽:sow jow
照明:村治英樹
録音:國分玲
助監督:市原大地
記録:夏都愛未
編集:YYH
衣裳:馬場恭子
メイク:望月志穂美
制作担当:新井聡

制作プロダクション:和エンタテインメント、RCC 文化センター
配給:和エンタテインメント
製作:Snow Woman Film Partners
(和エンタテインメント、キングレコード、朝日新聞社、中央教育研究所、田中弘樹、門田大地)

2017年3月4日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマ・ジャック&ベティ
2017年4月1日よりシネ・リーブル梅田、大阪シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、神戸元町映画館 ほか全国順次公開

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