今年、節目の第70回目を迎えるカンヌ映画祭。

この連載では、毎年5月に催される世界最高峰の映画祭の昨年の模様をまとめてレポート!

この映画祭の魅力をお伝えします。

第69回カンヌ国際映画祭便り【CANNES2016】2

第69回カンヌ国際映画祭が、現地時間の5月11日(水)に、風光明媚な南仏の高級リゾート地で開幕した。映画祭初日の本日は、曇り空から晴れ、夕立風の雨、そして晴天…と天気が目まぐるしく変わる1日となった。

今年のオープニング作品は、カンヌ好きの名匠ウディ・アレン監督による『カフェ・ソサエティ』!

画像: オープニング上映作『カフェ・ソサエティ』の公式記者会見 Photo by Yoko KIKKA

オープニング上映作『カフェ・ソサエティ』の公式記者会見 Photo by Yoko KIKKA

『カフェ・ソサエティ』は、1930年代のハリウッドを舞台に、映画産業で働くことを夢見てニューヨークからやってきた青年(ジェシー・アイゼンバーグ)が、魅力的な女性と恋に落ち、そして時代の象徴とも言える映画スターや著名人が集まるきらびやかな上流階級社会(カフェ・ソサエティ)の熱狂に傾倒していく物語で、撮影監督にカンヌ国際映画祭の長編コンペ部門の審査員を務めたこともある大御所ヴィットリオ・ストラーロを迎えた意欲作である。

画像: 撮影監督のヴィットリオ・ストラーロ Photo by Yoko KIKKA

撮影監督のヴィットリオ・ストラーロ Photo by Yoko KIKKA

映画祭のオープニング・セレモニーは宵の19時からのスタート(今年の司会者はコメディ・フランセーズの準座員で、ポール・ヴァーホーヴェン監督のコンペ出品作『エル』にも出演する俳優のローラン・ラフィット)で、『カフェ・ソサエティ』はそのセレモニーに引き続き、19時15分と23時00分からの2回、正式上映(ドレスコードのあるソワレ上映)が行われるのだが、我ら報道陣はその上映に先立ち、午前中からの始動せねばならない。まずは朝の10時から上映された本作のプレス向け試写を鑑賞後、12時30分から行われた公式記者会見に参加した。
登壇者はウディ・アレン監督と撮影監督のヴィットリオ・ストラーロ、そして俳優陣のジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、ブレイク・ライヴリー、コリー・ストール。

画像: ジェシー・アイゼンバーグ(左)とクリステン・スチュワート Photo by Yoko KIKKA

ジェシー・アイゼンバーグ(左)とクリステン・スチュワート Photo by Yoko KIKKA

『さよなら、さよならハリウッド』『ミッドナイト・イン・パリ』に続き、本作『カフェ・ソサエティ』が、自身3度目となるカンヌ国際映画祭オープニング上映作となったウディ・アレン監督だが、名匠ヴィットリオ・ストラーロとのコラボについての質問からスタートした記者会見では、今回もアレン節が炸裂。ナレーションを自ら担った理由を“格安だから”として会場の笑いを誘ったのを手始めに、新たな分身としてのジェシー・アイゼンバーグの起用や“浮気”に対する見解、賞には興味がないのでコンペには参加したくない旨(本作もアウト・オブ・コンペティション部門への出品)などを滔々と語った。また、デジタル撮影についてなど、ヴィットリオ・ストラーロに対する質問も多かった。

画像: 飄々としたウディ・アレン Photo by Yoko KIKKA

飄々としたウディ・アレン Photo by Yoko KIKKA

長編コンペティション部門の審査員はオーストラリア出身のジョージ・ミラー監督(審査委員長)ら、総勢9名!

映画祭初日は、オープニング上映作『カフェ・ソサエティ』の公式記者会見に続いて、14時30分から、映画祭の柱である“長編コンペティション”部門の審査員全員が登壇する審査員会見に出席! 
今年の審査委員長には、昨年の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で大復活を遂げ、アカデミー賞6部門(録音賞、音響編集賞、編集賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、美術賞、衣装デザイン賞)を制した異彩監督ジョージ・ミラーが就任。

残る審査員メンバーの顔ぶれは、フランスの人気監督アルノー・デプレシャン、ハンガリーの監督ネメシュ・ラースロー(長編デビュー作『サウルの息子』で昨年のカンヌ映画祭グランプリとアカデミー賞外国語映画賞を受賞!)、イタリア出身の女優&映画監督ヴァレリア・ゴリノ、カナダ出身の男優ドナルド・サザーランド、アメリカの女優キルステン・ダンスト、ジョニー・デップの元パートナーとしても知られるフランスの歌手&女優ヴァネッサ・パラディ、デンマークの男優マッツ・ミケルセン、イランの女性プロデューサーのカタユーン・シャハビ。

画像: ヴァレリア・ゴリノ(左)とアルノー・デプレシャン Photo by Yoko KIKKA

ヴァレリア・ゴリノ(左)とアルノー・デプレシャン Photo by Yoko KIKKA

画像: ヴァネッサ・パラディ Photo by Yoko KIKKA

ヴァネッサ・パラディ Photo by Yoko KIKKA

その審査員会見上では、審査の方向性と姿勢をジョージ・ミラー審査委員長が語った後、残るメンバーも審査に対するそれぞれの心構えを神妙に述べたのだが、出身地に絡めて発せられたカナダ映画についての質問に対し、国民性ジョークで応酬し、ケムに巻いたドナルド・サザーランドの老獪さが実に際立っていた。

画像: ドナルド・サザーランド Photo by Yoko KIKKA

ドナルド・サザーランド Photo by Yoko KIKKA

画像: 審査員メンバー記者会見:中央がジョージ・ミラー監督 Photo by Yoko KIKKA

審査員メンバー記者会見:中央がジョージ・ミラー監督 Photo by Yoko KIKKA

その後、夕方になって、やっとのことさランチにありつき、19時からは明日が正式上映日となるコンペ作品『シエラネヴァダ』のプレス向け上映会に。これが2時間53分の大作であったため、上映が終るや否や、超高級ホテル、マジェスティック・バリエールが有するプライベート・ビーチへとダッシュ!
 ここで22時から催されている“映画祭”主催の“THE WELCOM PARTY”に顔を出し、しばし取材仲間たちと歓談。今日の午前中にカンヌ入りしたという深田晃司監督に挨拶し、幾つか言葉を交わした後、宿に戻ったら何と午前様であった。
(記事構成:Y. KIKKA)

吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
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