嗚呼♡銀幕の女神様 第3回

『鼻にかかった声に中毒性あり!?男を奮起させる聖母!』

インフルエンザの予防接種をちゃんと受ける人ほどインフルエンザになってる人が多いのはきのせいでしょうか?

こんにちは!渋江譲二です。
まだまだ寒くて乾燥する季節が続きます。
と思ったらもう花粉も襲来です。
対策はお早めに。

さて、映画に登場する気になる女性キャラクターを分析・妄想するこの連載も第3回!


タイプの女性を聞かれるとなかなか困るものですが、
僕は迷わずこう答えます。

「品のある女性!」

醸し出す上品さと育ちの良さは中身から出るものですね。


当時の邦画には欠かせない女優さんとして存在感を放っていたのが麻生久美子さん!

そんな麻生さんが演じる数多くの役の中で僕が1番印象に残った作品がこちら。

みうらじゅん原作
2003年公開『アイデン&ティティ』監督 田口トモロヲ

画像: 『アイデン&ティティ』予告編 youtu.be

『アイデン&ティティ』予告編

youtu.be

90年代・バンドブームの最中、デビュー曲がヒットしたバンド「スピードウェイ」。
しかしあっという間にブームは過ぎ去り、ファンは離れ、周りも方向性を変えて行く中、
自らが作る音楽、そして「ロックとは何か?」に葛藤する主人公・中島の葛藤を描いたこの作品。


連載第1回で紹介した「ボーイズ・オン・ザ・ラン」に続き、この短いスパンでまた銀杏BOYZ・峯田和伸さん主演の映画です。

何でしょう、僕が好きな強烈な泥臭さのある作品にはいつも峯田さんが。
知らず知らずに大好きな俳優さんなんです。
ご自身の音楽性と、熱い役がマッチしております。

そんな中島が大学時代から付き合う大好きな彼女!

画像: 予告 スクリーンショット

予告 スクリーンショット

役名は無いのです。
公式にも「中島の彼女」とだけ。

作品の最後に中島は彼女のことをある言葉の中の一部に例えます。
それはネタバレ、というかかなりこの作品の大切な部分なのでここでは言わず。。本編をご覧ください。
以下、「彼女」と呼びますね。

冒頭でも言いましたが、僕が当時、麻生久美子さんのファンになったのはその溢れる気品。

「彼女」はとても女性らしい言葉を使います。
「〜なのよ」や中島に対しての「きみ」など。
文字で読むと普通の言葉に感じますが、実際にセリフとして使ってみるとこれがなかなか自然には聞こえないもので。

麻生さん持ち前の甘い声が、それをごく自然に空気に乗せてこちらの耳に残るのです。


僕はよく女性の好きな声に中毒を起こします。
その特徴が少し鼻にかかった声。
「彼女」(っていうか麻生さん)の声は危ない薬のように効き、僕の妄想を駆り立てます。

この声で・・・・・、叱られたい!!!!

「めっ」って!!!!


「彼女」はどこか摑みどころの無い不思議な佇まい。
芯が強く、自分の意見や気持ちを真っ直ぐに伝えられる女性。

でも中島は音楽への迷いと共に、彼女の自分への気持ちまで疑ってしまいます。
自分は彼女にとっての何なのか。
中島は自信が無いのです。

愛情って態度に示さないと相手を不安にさせてしまうものですね。

僕が昔、長く付き合っていた彼女は感情表現がとてもストレートなコでした。
そのせいかそれに安心し、相手を疑うこともなく飄々と暮らしていた僕に、彼女はたまに苦言を呈していたわけです。
しかし与えたものは返ってこないと不安になるもの。
次に付き合った彼女はとてもドライで。
今度は僕が彼女の気持ちに不安を抱き、あの頃の彼女とは逆の立場に。
相手の気持ちを確かめるような言動をしていた自分は後に考えるとまぁ恥ずかしい恥ずかしい。。
乙女かよってくらい。

男はみんな一度くらいそんな女々しい自分を自覚したことがあるのでは?

世間からもレコード会社からも求められなくなったスピードウェイは、メンバーの気持ちもバラバラに。
生きる方向性を見失い、自分自身の音楽に迷う中島に「彼女」は言います。


「きみの仕事は理想を追うこと。きみが理想を追う限り、私はきみのことが好きよ」


中島がボロボロになった時、「彼女」は決まって中島が「彼女」にとっての絶対であることを伝えます。
聖母のように中島を包み込む「彼女」。

己の道を突き進む中島にとって、「彼女」はアイデンティティそのもの。
中島は彼女の存在をキッカケに自分にとってのロックを見つけるのです。

吹っ切れた中島は、晴れやかな顔で自分のロックを表現し続けるのでした。


中島のモノローグでとても共感した言葉があります。


「不良でもなく、優等生でもなく、普通に生きてきた
不幸なことに普通に生きてきた
だから俺が作る歌には嘘がある
それが俺のロックに対するコンプレックス」


取り柄もなく、突き抜けることもなく、自分自身の生き方にコンプレックスを抱く中島の言葉は、痛いほど僕の胸に突き刺ささりました。

それと同時にそんなコンプレックスを抱えた人間がそれを払拭しようと不器用に音楽で表現する姿に勇気も与えられた言葉です。

特別何も持たない普通の人間にだって、伝えられることがあるんだ!

役者に対する僕の気持ちも同じなんです。

己のアイデンティティを得て答えを導き出した田島。

僕にとってのアイデンティティって何だろう?

そして皆さんにとっては??

画像: みうらじゅん原作 2003年公開『アイデン&ティティ』監督 田口トモロヲ

渋江譲二(しぶえ・じょうじ)
1983年3月15日生まれ。長野県出身。2003年にドラマ『美少女戦士セーラームーン』タキシード仮面役でデビュー。
主な出演作はEX『仮面ライダー響鬼』(2005)、TBS『砂時計』(2007)、NTV『ホタルノヒカリ』(2007)、映画『クロサワ映画』(2010)、『ふるさとがえり《主演》』(2011)など。AbemaTV『特命係長 只野仁』にレギュラー出演中。
公式ブログ『矛盾の男』http://yaplog.jp/shibue-jouji/
公式Twitter @shibue0315

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