第68回カンヌ国際映画祭監督週間で上映され絶賛された、名匠フィリップ・ガレル監督の最新作『パリ、恋人たちの影』が1月21日(土)より シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。また本作の公開に併せて< Philippe Garrel RETROSPECTIVE2017>と題し、貴重な35ミリフィルムに よる特集上映を行われます。

最新作『パリ、恋人たちの影』では、フィリップ・ガレル監督のもとにヌーヴェルヴァーグを支えてきた巨匠スタッフたちが集結!思い描いていた未来とは少し違う現在に、満たされない想いを抱え、愛されたいと彷徨う男と女たちの姿モノクローム の映像の中に軽やかに浮かび上がらせました。

本作の公開を記念し、1月7日(土)に、「新パリところどころ」の一編「フォンテーヌ街」で初めてガレル作品を観て以降、約30年以上ガレルを追っているという、小柳帝さん(ライター、編集者、翻訳者)によるトークイベントをNADiff a/p/a/r/tにて行われました。映画のみならずフランスカルチャーに造詣の深い小柳さんならではの、余すことなくガレルの魅力に迫った濃厚なイベントとなりました。

《イベント概要》
フィリップ・ガレル新作映画『パリ、恋人たちの影』上映記念トークイベント
日時:1月7日[土] 18:30-20:00(開場18:00)
登壇者:小柳帝(ライター、編集者、翻訳者)
会場:NADiff a/p/a/r/t (渋谷区恵比寿1丁目18-4NADiff a/p/a/r/t 1F)

画像: 小柳帝(ライター、編集者、翻訳者)

小柳帝(ライター、編集者、翻訳者)

“渇望された監督”、フィリップ・ガレル

小柳さん「日本で初めて劇場公開されたフィリップ・ガレル監督の作品は『自由、 夜』。
当時、日本で公開されていない作品が多く、名前は知っているが作品を観ることができない“渇望された監督”でした。1948年生まれのフィリップ・ガレルは実父、モーリス・ガレルが役者だったこともあり、幼少期から足繁く映画館に通っていました。その後、10代でカメラを持ち出したガレルは、60年代ヌーヴェルヴァーグの影響を直に受けることに。ゴダールやトリュフォーにしても長編デビューしたのは20代後半で、若き才能と言われた彼らより随分と早い監督デビューをガレルは果た していたのです」と、才能溢れる少年時代のエピソードが語られた。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのニコ、アンディ・ウォーホル...

ジャンルを超えた多彩な交友関係から生み出された、数々の傑作。
ガレルは多くの人との出会いの中で、映画を作っていったと話す小柳さん。「名俳優ミシェル・シモンが絶賛し注目を集めた「記憶すべきマリー」(68)など初期の作品に数多く出演したガレルのミューズのひとり、ズー・ズーはフレンチポップスの歌手。
また、『昼顔』 や『暗殺の森』などで強烈な印象を残したピエール・クレマンティは“カフェ・テアトル”という、演出家・マルク‘O率いるフランスの前衛演劇運動の一員で、ガレルは彼らとも親しく交わっていたといいます。

そして、「処女の寝台」(69)の制作をきっかけに、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコとして活躍していたニコと運命的に出会います。ニコは当時、多くのアーティストの“ファム・ファタール”、つまり運命の女でした。二人はその後、公私にわたるパートナーとなり、7本もの映画をともに作ります。」また、ガレルに影響を与えた人物を語るのには欠かせない人物の話も。

画像: アンディ・ウォーホルとニコ

アンディ・ウォーホルとニコ

小柳さん「もともとガレルはフランスの前衛映画制作集団「ザンジバル」グループの一員として実験映画を作っていました。そしてそのころ、アメリカで活躍していたのがアンディ・ウォーホル。
ウォーホルは、元々ヨーロッパに強い憧れがあったので、“ヨーロッパで実験映画を作っている若者”であったガレルに興味を示したのも不思議なことではありませんでした。
そこでガレルはウォーホルのアトリエ「ファクトリー」にも出入りすることとなり、時代の先をいくアーティストたちとの交流を深めていったのです。」と、ジャンルを超えたアーティスト達との交流のなかから作品のインスピレーションを受け、映画が生み出されていった興味深いエピソードの数々が飛び出した。

ウォーホルが撮ったとニコとヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコの曲

画像: The Velvet Underground & Nico "I'll Be Your Mirror" (Warhol film footage) youtu.be

The Velvet Underground & Nico "I'll Be Your Mirror" (Warhol film footage)

youtu.be

アンディ・ウォーホルのプロデュースのもと、メンバーはルー・リード (ボーカル、ギター)、ジョン・ケイル (ヴィオラ、ベース)、スターリング・モリソン (ギター)、モーリン・タッカー (ドラムス)のオリジナルメンバーにニコが加わりファーストアルバムが完成する。

極めて内省的かつフリーキーなサウンドと、性におけるタブーや薬物など人間の暗部を深く鋭くえぐった歌詞は、デヴィッド・ボウイやセックス・ピストルズをはじめとする後進のアーティストに多大な影響を与え、ロックの芸術性の向上に大きな役割を果たした、20世紀における最重要アーティストの一組である。
ウォーホルの提案により、ファクトリー(ウォーホルのスタジオ)に出入りしていたドイツ生まれのニコがヴォーカルとして参加する(ウォーホルはデビュー作リリースをバックアップする条件としてニコの参加を打診したという。リードはデビューのためにこの提案を受け入れ了承したが、内心は不満だった。後年、リードは当時の状況に関して「とにかくニコは特別扱いだった。良い曲は全部ニコに取られてしまうので困った」と語っている)。こうして5人組となったヴェルヴェッツは1967年に、ウォーホルによるバナナのジャケットで有名なアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』でデビューを飾ることになる(ただし、ニコは作品名から判るようにバンドに加入したわけではなく、あくまでゲスト的な扱いである。実際、ライブには数回しか参加しておらず、本作リリース時にはすでに離脱していた)。当初は3万枚ほどしか売れずヒットしなかったが、後に再評価され、今日では歴史的な名盤とされている。                        (wikipedia)より抜粋

特集上映で堪能できる!ガレルの自伝的映画の時代

「ガレルのフィルモグラフィで大きな転機となるのが、ニコと俳優アラン・ドロンとの間に生まれ認知されることのなかった子供をモチーフに描いた『秘密の子供』(79)。それ以前の即興で撮影された実験的作品から、物語性を伴った作品の幕開けとなり、以降、 有名な作家・脚本家を脚本に招き作品を作っていくことになります。」と話す小柳さん。

その後、リュプチャンスキーの愛弟子、カロリーヌ・シャンプティエ(撮影)とタッグを組みヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞した『ギターはもう聞こえない』(91)、ジャン=ピエー ル・レオー、ルー・カステルが共演した『愛の誕生』(93)、そしてカトリーヌ・ドヌーヴ自ら出演を懇願し、主演を務めた『夜風の匂い』(99)などの話題作のエピソードから話題は息子であり俳優のルイ・ガレルの話に。
「2000年以降、自身の作品に数多く出演していた父モーリス・ガレルに代わり、ガレルの分身となった愛息ルイ・ガレルの主演作が続きます。『恋人たちの失われた革命』は3時間超えの大作。同作はガレルが、1968年にパリで起きた五月革命を自らドキュメントした「アクチュア1」という作品を撮った頃の自分を描いた映画だとされています。憧れのゴダールに絶賛された「アクチュア1」は長い間、紛失したと思われていたせいもあり(2014年に再発見されました)、ガレルはその頃の映画を撮ろうと 『恋人たちの失われた革命』が生み出されました」と、傑作の誕生秘話を語った。

今回の特集上映では、そんなガレルの転換点 となった『秘密の子供』から、小柳さんイチオシの人気急上昇中ルイ・ガレルの出演作などを、当時の雰囲気を体感できるガレルこだわりの35mmフィルムで存分に楽しむことができます!

フィリップ・ガレル監督の最新作『パリ、恋人たちの影』

最新作についても「『ぼくの伯父さんの休暇』の小説版を書き、その後脚本家となってブニュエルやゴダール、大島渚などの作品を手がけたジャン=クロード・カリエールや、ダニエル・シュミットやストローブ=ユイレの作品を多く手がけた名撮影監督レナート・ベルタ、 そして『ジェラシー』に続くタッグとなる、フランスの人気バンド「テレフォン」のフロントマン、 ジャン=ルイ・オベールが音楽を手がけていたりと、錚々たるスタッフが集結しています!」 と、小柳さんにオススメしていただきました。

『Philippe Garrel RETROSPECTIVE 2017』

2017年1月21日(土)~2月17日(金)
会場:東京都 渋谷 シアター・イメージフォーラム

上映作品:
『内なる傷痕』(監督:フィリップ・ガレル)
『秘密の子供』(監督:フィリップ・ガレル)
『愛の誕生』(監督:フィリップ・ガレル)
『夜風の匂い』(監督:フィリップ・ガレル)
『恋人たちの失われた革命』(監督:フィリップ・ガレル)
『愛の残像』(監督:フィリップ・ガレル)
『灼熱の肌』(監督:フィリップ・ガレル)
『ジェラシー』(監督:フィリップ・ガレル)

最新作『パリ、恋人たちの影』

画像: (C)2014 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS - CLOSE UP FILMS - ARTE FRANCE CINEMA

(C)2014 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS - CLOSE UP FILMS - ARTE FRANCE CINEMA

【STORY】
ピエールとマノンは公私ともに良きパートナー。マノンは、低予算のドキュメンタリー映画を制作する夫ピエールの才能を信じ、取るに足らない仕事をして支えている。
映画制作に行き詰まりを感じていたある日、ピエールは若い研修員のエリザベットと出会い、愛人にする。しかし、愛しているのは、エリザベットの身体だけ。
自分を信じ、裏切ることのない妻マノンと別れるつもりはない。ピエールは罪悪感もないままに、2 人と関係を続けることにした。
あるときエリザベットはピエールの妻マノンが浮気相手と会っているところを目撃し、ピエールに告げる―。

画像: 『パリ、恋人たちの影』 youtu.be

『パリ、恋人たちの影』

youtu.be

監督・脚本:フィリップ・ガレル
共同脚本:ジャン=クロード・カリエール(『昼顔』』)
撮影:レナート・ベルタ(『満月の夜』)
出演:クロティルド・クロー(『ピストルと少年』)、スタニスラス・メラール(『ドライ・クリーニング』)、レナ・ポーガム

(C)2014 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS - CLOSE UP FILMS - ARTE FRANCE CINEMA
2015 年/フランス/73 分/
配給:ビターズ・エンド

1 月 21 日(土)より シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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