世界中が驚嘆、感動、絶賛!
全編iPhoneだけで撮影したL.A.発トランス・ストリートムービー!
「大胆にして、美しい!」ギレルモ・テル・トロ監督も絶賛の話題作が遂に日本劇場公開!
ショーン・ベイカー監督「タンジェリン」

ショーン・ベイカー監督来日記念トークイベント

2017年1月下旬より公開する全編iPhoneで撮影されたショーン・ベイカー監督の来日を記念し、12月23日(金・祝)にアップル銀座にて、2015年の東京国際映画祭でいち早く日本の観客に本作を紹介した東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏、ベイカー監督が敬愛する園子温監督作品の撮影監督を務める谷川創平氏と登壇し、トークイベントを実施いたしました。

「タンジェリン」を全編iPhoneで撮影し、世界中の映画祭やハリウッドの巨匠監督たちからも称賛を浴びたショーン・ベイカー監督に、iPhone撮影の秘訣や難しさに迫るトークが繰り広げられました。

「iPhone Filmmakerになろう@アップル銀座」

「タンジェリン」ショーン・ベイカー監督来日記念トークイベント
開催日時:2016年12月23日(金・祝)18:00スタート
場所:アップル銀座

登壇者:ショーン・ベイカー監督、矢田部吉彦(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)、谷川創平(撮影監督)

画像: ショーン・ベイカー監督、谷川創平(撮影監督) Apple Ginza (C)Kensuke Tomuro

ショーン・ベイカー監督、谷川創平(撮影監督)
Apple Ginza (C)Kensuke Tomuro

『タンジェリン』を既にご覧になった谷川創平さんは、「iPhoneで撮った映画ということはどうでもいいことです。とにかく映画が超おもしろい!登場人物一人ひとりに惚れちゃうくらい。映画がおもしろければ何で撮ったっていいという見本のような映画」と、本作の魅力をコメント。

また、2015年の東京国際映画祭で、『タンジェリン』を上映した矢田部さんは、「初めて見たときは何を使って撮っているかは知らずに見て、(東京国際映画祭で)上映を決めてからiPhoneで撮ったのを知ったぐらいiPhon
eでの撮影をまったく意識させられない映画」と、本作との最初の出会いを語りました。

そして、ショーン・ベイカー監督は、「今日は映画を日本に最初に紹介してくださった東京国際映画祭の矢田部さん、また私が大好きなたくさんの園子温監督の映画を撮影された谷川さんとご一緒できて嬉しいです。今日は(このイベントの前に)園監督にもお会いできたので、一日で私のアイドル二人に会えたことになります」と喜びを表しました。

iPhoneでの撮影について聞かれるとベイカー監督は、「アナモフィックのアダプターを使用すれば、小さなiPhoneでも劇場のスクリーンにもたえうる映画的な映像が撮れると確信したので、それが鍵となってiPhoneでの撮影を決めました。また、『タンジェリンではストリートライフを描いていること、また初めて演技する役者たちを多く起用しているので、威圧感を感じさせず撮影することができたのは良かったです。秘密裏に撮影ができたので、誰も僕らが映画の撮影隊だとは思わなかったはずです。唯一、録音機材のブームが目立って気が付く人がいたかもしれないぐらいです。こういった利点は撮影しているなかで見えてきました。そして動きのあるカメラワークだったり、自転車を乗りながらの撮影なども最初から予測していたわけではなく、現場で思いついたことです。重要な舞台となるドーナツショップも非常に狭い空間でしたが、iPhoneで撮影することで、カメラを角に置くことができ、シネマスコープですべての情報を捉えることができたということも、大きな助けになりました。」と、その利点を教えてくれました。

画像: (c)2015 TANGERINE FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

(c)2015 TANGERINE FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

また、『タンジェリン』の独特の色味については、「映像は編集の段階でかなりいじっています。色味は撮影した通りですが、彩度をかなりあげています。冬のロサンゼルスの太陽は3~4時間ぐらいすごくオレンジ色の光を発するので、それを活かすような色彩設計にしました」と、ベイカー監督は惜しみなく『タンジェリン』の映像をどのように作られたかを披露しました。

それに対しiPhoneによる撮影のマイナス点について聞かれると、「不利な点はないですが、一つだけ個人的なものがあって、それは自分のエゴというものを取り除かなければいけなかったという点です。監督作品としては5作目、それをいわゆる映画用のカメラではなく、カメラがたまたまついているiPhoneで撮影するということがリスキーではないかと思いました。コンシューマー向けの機材を使って映画を作ることに自分のエゴと心配がありました。でもプロデューサーの一人に、何を使用して撮影するかではなく、内容が大切なのよと言われ続け、自分でもそう言い聞かせていました。

撮影に入る前に、35mmで撮るのと同じぐらい真剣にこの作品と向き合わなければいけないと襟を正しました。キャストやスタッフにも伝えました。スマホだからといって軽い気持ちで撮ったら絶対に失敗すると思ったからです。」と、当時の心境を振り返りました。

映画撮影でどのような機材を使用するかに話が及ぶと谷川さんは、「例えば自主映画なんてiPhoneを使って撮ればいい。昔は8mmで撮ったりしたけど、今はiPhoneで撮るべきだし、iMovie で編集して、音さえつければできちゃう。そして、皆に観てもらえる。そして僕らプロがもしiPhoneで作るとしたら、あなたたちが作るより100倍いいものを作るという風に努力する。iPhoneであっても完璧なものを作る、プロだとiPhoneで撮ってもここまで出来る、というものを作るのがプロの気持ちだし、プロはそうでないといけないと思う。つまり、iPhoneは自主映画を撮るためには最高だと思います。みんな撮れ!」と、プロとしての心構えとメッセージを熱く語りました。

それを聞いた矢田部さんは、「ドキュメンタリーでもこれから増えていきそうな感じがしますね」と、今後の映画制作につての可能性に触れ、ベイカー監督も「まさによく言ってることで、明日ドキュメンタリーを撮るなら絶対にiPhoneを使うと僕も思う。使わない理由が逆にない。ドキュメンタリーの場合、きっと取材相手はカメラで撮影されるのは初めてだと思うので、威圧感を取り除くこともできるし、誰もが持っているスマホなら、大きなカメラではきっと撮れないことが撮れると思います。」と賛同しました。

画像: ショーン・ベイカー監督、矢田部吉彦(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)、谷川創平(撮影監督)Apple Ginza (C)Kensuke Tomuro

ショーン・ベイカー監督、矢田部吉彦(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)、谷川創平(撮影監督)Apple Ginza (C)Kensuke Tomuro

またベイカー監督は映画の音声の大切さにも触れました。「音の質こそがアマチュアとプロフェッショナルを分けるものなんじゃないかと思うぐらい、僕は重要視して映画作りをしています。観客は視覚的な部分、あるいは視覚的な面での美学が多少自分たちに慣れていないものだったとしても受け入れてくれる。でも音がすこし濁っていたり、台詞が良く聞こえなかったりすると、作品自体が受け入れてもらえないと考えているからです。」

「タンジェリン」の舞台について質問されたベイカー監督は、「前作の撮影のため2012年にロスに移住したのですが、そのとき驚いたのが、ロスの様々なエリアが映画やテレビでほとんど描かれていないことだったのです。特にいわゆる映画産業がこの場所にあるにもかかわらず、こういう地域が出てこないことに非常に違和感を覚えました。

メインの舞台となっているハイランドとサンタモニカ大通りの交差点は、非公式のレッドライト地帯として昔から知られているエリアで、今は主にトランスジェンダーのセックスワーカーたちが働いているエリアとしても知られています。ここにはたくさんの物語がきっとあるだろう、それを掘り下げてみたいというところから、この企画は始まりました。

ですが、僕も共同脚本家もシスジェンダーの白人の男性で、この世界の人間ではありません。ですからアウトサイダーとして僕らがそこの物語を語るのであれば、リスペクトと責任を持って作らなければいけない、そしてその方法を考えたときに、そのエリアをリサーチしながらコラボレーターになってくれる人を見つけること。非常に幸運だったのは、キキとマイヤ二人の主人公を演じた女性たちが、メインのコラボレーターであり、さらに主演にもなったということだったのです。僕らにとって重要だったのが、制作のすべてにおいて彼女たちにOKをもらうことでした。脚本開発はもちろんのこと、撮影時に今撮っているのものがリアルかどうか、このエリアというものを正しく捉えられているのか、ということを彼女たちに常に確認しながら進めていきました。編集の段階でもキキがいつも遊びに来てくれて、意見をわかちあってくれました。彼女の声や意見というものを僕は必要としていました。」と、映画の企画から、主演女優との出会いや関係性を語ってくれました。矢田部さんは、「下ネタ満載、爆笑につぐ爆笑、でも感動するというお見事な作品ですね」と、そんなベイカー監督の映画作りだからこそ生まれた『タンジェリン』を改めて絶賛しました。

そしてプロではない役者を撮るときに工夫することを聞かれた谷川さんは、「プロであれ、アマであれ、役者の勢いというものが出るときに全部撮っちゃうのがいい方法論だと思っている。だから力を出せるときに、照明やカメラの移動などに時間をかけることではなくて、その爆発している瞬間にいろんな方法で撮っちゃえと、良く現場で言うのが、役者が飽きる前に全部撮るということ。何度も繰り返して飽きてくると最初のテンションがどんどん落ちてくるのが、カメラマンはそれが分かる。なのでその勢いが続いている限り、待ち時間なしで何度も撮り続ける。iPhoneはそれば簡単に出来る。簡単にカメラを動かすこともできるし、カメラを増やすこともできる。役者のテンションが落ちる前に、その勢いと力が捉えられないとダメだと思う。『タンジェリン』はすごい勢いが持続していると思う。役者がおもしろがってやってるんだと思う。すごくそれが伝わってくるし、作り手もおもしろがってるのが出ている。」と、撮影監督ならではの意見を聞かせてくださいました。

そして、ベイカー監督の次回作については、「現在、編集中の新作は35mmで撮影しています。何で撮影するというのは企画次第だと思っているので、『タンジェリン』をiPhoneで撮影したことはすごく満足しているが、次は180度違う形で撮りたいという気持ちもありました。この作品のあとはまたスマホで撮影するようなこともあるかもしれません。けれどもスマホをはじめとする技術の進化というものは、ものすごく早いものがあります。iPhoneにしても今は4Kで撮影ができますし、以前はなかった多様なレンズやアプリといったものも入手することができます。僕が大切だと思っていることは、フィルムメイカーたちがたくさんの選択肢を持てるということ。新しいものがでたからと言って、古い撮り方や方法を捨てる必要はまったくない。新しいものによってより選択肢が増えただけのことだと考えています。」と、改めて監督の映画制作に対する意欲を感じさせるコメントをされました。

画像: ショーン・ベイカー監督 Apple Ginza (C)Kensuke Tomuro

ショーン・ベイカー監督
Apple Ginza (C)Kensuke Tomuro

最後に、ベイカー監督は、「『タンジェリン』は映画的な体験ができる映画として撮影したものでもあるので、ぜひ劇場の大きなスクリーンで観ていただきたいと思います。それが『タンジェリン』の一番正しい映画の見方だと思います。」と話し、イベントを終了いたしました。

映画『タンジェリン』予告

画像: YouTube youtu.be

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【物語】

太陽が照り付けるロサンゼルスのクリスマス・イブ。街角のドーナツショップで1個のドーナツを分け合うトランスジェンダーの二人。28日間の服役を終え、出所間もない娼婦シンディは、自分が留守中に恋人が浮気したと聞きぶち切れる。歌手を夢見る同業のアレクサンドラはそんな親友シンディをなだめつつも、その夜に小さなクラブで歌う自分のライブのことで頭がいっぱい。さらに、彼女たちの仕事場の界隈を流すアルメニア人移民のタクシー運転手ラズミックも巻き込んで、それぞれのカオティックな1日がけたたましく幕を開ける!

監督/共同脚本/共同撮影/編集:ショーン・ベイカー 
共同脚本:クリス・バーゴッチ 
共同撮影:ラディウム・チャン 
製作総指揮:マーク・デュプラス、ジェイ・デュプラス
出演:キタナ・キキ・ロドリゲス、マイヤ・テイラー、カレン・カラグリアン、ミッキー・オヘイガン、アラ・トゥマニアン、ジェームズ・ランソン
配給・宣伝:ミッドシップ
2015年/アメリカ/英語・アルメニア語/88分/カラー/シネスコ/原題:Tangerine
(c)2015 TANGERINE FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

2017年1月下旬、渋谷シアター・イメージフォーラムにて全国順次公開

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