マーティン・ スコセッシ監督、アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、リーアム・ニーソン、イッセー尾形が登壇
『沈黙-サイレンス-』LAでギルト試写会 スペシャル・レポートが到着!

画像1: Photo by Alex J. Berliner/ABImages

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12月4日(現地時間)、マーティン・スコセッシ監督の新作『沈黙-サイレンス-』のギルド試写会が行われた。

ギルド試写会とは、アワード試写会とも呼ばれ、映画賞入りを狙う作品のために開催される。
出席できるのは、映画賞を授与する俳優組合や監督組合などの組合員、映画賞を授与するジャーナリスト団体の投票メンバーだ。
会場は、UCLAに近い映画館リージェンシー・ヴィレッジ劇場。プレミア上映会がよく行われ、この日は約1400席が満席となった。

試写後に、スコセッシ監督をはじめ、出演者のアンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、リーアム・ニーソン、イッセー尾形、プロデューサーのアーウィン・ウィンクラー、編集のセルマ・スクーンメイカー、撮影監督のロドリゴ・プリエトらによるQ&Aが行われた。

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スコセッシ監督が「1988年に遠藤周作の『沈黙』を読んで以来、映画化したいと思っていた。
最初に脚本を書いたのが1991年だから、30年越しの企画となった」と話すと、ウィンクラーが「『ヒューゴの不思議な発明』の撮影現場に行ったとき、長年『沈黙-サイレンス-』の脚本が宙ぶらりんになっているけど、どうなっているんだい? と聞いたんだ。そうしたら、なんで? 興味あるのかい? って聞かれて、それが始まりだった。こんなに大変だとは思わなかった」と、製作に携わった経緯を打ち明けた。

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「映画で観るイッセー尾形の演技はすべて彼が考えたものだ」
----マーティン・スコセッシ

 巨匠監督との仕事について、アンドリュー・ガーフィールドは、「俳優として、これまでで一番素敵な経験をさせてもらった。監督が作る安全な環境は素晴らしく、何をしても間違いはないという気持ちで臨めるんだ。おまけに彼は、最も危険で、不快で、全く未知なものを望むけど、ぼくにそれをできるようにさせてくれるんだ」と語った。

ローマ法王に謁見したスコセッシ監督は、「家族と一緒に会見することになったが、事前に決まり事があれこれと書かれた紙を渡された。列に並ばなきゃいけないのに、法王が到着したとき、我々はまだ位置に着いていなかったから慌てたよ。法王はとても無邪気で、笑顔を見せながら『来てくれてありがとう』と話しかけ、私たちが持参したプレゼント、長崎の日本二十六聖人記念館にある絵のレプリカなどをじっくりと吟味してくれた」とエピソードを披露した。

井上筑後守を演じきったイッセー尾形との仕事について聞かれた監督は、「映画で観るイッセーの演技はすべて彼が考えたものだ。扇子でハエを追い払うアイデアや頭を扇子であおぐ動き、ぬかるみにハマる動きもそうだよ。素晴らしかった」と、その演技を絶賛。

監督の言葉を受けてイッセー尾形は、「マーティンは新しいことをトライするのが好きなんです。だからいろいろやってみせると『素晴らしい! もう一回!』とテイクを重ねるんですよ(笑)」と言って、会場を湧かせた。

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撮影監督が語るスコセッシ・メソッドとは。 また、スコセッシの演出法について、撮影監督のロドリゴ・プリエトが説明した。「マーティンはロケ先に行く前にものすごく精密なショット・リスト(それぞれの場面でどういう映像が必要かをリストアップしたもの)を作成する。そして、そのショット・リストについて綿密に話し合い、ロケ先で常にリストを確認しながら撮影を進める。カメラを2台同時に使って撮影することも多く、そういう時は『このシーンがどういう風に進むかわからないから、とにかくピントが合っているようにして後は成り行きに任せよう』って彼は言うんだ」とロドリゴがコメントするとマーティンが「あるシーンでは、閉所恐怖症のような感覚と渡り合わなければいけない撮影もあったからね。そういうシーンの撮影では、カメラを置ける場所が限られていた。ロケ先では、カメラ位置を自由に決めることができる場所もあれば、かなり限られてしまう場所もあったんだ」と、言い訳のようなフォローを入れたのが印象的だった。

「スコセッシによって井上筑後守になりきることが出来た!」---イッセー尾形

 映画を観てファンになったアメリカ人との交流を楽しむイッセー尾形に3つの質問をすることができた。まずは、英語セリフ以外での苦労を聞くと、意外な答えが返ってきた。
「苦労したことは一つもなく、全部楽しかったです。楽しいから、井上をもっと複雑に面白く、チャーミングにするにはどうしたらいいだろうって考えていました。先ほど監督が僕の演技のアイデアについてコメントしてくださいましたが、現場で監督がもっとやろうよっという空気を出してくださったからこそできた。僕を全面的に信頼してくれていると分かるからこそ、引き出してもらえるんです。そういうことがいっぱいありました。頭をあおぐのもその一つでした。演技のアイデアは、全部現場で思いつきました。アドリブというよりも、井上になりきれたからなんです。全身で、井上にならせてらえたからこそできたんです」

画像: (c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

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 井上は、悪役ながら人間味が滲み出る、また好感の持てる悪役だと話を向けると、
「単なる悪役をやると薄っぺらい人物になってしまうから、悪役から逃げようとした。井上は追い詰める役でしたが、僕自身は悪から逃げようと務めた。本作は、悪とか善とかだけの話ではなく、もっと深い、追い込まれた人間の話。だからこそ、悪役は単なる悪だけじゃない方が作品に深みが出ると思ったんです」という返事。鋭い洞察をベースに作り上げた演技だったことが分かった。

運命的な出会いがジャストフィットした奇蹟の映画『沈黙-サイレンス-』

 本作は、宗教の持つ力、「信じる」ということについて深く考えさせられる映画だ。
作品を通じて、イッセー尾形は日本人としての宗教観や信じることについて、どんな考えを持ったのだろうか?

「宗教とまでは大きなことではないかもしれませんが、60歳を過ぎて“神様はいるな”と思いました。60歳とは、人生を一回りした感じがあり、自我、エゴの時代が終わったと思うんです。後の人生は、それ以外のものじゃないと生きていく価値がないっていう風に思い始めるんです。そうすると、何か自分を超えたものの存在を考えるようになり、そうなると神様かなと……。キリストや仏とか、そういうのじゃなくて、何か人間を超えたものが確かにあると信じた方が腑に落ちるんです。例えば今回のこともそうです。今回、僕はこうしてキャスティングされました。本作は何度も頓挫した作品です。一度ダメになって、企画が持ち上がって、またダメになって、でもまた持ち上がって……で、丁度その時に僕がそのサイクル上に合致した。ジャストフィットしたワケです。そういうのも自分を超えた何かがあるからかなと……。アンドリューさんをはじめ、いろんな人に会ったこともね。今回だけに起きたことだから、そこに自分が立ち合えたというのは、『もう、これは神様だ』って台湾で思いましたね(笑)」

キリスト教を題材にした作品で、縁の神の存在を実感した尾形は、本作の好演でロサンゼルス映画批評家協会の助演男優賞次点という栄誉を与えられた。これからが本番の映画賞レースで“イッセー尾形”の名前が頻繁に聞かれるのを楽しみにしたい。

取材:Izumi Hasegawa/ Hollywood News Wire Inc. 文:編集部

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画像: 『沈黙‐サイレンス‐』日本オリジナル予告 youtu.be

『沈黙‐サイレンス‐』日本オリジナル予告

youtu.be

映画『沈黙-サイレンス-』
原作:遠藤周作「沈黙」(新潮文庫刊) 原題:Silence
監督:マーティン・スコセッシ 
脚本:ジェイ・コックス、マーティン・スコセッシ
撮影:ロドリゴ・プリエト 
美術:ダンテ・フェレッティ 
編集:セルマ・スクーンメイカー

出演:アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバー、窪塚洋介、浅野忠信 、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシ 
配給:KADOKAWA 
映画素材クレジット:Copyright (c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:http://chinmoku.jp

『沈黙-サイレンス-』は、1月21日(土)より、全国ロードショー

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