企画展「endless 山田正亮の絵画」が、東京国立近代美術館において2017年2月12日まで開催中です。山田正亮(やまだ・まさあき 1929-2010)は、第二次世界大戦後間もない頃から半世紀以上にわたり美術の潮流から距離をとり、5,000点近い絵画を描きました。今回の展示では、彼の仕事の全貌を選りすぐった主要作200点超を初公開の制作ノート群とともに紹介しています。この制作ノート(Production Note)と作品をともに見られるのは、素晴らしい機会です。

見どころが4点紹介されています。

◆没後6年を経て、満を持して開催される初の本格的回顧展。出品点数は油彩画約200点・紙作品約30点と山田の個展史上最大規模です。さらにスケッチが描きこまれそれ自体の鑑賞性も高い、50冊以上にもなる制作ノートを初公開します。

◆山田が生涯に残した作品は約 5,000点。一点一点が違う表情を見せる膨大な作品群は、5,000回の苦闘から生まれる5,000回の新鮮な発見を物語っています。それはまるで、様々な情報が溢れ、価値観が移りゆく現代において、一途であることの豊かさを見せつけるかのようです。

◆近年、戦後日本美術への新たな視座をもたらす作家として海外からの注目も高まっており、2016年10月にはロンドンのアートフェア「Frieze Masters」でも個展が開催されました。

◆最新型高演色性LED照明を用いて空間を演出。山田がこだわり続けた色彩の美しさをご堪能いただけます。また会場内には、実物を通してアトリエの雰囲気が味わえるスペースも(写真撮影可)。

プロダクションノートの展示風景 photo©cinefil

山田正亮作品には3つのシリーズがあります。

1.Still Life  (1948-1955)

終戦後間もない時期から7 年間継続した静物画の連作。「記憶から描いた」と山田は述べています。
 年を経るにしたがって、瓶や果物といった個別の要素は徐々に解体されはじめ、それらの「あいだ」にある空間と溶け合って画面全体の一体性が増していきます。

Still life 展示風景

《Still Life no.64》1953年 油彩・キャンバス 41×53㎝

2.Work  (1956-1995)

 「Work」シリーズは、3 つのシリーズのうち、継続期間、点数ともに群を抜いており、山田正亮の中心的作品群といえます。そのタイトルは1950年代をB、1960年代をC、1970年代をD、1980年代をE、1990年代をFとして、制作の順に対応するとされる番号が付されています。たとえば、≪Work C.77≫は1960 年代に描かれた77番目の作品ということになります。紙作品には≪Work Ep.447≫というように「p」が付された別系統の番号が与えられています。

《Work C.73》1960年 油彩・キャンバス 180×68㎝ 東京国立近代美術館蔵

《Work C.77》1960年 油彩・キャンバス 180×68㎝ 東京国立近代美術館蔵

 「Work」の画面の基本的な外見は、時代を経るごとに徐々に、そして時に突然に変貌していきますが、ほとんどの場合、キャンバスの形態そのものから派生する垂直線と水平線をその基調にしており、ストライプ、クロス(十字形)、グリッド、あるいはそれらの組み合わせから成り立っています。かなりシンプルな枠組みにもかかわらず、色彩、筆触の精妙な使い分けや、絵具の積層の多様なヴァリエーションなどによって、作品ごとに異なる効果と表情が生まれています。
 1995年、山田正亮は「Work の系列はその円環を閉じた」として、40年続いたその制作に自ら終止符を打ちました。

《Work F.116》1992年 油彩・キャンバス 182×259㎝

《Work D.259》1977年 油彩・キャンバス 130×90㎝

《Work B.125》1956年 油彩・キャンバス 117×91㎝ 宇都宮美術館蔵

《Work Ep.447》1984 年 水彩・紙 79×109㎝

3.Color  (1997-)

「Color」は、「Work」の終了後、左眼の手術を経た山田正亮が「まだやり残したことがある」として始めたシリーズ。画面のほぼ全体が単一な色彩で塗りこめられていますが、画面の周縁部分には下層にある別の色彩がのぞき、微妙なニュアンスを見せています。制作年代は「1997-」などと示されており、完成、未完成の非決定性を暗示しています。

Color 展示風景

《Color no.98》1999-年 油彩・キャンバス 65×53㎝

山田正亮ポートレート 1956 年

2005年、府中市美術館にて「山田正亮の絵画 〈静物〉から〈Work〉―そして〈Color〉へ」という、初期の静物画からストライプの絵画作品、さらに「Color」シリーズからなる個展が開催されていますが、本展で初めて山田正亮の作品に触れる人も少なくないでしょう。

単なる均等なストライプでなく、単なる厚みのない平面ではない山田作品に、懐かしさとともに新しさを感じます。孤高の画家の今日的な意味を改めて探る絶好の機会です。

開催概要

会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期:2016年12月6日(火)~ 2017年2月12日(日)
開館時間:10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
     *入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(1月2日、9日は開館)、年末年始(12月28日[水]-2017年1月1日[日・祝])
    、1月10日[火]
観覧料:一般  1,000(800)円
    大学生 500(400)円
    *( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
    *高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それ
     ぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
    *キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示で団体料金で
     ご観覧いただけます。
    *本展の観覧料で入館当日に限り、「MOMATコレクション」(4F-2F)、「瑛九1935
     -1937 闇の中で「レアル」をさがす」(2Fギャラリー4)もご観覧いただけます。
主催:東京国立近代美術館、京都国立近代美術館
協力:一般社団法人 山田正亮の会
   東芝ライテック株式会社
   東芝エルティーエンジニアリング株式会社
美術館へのアクセス:東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
          〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
   詳しくはアクセスマップ( http://www.momat.go.jp/am/visit/)をご参照ください。
URL:http://www.momat.go.jp/
問い合わせ先:TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)

【関連イベント】

・講演会

日時:2017年1月15日 14:00-15:30 石田尚志(映像作家・画家)+OJUN(画家)
   2017年1月29日 14:00-15:30 本江邦夫(多摩美術大学教授)
   2017年2月11日 14:00-15:30 坂本夏子(画家)
場所:講堂(地下1階)
参加方法:開場は開演30分前、聴講無料(先着140名)、申込不要

・endless ギャラリートーク

日時:2016年12月18日 10:00~17:00
開館時間から閉館時間まで、カタログの寄稿者たちがリレー形式でトークを行う
※詳細は美術館HPなどを参照

「endless 山田正亮の絵画」cinefilチケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「endless 山田正亮の絵画」チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いしております。
☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2016年12月31日 24:00 土曜日
記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

Next

This article is a sponsored article by
''.