「LuckyHouse のポートフォリオ」16
【第29回 東京国際映画祭】で輝いた女性たちの喜びの表情をキャッチ!

10月25日から開催されていた【第29回 東京国際映画祭】が、11月3日に閉幕した。
フランスの名匠ジャン=ジャック・ベネックス監督が審査委員長を務めた今年のコンペティショ部門の出品作は全16本。そのうち4本が女性監督(全員が30代前半!)による意欲作であった。

受賞作は下記の通りだが、審査委員メンバーのアメリカの女性プロデューサー、ニコール・ロックリンが審査委員記者会見で「色々な意味において、目からウロコでした。女性監督、女優の演技が素晴らしく、良かったです」と講評したのも頷ける結果となった。

〈コンペティショ部門受賞結果〉
☆東京グランプリ 『ブルーム・オブ・イエスタディ』(ドイツ/オーストリア合作)
★審査委員特別賞 『サーミ・ブラッド』(スウェーデン/デンマーク/ノルウェー合作)
★最優秀監督賞 ハナ・ユシッチ監督『私に構わないで』(クロアチア/デンマーク合作)
★最優秀女優賞 レーネ=セシリア・スパルロク『サーミ・ブラッド』
☆ 最優秀男優賞 パオロ・バレステロス『ダイ・ビューティフル』(フィリピン)
☆ 最優秀芸術貢献賞 『ミスター・ノー・プロブレム』(中国)
☆ 観客賞 『ダイ・ビューティフル』

★印が女性監督作だが、その喜びの表情をキャッチする機会に恵まれた。
審査員特別賞と最優秀女優賞の2冠を達成した『サーミ・ブラッド』は、1930年代に、少数民族サーミ人を劣等民族として差別し、同化政策を強引に推進していたスウェーデンの暗部を思春期を迎えた少女の姿を通して描いた力作だ。
本作が長編デビュー作となるアマンダ・ケンネル監督も、力強く健気なヒロインを見事に演じきった19歳のレーネ=セシリア・スパルロクも実際にサーミ人の血を引いており、ヒロインの妹役を演じたミーア=エリーカ(13歳)はレーネ=セシリアの実の妹だという。

画像: 10/30に行われた記者会見に臨むアマンダ・ケンネル監督 Photo by Yoko KIKKA

10/30に行われた記者会見に臨むアマンダ・ケンネル監督 Photo by Yoko KIKKA

画像: 『サーミ・ブラッド』の監督(左)と主演女優の胸元を飾るのは、サーミの伝統的な手作り工芸品だそうで、とても素敵! Photo by Yoko KIKKA

『サーミ・ブラッド』の監督(左)と主演女優の胸元を飾るのは、サーミの伝統的な手作り工芸品だそうで、とても素敵! Photo by Yoko KIKKA

画像: 実際にもトナカイを育てているというレーネ=セシリア・スパルロク(10/30の記者会見にて) Photo by Yoko KIKKA

実際にもトナカイを育てているというレーネ=セシリア・スパルロク(10/30の記者会見にて)
Photo by Yoko KIKKA

長編処女作で最優秀監督賞に輝いたハナ・ユシッチ監督の『私に構わないで』は、クロアチアの観光地であるダルマチア地方を舞台に、エキセントリックな家族と同居する20代の内向的な女性の葛藤と心理の変遷を活写した作品で、どうにもやりきれない“閉塞感”を炙り出した演出センスが抜群だ。
ハナ・ユシッチ監督が理想の配役だとして口説き落とし、主人公に抜擢したミア・ペトリヴィッチは、本作が初演技ながら抜群の存在感を発揮。映画撮影後、建築事務所に就職したとのことだが、その不愛想な表情の裏側に強い意志を感じさせる硬質な演技と写真撮影に気軽に応じてくれたチャーミングな素顔とのギャップには驚かされてしまった。

画像: 最優秀監督賞に輝いたハナ・ユシッチ監督                                                                              Photo by Yoko KIKKA

最優秀監督賞に輝いたハナ・ユシッチ監督 Photo by Yoko KIKKA

画像: ハナ・ユシッチ監督(左)と主演したミア・ペトリヴィッチ                                              Photo by Yoko KIKKA

ハナ・ユシッチ監督(左)と主演したミア・ペトリヴィッチ Photo by Yoko KIKKA

観客賞と最優秀男優賞をダブル受賞したジュン・ロブレス・ラナ監督の『ダイ・ビューティフル』は、トリシャと名乗るドラッグクイーンが、美女コンテストで念願の優勝を果たした矢先に急逝。その遺言を埋葬前に叶えようと奮闘する仲間の姿とトランスジェンダーのヒロインの過去を交錯させて描いたカラフルな作品だ。

画像: 授賞式後のパーティにジュリア・ロバーツの姿で参加したパオロ・バレステロス          Photo by Yoko KIKKA

授賞式後のパーティにジュリア・ロバーツの姿で参加したパオロ・バレステロス Photo by Yoko KIKKA

涙と笑いに満ちた人生を送るヒロインを大熱演したパオロ・バレステロスは、フィリピンのバラエティ番組のホスト役などで知られているタレントで、有名人に成りきるインパーソネーターやメークアップ・アーティストとしても活躍しているそう。
劇中でもアンジェリーナ・ジョリー、ジュリア・ロバーツ、レディ・ガガ等の艶姿を披露しているが、10/27に行われた上映後のQ&Aにおいて、本人自身は“ストレート”で、7歳の子供がいると明かしてくれた彼が、壇上で感極まって涙する姿が印象的だった。

画像: 10/27のQ&Aに登壇した素顔のパオロ・バレステロス                                                          Photo by Yoko KIKKA

10/27のQ&Aに登壇した素顔のパオロ・バレステロス Photo by Yoko KIKKA

その後、一旦フィリピンに帰国したパオロ・バレステロスだが、受賞の報を受けて急遽再来日。授賞式には、ジュリア・ロバーツに成りきって登壇するサプライズ演出で、会場は大喝采!
審査委員のメイベル・チャン監督が「男優賞と女優賞のどちらにすべきか、迷いました」とジョークを飛ばすほどの成り切りぶりに敬意を表し、今回の記事では敢えてパオロ・バレステロスを女優カテゴリーに含めることにした。
(Text by Yoko KIKKA)

吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
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