今週ご紹介する作品には共通したテーマがあるような気がします。
「男の絆」といえばいいのでしょうか、何か守りたいものがあって、そのためにいろいろな立場を越えて助け合うことになる男たちの姿があります。お互いにギャップがあればあるほど、その違いを乗り越えてまで助け合おうとするところに、観客はぐっと来る、訳ですね。

『我らが背きし者』

「我らが背きし者」はスパイ小説の大家ジョン・ル・カレの原作の映画化です。スパイ物といっても、ミッションインポッシブルのような荒唐無稽なものではなく、地道な、現場のスパイたちのやむにやまれぬ行動を描くル・カレの作品は、最近映画化されることがおおくなりました。
 元は冷戦をバックにした作品が多かったのですが、登場するスパイたちの人間くささが、舞台を冷戦後の今に移し変えても十分に通用するからではないかと思います。

 今回の登場人物は平凡な大学教授。詩を教えているという、アクションとは縁のなさそうな男です。自分よりも稼ぎの良い弁護士の妻に生徒との浮気がばれて、どうにか許してもらおうと、エキゾチックでロマンチックなモロッコにやってきます。

 帰国を前にしたある晩、高価なレストランに出かけたものの、その値段にビビッてしまう夫にあきれ、仕事の電話をかけに中座する妻。それをみていた男たちのグループがいました。リーダーらしき男は夫に一緒に飲もうと声をかけます。入れ墨だらけの、筋骨たくましい体に高価そうなスーツをまとう、明らかに危険なタイプの男たちを断ることができない夫は、翌日リーダーのパーティに行くことを約束させられてしまいます。

 男たちはロシアンマフィアで、リーダーは金庫番のディマという男でした。ペリーとゲイルの夫妻は、ディマの決死の裏切りの片棒を担がされることになり、思いもかけない事態に巻き込まれていきます。

 夫を演じているのはユアン・マクレガー。決してスーパーヒーローにならない、どちらかというと情けない男なんですが、情にほだされてマフィアとMI6の間を取り持つことになってしまい、おたおたするあたりをうまく分イキだしてます。家族を助けたいがためマフィアを抜けようとするデイマを縁ずるのはステラン・スカルシュガルド。危険な男なんだけれど、家族思いという二面性を印象強く見せています。そしてこの二人の命を握ることになるMI6のエージェント、スパイですが、公務員なこの男を味わい深く演じているのがダミアン・ルイス。次の007役にも名前が挙がっているという人。三人の男のぎりぎりの駆け引きが、なかなか泣かせる一本です。
 
「われらが背きしもの」はTOHOシネマズシャンテ他で、10/21より公開です。

映画『われらが背きし者』予告編

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『スタートレック ビヨンド』


「スタートレック ビヨンド」はおなじみエンタープライズ号の乗組員の若き日を描く新シリーズの三作目です。父を乗り越えようと葛藤するカーク船長、ウフーラとの関係が微妙なスポックをはじめとする乗組員たちは、5年間の航海三年目を迎え、ヨーク基地に寄港し英気を養っています。そのとき基地に謎のスターシップが漂着し、ある星に不時着している仲間を救助してほしいという要請をします。そのミッションが果たせるのはエンタープライズ号だけ。カークたちは未知の星雲に向かいます。しかし…
 と、ここでその星雲には敵対的な異星人がいて戦いになるという定番の展開なわけですが、その圧倒的な強さにエンタープライズ号はなすすべもない、というのが今回の売り。あっと言う間に撃墜されて、乗組員たちは拉致され、捕まらなかった者も散り散りになってしまうと言うところから始まります。
 何でこういうことになったのかもわからないうちに、放り出されてしまう主要メンバーたちが、いつもとはちょっと違う組み合わせであるところがおもしろい。たとえばカークにはチェコフ、スポックにはドクター・マッコイ、スコッティは一人でこの星の住人に助けられ仲間になるという具合です。それぞれのキャラクターの新しい面とか、悩んでいるところを補ってもらっているうちに悩みを克服するとか、なんていうか人間的成長を遂げていくのですね。みんな、まだ若いですから伸び代ノビシロがある、わけです。
 スペースオペラ、宇宙戦争ものとしての派手な戦いシーンはもちろん迫力いっぱいですが、それよりも人のアクションと成長物語が見物、だと思います。

「スタートレック ビヨンド」は、10/21より、各シネコンでご覧になれます。

『スター・トレック BEYOND』最終版予告

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『奇蹟がくれた数式』

 今年はなんかジェレミー・アイアンズ祭りのよう。今年5本目の出演作です。
「奇蹟がくれた数式」は実話の映画化です。いいぐあいに年を取り、美老年になったアイアンズは、こういうクラシカルな知的二枚目役がぴったり。先日ご紹介した「ある天文学者の恋文」に続いてイギリスの名門大学教授役です。今回は20世紀はじめの数学博士役。インドの天才青年数学者をイギリスによびよせ研究を世に出した功労者です。
 ケンブリッジ大学の教授ハーディのもとに、インドから一通の手紙が届きます。そこに書いてあったのは手紙の主が、独学で学び発見したという数学の定理がいくつも書いてありました。ハーディは手紙を送ってきた青年、ラマヌジャンを呼び寄せます。自分の発見を世界に発表できると、期待に胸を膨らませてやってきたラマヌジャンでしたが、その夢は早々に打ち砕かれます。発見には証明が必要だったのです。証明の重要さをラマヌジャンに説くハーディ。思いがけない障害に悩むラマヌジャン。二人の二人三脚はなかなか進みません。
 そんなときに第一次世界大戦が勃発、ベジタリアンのラマヌジャンは食べる物にも事欠くようになり、健康を害してしまいます。それでも数学への情熱を失わない彼を、どうにか学会にデビューさせ、ケンブリッジ大学の研究員として採用させようとハーディは駆け回るのですが…。
 植民地差別・人種差別などのある時代に、師弟の関係を越えて、数学への愛で結ばれた二人の絆を描く作品です。数学嫌いの私には、何を研究しているのかちんぷんかんぷんですが、彼らには面白いことなのだと感じさせてくれます。数学の美しさをイメージするため、私、頑張りました(笑)

「奇蹟がくれた数式」は10/22より、角川シネマ有楽町などで公開されます。

10/22公開 『奇蹟がくれた数式』予告編

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詳細は下記公式サイトより

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