若冲ブーム到来

独創的な表現で人々を魅了してやまない伊藤若冲が、今また脚光を浴びています。
今春の東京でも3時間待ちと、人気を博した若冲展が、趣向を変え、生誕の地、京都で開催中です。
「若冲の京都、KYOTOの若冲」のタイトル通り、今回の展覧会は、京都に生きた若冲が、京都から影響を受けたことに焦点を当てたものです。

伊藤若冲が生涯を過ごした18世紀の京都は、江戸とは違って、伝統を尊重しながらも新しいものを求め、西洋や中国の文化を吸収していました。
錦小路の青物問屋で生まれた若冲は、生涯、京都に居ながら、外国の文化に触れる機会があったのです。禅寺、相国寺の大典からも多大な影響を受けました。

若冲は、中国画の影響を受けた装飾的な花鳥画と、斬新な水墨画によって、独特の画風を創り上げ、鶏をはじめとする、鳥や動物、人物、昆虫、そして、植物に至るまで、生命感あふれる作品を描きました。
狩野派や、琳派などに見られる四季折々の日本絵画の美しさのみならず、奇抜なモチーフや、画面構成、絵画技法を駆使した、独自の「若冲ワールド」を是非、ご堪能ください。
これこそ、現代が求める、日本文化の「粋」でしょう。
では、これからいくつかの作品を観ていきましょう。

画像: 象と鯨図屏風 MIHO MUSEUM蔵 (展示期間 11/8~11/20)

象と鯨図屏風 MIHO MUSEUM蔵 (展示期間 11/8~11/20)

大胆に描かれた象と鯨。とても80歳を越えた画家の作品とは思えないほど、ヴァイタリティにあふれた作品です。
象は、享保13年(1728年)、現在のヴェトナムから、長崎に渡り、江戸に行く途中、洛中を行進したようです。当時14歳の若冲は、見たのでしょうか?
鯨は、大阪で、見世物興行があり、これもまた、見る機会があったかもしれませんが、いずれにしても、若冲が、興味を持っていたことは確かです。
 
 

画像: 樹花鳥獣図屏風 (部分) 静岡県立美術館蔵 (展示期間 11/22~12/4)

樹花鳥獣図屏風 (部分) 静岡県立美術館蔵 (展示期間 11/22~12/4)

「モザイク画」あるいは、「桝目書き」と言われるこの作品は、西陣織の設計図「正絵」に着想を得たようです。
繊細で、緻密に描かれた斬新な動物たちは、若冲ならではの作品です。
 
 

画像: 雪中雄鶏図 細見美術館蔵 (展示期間10/4~11/6)

雪中雄鶏図 細見美術館蔵 (展示期間10/4~11/6)

雪の降り積もった冬の日、地面に残った餌を探す雄鶏が描かれています。
若冲の作品で多く用いられている鶏は、中国では、文・武・勇・仁・信の「五徳」を持っているといわれ、徳を備えた人格者の象徴となっています。
世俗を離れ、風雪に耐え、生きる糧を求めて、自己の信じる道を追求する求道者の姿が描かれています。初期の作品です。
 
 

画像: 老松鸚鵡図 個人蔵 (通期)

老松鸚鵡図 個人蔵 (通期)

若冲が相国寺に永代供養として奉納した「動植綵絵」に近いものがありますが、本図は、「動植綵絵」以前に描かれたものでしょう。
鸚鵡の目は、漆を盛り上げて使用していて、より生命感が表現されています。
 
 

画像: 百犬図   個人蔵 (展示期間11/15~12/4)

百犬図   個人蔵 (展示期間11/15~12/4)

この絵は「動植綵絵」の中の「群鶏図」と同じ表現意識で製作されています。
最晩年の作品です。
単一のモチーフにしぼって、それを様々な姿で展開しています。
ポップアートのような、古いのに新しい「若冲ワールド」が展開されています。
 
 

画像: 梅花図   個人蔵 (通期)

梅花図   個人蔵 (通期)

若冲は、出不精だったようですが、伏見の梅見行には出かけたようです。
梅は、高雅な精神を象徴するもので、松、竹とともに、高潔を表し、多種多様に若冲の作品に描かれましたが、この作品では、梅の枝を折って大胆に描かれています。
今回の若冲展では、「動植綵絵」の作品は見られませんが、斬新なタッチで描かれた水墨画や、精密に描かれた、色彩豊かな花鳥画や動物画、ユーモアセンスのある人物画など、期間限定の作品も含め約120点余りの作品が鑑賞できます。

伝統的な日本の四季折々の植物の美しさを残しながらも、果敢に新しいものを探求する若冲独特の斬新な世界、京都の「粋」を見せてくれました。
古くて、新しい芸術。
それが、私たちが若冲に惹かれてやまない理由でしょう。
 

展覧会概要

タイトル:生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲
 
会期:2016年10月4日(火)~12月4日(日)
   月曜日休館*ただし10月10日(月・祝)は開館

開館時間:
9:00~17:00 入場は閉館の30分前まで
*ただし、10月8日(土)・9日(日)は19時まで開館(入場は閉館の30分前まで)
 
会場:京都市美術館(岡崎公園内)京都市左京区岡崎円勝寺町124
 
料金:
 一般:1,200円(1,000円)
 高大生:1,000円(800円)
 小中生:500円(300円)
 *( )内は20名以上の団体料金
 *小中生は土日祝 無料
 *障害者手帳等をご提示の方と介助の方1名は無料

監修:狩野博幸

主催:京都市美術館、MBS、京都新聞

【ワークショップ】
 若冲にとって京都とは何か 1
 講師:狩野博幸(美術史家)
 日時:10月8日(土)14時~15時30分
 会場:京都市美術館講演室
 *参加無料。本展の入場券・半券が必要。
 *当日13時より正面玄関前で整理券配布。定員(80名)になり次第受付終了
 
 若冲にとって京都とは何か 2
 講師:狩野博幸(美術史家)
 日時:11月12日(土)14時~15時30分
 会場:京都市美術館講演室
 *参加無料。本展の入場券・半券が必要。
 *当日13時より正面玄関前で整理券配布。定員(80名)になり次第受付終了
 
 東西の百鳥獣図―同時代の西洋動物画を通して若冲を見る―
 講師:潮江宏三(京都市美術館 館長)
 日時:11月3日(木・祝)14時~15時30分
 会場:京都市美術館講演室
 *参加無料。本展の入場券・半券が必要。
 *当日13時より正面玄関前で整理券配布。定員(80名)になり次第受付終了
 
 筒描(つつが)きで若冲のミニ屏風をつくろう!
 染色技法である「筒描(つつが)き」を応用し、若冲作品をモチーフにしたミニチュア屏風を制作します。(事前申込み制)
 *『筒描き』とは、紙または布製の円錐形の筒に糊を入れ、先端から糊を絞り出して模様を描き、糊の部分が染まらないようにする染色技法のひとつで、『筒引き』とも言われている。
 日時:11月19日(土)13時~16時
 会場:京都市美術館講演室
 講師:青木聡子(染色家兼デザイナー)
 参加費: 1,300円*参加当日、現金でお支払いください。
 定員:15名
 対象:高校生以上
 申込締切:11月9日(水)必着(申込多数の場合は抽選)
 
《申込方法》
はがき:〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
京都市美術館 ワークショップ(11/19)係
FAX:075-761-0444
e-mail:bijutsukan@city.kyoto.lg.jp
いずれも、1郵便番号 2住所 3氏名 4年齢 5電話番号を記入の上、
「ワークショップ(11/19)係」までお申込下さい。
抽選結果は、11月15日(火)までにハガキにてご案内します。
問合せ先:京都市美術館 ワークショップ係
電話:(075)771-4107

「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」@京都 cinefilチケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いしております。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
  *応募締め切りは2016年11月20日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

This article is a sponsored article by
''.