映画『太陽のめざめ(原題: La tete haute)』

第68回(2015年)カンヌ国際映画祭のオープニングで上映された、名優カトリーヌ・ドヌーヴが主演を務めたドラマ。母親に捨てられた過去を持つ少年、補導された彼を担当する女性判事、少年の教育係を任された男性の姿を追う。

画像: 映画『太陽のめざめ(原題: La tete haute)』

脚本・監督は女優として『Mon roi』(日本未公開)で第68回(2015年)カンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を獲得したエマニュエル・ベルコ。『最後のマイ・ウェイ』などのブノワ・マジメル、『漆黒の闇で、パリに踊れ』などのサラ・フォレスティエらが顔を揃える。

希望に満ちた物語や、少年を演じる、本作が映画初出演となるロッド・パラドが放つ存在感に注目。いやぁ、深いねぇ、深い。とっても濃密で上質な作品だ。

後半から観後しばらくまでジワジワと来るね。不良少年が変わり始める瞬間からが素晴らしい。
愛を知らない少年が、愛を与えられる人間に、つまり人を愛することができるようになっていくところが感動的。希望が見えた。うまく言えないけれど、自身では愛を理解できてなくても、誰かを愛することで自分自身も救われているというか、結局自分自身を救えるのは自分自身なんだなあっていうか、いや逆かな、自分自身を救うのは人を愛することなんだなあっていうか…。

それにしても痛々しい。何度も絶望しそうになりながらももがき続ける不良少年の心の葛藤、自身の感情をコントロールできない苛立ちや苦しさはもの凄い緊迫感で心がヒリヒリした…。歯がゆかった。苦しいほどだった。いつの間にか気付けば応援してた。そして何といっても不良少年を演じたロッド・パラドはただただ素晴らしいの一言。新人とは思えない圧倒的な存在感。剥き出しの感情で危うさを完璧に表現。憂いに溢れた潤んだ瞳といい、力強い眼差しといい、とても印象に残ったなあ。ナイトクラブでネオンの輝きの中で踊り狂うシーンは忘れられないや…。これからが楽しみな俳優だね。そして名優カトリーヌ・ドヌーヴ。美しい上に貫禄たっぷりで頼もしいったらもう。何度裏切られようが見捨てることもなく機会を与える判事を好演。ラストシーンは感動で泣いた。エンドロールも逆に(?)良かったなあ。不良少年の再生には“愛”が必要なんだなあと強く思った。
いや、ボクにも愛が必要だゾ。激しくオススメ。

シネフィル編集部 あまぴぃ

画像: 映画『太陽のめざめ』予告編 www.youtube.com

映画『太陽のめざめ』予告編

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