特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」 が東京国立博物館 平成館 特別展示室にて 2016年9月19日(月)まで開催中です。

ギリシャの彫刻、フレスコ画、金属製品など、新石器時代からヘレニズム時代までの各時代、キュクラデス諸島、クレタ島ほかエーゲ海の島々や、ア テネ、スパルタ、マケドニアなど、ギリシャ各地に花開いた美術を訪ねる展示です。ギリシャ本国の作品のみによるものとしては、かつてない大規模なギリシャ美術展となっています。

8章構成で時空を辿ります。

第1章 古代ギリシャ世界のはじまり(前6800年紀~前1100年頃)

古代ギリシャをめぐる旅は、ミノス文明よりも何千年も古い、新石器時代から始まります。紀元前7000年紀、ギリシャの人々は定住して農耕や牧畜を行うようになり、神々への祭祀や葬祭のために人の形の像をつくり、祈りを捧げました。その後、紀元前3200年近くになると、ギリシャは初期青銅器時代に入ります。エーゲ海の真ん中のキュクラデス諸島で花開いた、独特な大理石小像で知られるキュクラデス文明はとりわけ有名です。これらは抽象彫刻のようで魅力的です。

画像: 左:スペドス型女性像 初期キュクラデスⅡ期(前2800~前2300年)/ナクソス島出土か/高33.0cm、幅8.5cm/大理石/キュクラデス博物館蔵 右:スペドス型女性像 初期キュクラデスⅡ期(前2800~前2300年)/クフォニシア群島出土か/高74.3cm、幅16.0cm/大理石/キュクラデス博物館蔵 photo©cinefil

左:スペドス型女性像
初期キュクラデスⅡ期(前2800~前2300年)/ナクソス島出土か/高33.0cm、幅8.5cm/大理石/キュクラデス博物館蔵
右:スペドス型女性像
初期キュクラデスⅡ期(前2800~前2300年)/クフォニシア群島出土か/高74.3cm、幅16.0cm/大理石/キュクラデス博物館蔵
photo©cinefil

第2章 ミノス文明(前3200年頃~前1100年頃)

エーゲ海の南に浮かぶクレタ島に花開いた開放的な海洋文明は、伝説のミノス王の名前をとってミノス文明、あるいはクレタ文明と呼ばれています。紀元前2000年紀初頭にクノッソスなどクレタ島各地に建設された宮殿は、政治だけなく、宗教、経済、手工業の中心でした。聖なるモチーフである牡牛や双斧(そうふ)を表した祭具や、海のモチーフで装飾された土器、繊細で美しい装身具に加えて、大噴火で埋もれたテラ(サントリーニ)島アクロティリ遺跡で出土した色鮮やかなフレスコ画が、当時の美術や工芸技術の素晴らしさを伝えます。下の葡萄酒甕も海洋生物が文様として抽象とも具象とも言えない見事な造形美で描かれています。

画像: 手前:海洋様式の葡萄酒甕 後期ミノスIB期(前1450年頃)/クレタ島、ザクロス宮殿出土/高53.8cm/粘土/イラクリオン考古学博物館蔵 photo©cinefil

手前:海洋様式の葡萄酒甕
後期ミノスIB期(前1450年頃)/クレタ島、ザクロス宮殿出土/高53.8cm/粘土/イラクリオン考古学博物館蔵
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第3章 ミュケナイ文明(前1600年頃~前1100年頃)

ギリシャ本土のミュケナイ(ミケーネ)を中心とするミュケナイ文明は、次第に力を増し、紀元前1450年頃にはクレタ島を征服します。その美術はミノス文明の影響を受けていますが、都市はクレタの宮殿とは異なり、ホメロスの『イリアス』(紀元前8世紀)にうたわれるような堅牢な城壁に守られていました。権力者は優れた戦士であることを誇り、死後は立派な武具や黄金の装身具で飾られて埋葬されました。本展では、1876年に、ハインリヒ・シュリーマンによって発掘された黄金製品も出品されます。

画像: 左:猪の牙の兜 前1375〜前1250年 レティムノ考古学博物館蔵 右:8の字形盾の象牙板 前13世紀 アテネ国立考古学博物館蔵 photo©cinefil

左:猪の牙の兜
前1375〜前1250年
レティムノ考古学博物館蔵
右:8の字形盾の象牙板
前13世紀
アテネ国立考古学博物館蔵
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画像: 銅剣 上から二振:前1320〜前1200年、前12〜13世紀 キオス考古学監査局蔵 下、二振:前11世紀 アグリニオン考古学博物館蔵 photo©cinefil

銅剣
上から二振:前1320〜前1200年、前12〜13世紀 キオス考古学監査局蔵
下、二振:前11世紀 アグリニオン考古学博物館蔵

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第4章 幾何学様式~アルカイック時代(前900年頃~前480年)

ミュケナイ文明崩壊後、長い暗黒時代を経て、紀元前1000年紀に入るとギリシャ世界はゆっくりと復活してきます。陶芸においては幾何学様式時代が現れます。紀元前8世紀にはギリシャ各地でポリス(都市国家)が生まれ、ギリシャ文字もつくられました。続く紀元前7世紀の東方化様式時代には、幾何学文はオリエント由来の動物や植物のモチーフに変わり、神々や人間の表現も急増します。そして同世紀末から紀元前6世紀のアルカイック時代には、ついに等身大の大理石彫刻が登場します。「アルカイック・スマイル」は生命感の表現と考えられています。

画像: 手前:クーロス像 前520年頃 アテネ国立考古学博物館蔵 photo©cinefil

手前:クーロス像
前520年頃
アテネ国立考古学博物館蔵
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画像: 手前:コレー像 前530年頃 アクロポリス博物館蔵 photo©cinefil

手前:コレー像
前530年頃
アクロポリス博物館蔵
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第5章 クラシック時代(前480年~前323年)

紀元前509年にアテネは民主政に移行し、2度のペルシャ軍の撃退の後、クラシック時代に入ります。アテネのアクロポリスにはパルテノン神殿が建設され、演劇や哲学が盛んになり、後の西洋美術に大きな影響を与えるような彫刻・絵画表現が生み出されました。人間の理想美を具現化した美術作品だけでなく、民主政を証言するオストラキスモス(陶片追放)の名が刻まれた陶片などの品も展示されます。また人々の神々に対する信仰を、アポロン、アルテミス、デメテルとコレー、アスクレピオスの表現に見ます。

画像: 手前:アテナの浮彫り 前5世紀後半 大理石 アテネ考古学監査局蔵 奥:パルテノン神殿の西面フリーズ(複製) 5面 (原品):前442〜前438年 大理石 アテネ、アクロポリス博物館蔵 photo©cinefil

手前:アテナの浮彫り
前5世紀後半
大理石
アテネ考古学監査局蔵
奥:パルテノン神殿の西面フリーズ(複製)
5面
(原品):前442〜前438年 大理石
アテネ、アクロポリス博物館蔵
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第6章 古代オリンピック

紀元前8世紀、オリンピアのゼウス神域で4年に一度の競技祭が始まりました。最初は徒競走だけでしたが、5種競技(徒競走、円盤投げ、槍投げ、走り幅跳び、レスリング)や総合格闘技、競馬や戦車競走など、次第に競技の数も増え、全ギリシャから選手が集う大競技祭に発展しました。優勝者はこの上ない名誉を得、その彫像が神域に奉納されました。展覧会では競技種目を陶器画などで紹介するとともに、競技者像が優勝者たちの姿を、神域に奉納された競技道具が優勝者たちの思いを伝えます。

画像: 競技者像 前2世紀後半 アテネ国立考古学博物館蔵 photo©cinefil

競技者像
前2世紀後半
アテネ国立考古学博物館蔵
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第7章 マケドニア王国

旧来のギリシャ世界とは異なり、ギリシャ北方のマケドニアは金を豊富に産出しました。マケドニア王国が成立する以前から、権力者の墓にはたくさんの黄金の品々が副葬されました。展覧会には、新石器時代から、紀元前4世紀末のアレクサンドロス時代、さらにヘレニズム時代の墓に至るまでの、まばゆいばかりの冠や宝飾品が展示されます。

第8章 ヘレニズムとローマ(前323年~)

アレクサンドロス大王の死後、その後継者たちが建てた諸王国が互いに争ったヘレニズム時代に、ギリシャ美術は広い世界へと広まり、多様性を獲得しました。中でも、驚くほどリアルな肖像彫刻と、官能的で繊細優美な女性像は特筆すべきものです。紀元前31年に、女王クレオパトラがローマに敗れた後、地中海はローマの内海となります。しかし征服者であるローマ人たちは逆に、ギリシャの美術や文化の魅力に捕われたのです。ローマ時代の肖像彫刻やモザイクは、ギリシャ美術がその後も長く生き続けたことを教えてくれます。

画像: 手前:アルテミス像 前100年頃 アテネ国立考古学博物館蔵 photo©cinefil

手前:アルテミス像
前100年頃
アテネ国立考古学博物館蔵
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画像: 手前:アフロディテ像 2〜3世紀 アテネ国立考古学博物館蔵 photo©cinefil

手前:アフロディテ像
2〜3世紀
アテネ国立考古学博物館蔵
photo©cinefil

ぜひ、ギリシャ本国の作品のみによる「-時空を超えた旅-」を緑深い上野の東京国立博物館でお過ごし下さい。

開催概要

東京展

会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)  〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
会期:2016年6月21日(火)~9月19日(月・祝)
休館日:月曜日
※ただし7月18日(月・祝)、8月15日(月)、9月19日(月・祝)は開館。7月19日(火)は休館。
開館時間:午前9時30分~午後5時
※土日・祝日は午後6時まで。
金曜日および7、8月の水曜日は午後8時まで。
入館は閉館の30分前まで

主催:東京国立博物館、ギリシャ共和国文化・スポーツ省、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション
企画協力:東映
後援:外務省、駐日ギリシャ大使館
協賛:あいおいニッセイ同和損保、竹中工務店、日本写真印刷、三菱商事
監修:芳賀 京子(東北大学准教授)

お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京国立博物館ウェブサイト:http://www.tnm.jp/

長崎展

会場:長崎県美術館 〒850-0862 長崎県長崎市出島町2-1
会期:2016年10月14日(金)~12月11日(日)

神戸展

会場:神戸市立博物館 〒650-0034 神戸市中央区京町24
会期:2016年12月23日(金・祝)~2017年4月2日(日)

チケット

一般:1600円(1300円)
大学生:1200円(900円)
高校生:900円( 600円)
※ 中学生以下無料。
※( )内は20名以上の団体料金。
※ 障がい者とその介護者1名は無料(入館の際に障がい者手帳などをご提示ください)。

チケット取扱い
東京国立博物館正門チケット売場(窓口・開館日のみ)、
展覧会公式サイト(オンラインチケット)、セブンチケット(セブンコード:045-446)、
ローソンチケット(Lコード:33713)、ぴあ(Pコード:767-497)、
e+、CNプレイガイド、JTBなど

オンラインチケット:http://www.e-tix.jp/greece2016-17/

*特別展「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」相互割引

特別展「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」(2016年6月21日(火)~7月10日 (日)、本館特別5室、*古代ギリシャ展と開館日・閉館時間が異なります)の観覧 券(半券可)を古代ギリシャ展の会場入口または正門チケット売場(窓口のみ)にお持ちいただくと、本展の観覧料が当日料金の100円割引となります。半券1枚につき各展覧会1人1回限り、ほほえみの御仏展会期中のみ有効です(7月10日まで)。(ただしパスポート、友の会特別展観覧券は観覧済(使用済)の日付印があるものに限ります。また、他の割引サービスとの併用はできません。)

* 東京都美術館「ポンピドゥー・センター傑作展」相互割引

本展会期中、「ポンピドゥー・センター傑作展」(2016年6月11日(土)~9月22日(木・祝))観覧券半券(使用済み可)を東京国立博物館正門のチケット売場にてご提示いただくと、本展の観覧料が当日料金の100円割引となります。 また本展観覧券半券(使用済み可)を、東京都美術館の観覧券売場でご提示いただくと「ポンピドゥー・センター傑作展」の観覧料が当日料金の100円割引になります。いずれも半券1枚につき各展覧会1人1回限り有効です(他の割引サービスとの併用はできません)。

「古代ギリシャ キッズデー」開催決定!

画像: 「古代ギリシャ キッズデー」開催決定!

特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」cinefilチケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いしております。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo

*応募締め切りは2016年7月24日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
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8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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