日本映画界の前衛---勅使河原宏と松本俊夫
60年代の日本映画において前衛的表現を切り拓いた作家、勅使河原宏と松本俊夫の両監督の特集上映が、川崎市民ミュージアムで7月に開催されることとなった。
川崎市民ミュージアム
アートギャラリー展示
《映像のクリエイティビティ:ナム・ジュン・パイクとシゲコ・クボタ》に関連して、60年代の日本映画に前衛的表現を切り拓いた作家、勅使河原宏と松本俊夫の作品を特集します。
《映像のクリエイティビティ 勅使河原宏と松本俊夫》
7/02(土) 「おとし穴」「砂の女」
7/03(日) 「修羅」「松本俊夫35mm短篇集」
7/09(土) 「他人の顔」「松本俊夫35mm短篇集」
7/10(日) 「修羅」「ドグラ・マグラ」
7/16(土) 「砂の女」「修羅」
7/17(日) 「他人の顔」「おとし穴」
7/18(月) 「ドグラ・マグラ」「松本俊夫35mm短篇集」
【各回入替制】
※上映時間など詳細は、公式サイトをご参照ください。
一般600円、大学・高校生・65歳以上500円、小中学生・会員400円。
7月2日
11:00~ おとし穴
監督:勅使河原宏/出演:井川比佐志、佐々木すみ江、矢野宣、観世栄夫、田中邦衛、佐藤慶/1962/モノクロ/スタンダード/35mm/97分
◆安部公房の短編小説を安部自身が脚本化した、勅使河原監督の長編劇映画第一作。北九州の寂れた炭鉱地帯で相次いで起こった殺人事件の真相とは……労働組合間の対立をモチーフにした不条理スリラー。
14:00~ 砂の女
監督:勅使河原宏/出演: 岡田英次、岸田今日子、三井弘次、伊藤弘子、矢野宣/1964/モノクロ/スタンダード/35mm/148分
◆砂地に棲む昆虫を求めて砂丘を訪れた高校教師は、砂の穴底にある女の家に閉じ込められてしまう。カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞するなど、映画監督としての勅使河原の名を世に知らしめた作品。
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7月3日
11:00~ 修羅
監督:松本俊夫/出演:中村賀津雄、唐十郎、三条泰子、今福正雄、松本克平/1971/モノクロ+パートカラー/スタンダード/35mm/138分
◆鶴屋南北の狂言「盟三五大切」とそれを石沢秀二が改作した舞台劇を原作にした時代劇。主君の仇討ちに参加することになった源五兵衛だったが、惚れた芸者・小万に裏切られ、怒りに燃えて復讐に走る。
14:00~ 松本俊夫35mm短篇集(合計116分)
300トントレーラー
1959/カラー/スタンダード/35mm/25分
◆超重量運搬用のトレーラー車が変圧器を丘の上の変電施設まで輸送するプロジェクトを撮影した。
西陣
1961/モノクロ/スタンダード/35mm/26分
◆西陣の街の日常風景を積み重ねながら、閉塞した空間の中で黙々と機を織る職人の姿を捉える。
素肌美のための12章
1967/カラー/スタンダード/35mm/25分
◆日常における紫外線の肌への影響やスキンケアについて解説するPR映画として製作された短篇。
わたしはナイロン
1962/カラー/シネスコ/35mm/27分
◆東洋レーヨンのPR映画として、ナイロン繊維と服飾デザイナーとの出会いを幻想的に描く。
白い長い線の記録
1960/モノクロ/シネスコ/35mm/13分
◆戦後日本の経済発展の様子を様々な視覚的表現技術を用いて描いた映像詩。
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7月9日
11:00~ 他人の顔
監督:勅使河原宏/出演:仲代達矢、平幹二朗、岸田今日子、岡田英次、京マチ子/1966/モノクロ/スタンダード/35mm/122分
◆大ヤケドのために顔を失った男は、妻や同僚から拒絶されて人間不信に陥る。男は仮面をかぶって他人として生きようと決意し、復讐として妻を誘惑する。現代人の孤独をテーマにした心理サスペンス。
14:00~ 松本俊夫35mm短篇集(合計116分)
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7月10日
11:00~ 修羅
14:00~ ドグラ・マグラ
監督:松本俊夫/出演:桂枝雀、室田日出男、松田洋治、三沢恵里、江波杏子、小林かおり/1988/カラー/ビスタ/35mm/109分
◆“日本探偵小説界の三大奇書”と称される夢野久作の同名小説を映画化。大学病院精神科のベッドで目を覚ました青年は記憶喪失と診断され、猟奇的事件についての記憶を探られる。大正末期を舞台にしたサイコスリラー。
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7月16日
11:00~ 砂の女
14:00~ 修羅
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7月17日
11:00~ 他人の顔
14:00~ おとし穴
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7月18日
11:00~ ドグラ・マグラ
14:00~ 松本俊夫35mm短篇集(合計116分)