。オウム事件を追った『A2』などの森達也監督。
彼の15年ぶりの映画が今、SNSなどで大きく話題となっている­。
作品は、ゴーストライター騒動の佐村河内守を追ったドキュメンタリー映画『FAKE』。

聴覚障害を­抱えながらゲーム音楽などを手掛け称賛されるも、ゴーストライターによ­る楽曲を自作と­して発表していたとされた佐村河内の素顔に肉薄していく。
世間を騒がせた男に密着­した森監督が、本­作を通じて訴えたいことは何なのか?
独占インタビューで、真意を聞いた。

「ドキュメンタリーはメタファー」と語る森監督。
新作『FAKE』を通じて訴えたいことは何なのか期待が高まる--

画像: 映画「FAKE」森達也監督独占インタビュー youtu.be

映画「FAKE」森達也監督独占インタビュー

youtu.be

森達也 今作に寄せるコメント

肩書の一つは映画監督だけど、4人の監督の共作である『311』を別にすれば、本作『FAKE』は15年ぶりの新作ということになります。
「下山事件」に「中森明菜」、「今上天皇」に「東京電力」など、撮りかけたことは何度かあったけれど、結局は持続できなかった。
でも今年、やっと形にすることができました。映画で大切なことは普遍性。
入口はゴーストライター騒動だけど、出口はきっと違います。誰が佐村河内守を造形したのか。誰が嘘をついているのか。真実とは何か。虚偽とは何か。そもそも映画(森達也)は信じられるのか……。
視点や解釈は無数です。絶対に一つではない。僕の視点と解釈は存在するけれど、結局は観たあなたのものです。
でもひとつだけ思ってほしい。様々な解釈と視点があるからこそ、この世界は自由で豊かで素晴らしいのだと。
僕がドキュメンタリーを撮る理由は何か。
もちろん一つではないけれど、最終的には「見て見て!こんなのできたよ!」です。
すべての人に「見て見て!」とお願いしたい作品になりました。

プロフィール
1956年、広島県呉市生まれ。立教大学在学中に映画サークルに所属し、自身の8ミリ映画を撮りながら、石井聰亙(現在は岳龍)や黒沢清などの監督作に出演したりもしていた。86年にテレビ番組制作会社に入社、その後にフリーとなるが、当時すでにタブー視されていた小人プロレスを追ったテレビ・ドキュメンタリー作品「ミゼットプロレス伝説 ~小さな巨人たち~」でデビュー。以降、報道系、ドキュメンタリー系の番組を中心に、数々の作品を手がける。
95年の地下鉄サリン事件発生後、オウム真理教広報副部長であった荒木浩と他のオウム信者たちを被写体とするテレビ・ドキュメンタリーの撮影を始めるが、所属する制作会社から契約解除を通告される。最終的に作品は、『A』のタイトルで98年に劇場公開され、さらにベルリン国際映画祭など多数の海外映画祭でも上映され世界的に大きな話題となった。99年にはテレビ・ドキュメンタリー「放送禁止歌」を発表。2001年には映画『A2』を公開、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。06年に放送されたテレビ東京の番組「ドキュメンタリーは嘘をつく」には村上賢司、松江哲明らとともに関わり、メディアリテラシーの重要性を訴えた本作は現在でもドキュメンタリーを語る上で重要な作品のひとつとなっている。11年には東日本大震災後の被災地で撮影された『311』を綿井健陽、松林要樹、安岡卓治と共同監督し、賛否両論を巻き起こした。
著作に、「放送禁止歌」(光文社/智恵の森文庫)、「下山事件(シモヤマ・ケース)」(新潮社)、「僕のお父さんは東電社員です」(現代書館)、「オカルト」(角川書店)、「A3」(集英社インターナショナル)、「死刑のある国ニッポン」(河出文庫)、近刊では初の長編小説作品である「チャンキ」(新潮社)などがある。

6月4日(土)より
東京渋谷・ユーロスペース、横浜シネマジャック&ベティ他全国順次公開

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