『スポットライト 世紀のスクープ(原題: Spotlight)』

アメリカの新聞「The Boston Globe」の記者たちが、カトリック教会の醜聞を暴いた実話を基に描くスリリングな社会派ドラマ。カトリック系住民が多いボストンで、神父による児童への性的虐待事件を暴露した新聞記者らの困惑と共に、次々と明らかになる衝撃の真実を描き出す。

画像: 『スポットライト 世紀のスクープ(原題: Spotlight)』

監督は『扉をたたく人』などのトム・マッカーシー。第87回(2015年)アカデミー賞受賞作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で復活を遂げたマイケル・キートン他、『アベンジャーズ』などのマーク・ラファロ、『君に読む物語』などのレイチェル・マクアダムス、『ハンガーゲーム』『プラダを着た悪魔』のスタンリー・トゥッチら豪華キャストが共演。

複雑に絡み合う事件の根の深さに慄然とする。第88回(2016年)アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞。いやぁ地味な作品なんだけれどね。見応えたっぷりの素晴らしい作品だ。
こういう作品にアカデミー賞を与えるのが素晴らしい。そして米国の恥部をさらけ出したハリウッドも素晴らしい。「正義」について考えさせられる重くて、深くて、ショッキングな内容。仕事に対する信念や矜持など改めて考えるきっかけになりそうだ。

物語は実話ということもあって淡々と進んでいく。安っぽい感動や記者たちの独善性を排してとっても丁寧に作られていて、問題の重大さや大きさが見えてくるとともにスリルが増していく。記者たちは何度も挫けそうになりながらもコツコツと努力を積み重ねる。この努力がすごいんだ。
さまざまな手を考え、関係者から情報を引き出し、たくさんの被害者ひとりひとりに話を聞き、膨大な資料を調べ直す…ただひたすら脚で稼ぐんだよね。ジワジワと彼らの情熱や怒りや葛藤、決死の決断、チームワーク、迫力が伝わってくる。ただただカッコイイ。俳優陣の演技もみな光っていて素晴らしい。

マイケル・キートンはやはり上手だし、レイチェル・マクアダムスはカワイイ。新編集長を演じたリーヴ・シュレイバーも凛として渋くてね。マーク・ラファロは良かったなあ。「これを記事にしたら誰が責任を取るんだ」と言われて「では記事にしなかった場合の責任は?」と返したときは自然と涙が出た…。「罪を犯し隠蔽していた」という真実を暴いて終わりではなく、自身の過ちまで描いたところが脚本の巧いところだろう。そしてその「そのときお前は、俺たちは何をしていた?」という言葉は彼らだけではなくきっとボクら観客に向けられた言葉でもあるんだろう。ハッとしたね。
そしてエンドロール前の一覧…これが真実だったということを改めて突き付けてくる。いろいろなことをじっくり考えさせられる素晴らしい作品だ。

シネフィル編集部 あまぴぃ

画像: 映画『スポットライト 世紀のスクープ』予告篇 youtu.be

映画『スポットライト 世紀のスクープ』予告篇

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