映画の撮影など技術者を中心とした英語サイト”nofilmschool.com”で、60人を超える映画評論家や研究家に選ばれた「フィルム撮影で完全な映像を作り上げた12本の偉大な作品」が選定されました。
フィルム撮影の作品から選んだもので、多くが、意見が分かれるところでしょうが、監督としてではなく、撮影というところに着目しているところが、新鮮です。
逆に、このリストを見ると2作品以上選ばれた監督が、3人おり、やはり名作は名監督、名カメラマンが揃わないと生まれない、総合芸術である”映画”ということを改めて納得させられます。
ここでは、ビデオエッセイも添えられているのですが、非常にわかりやすく、また美しい映像が並んでいますから、ご覧ください。
特に、3度のアカデミー賞受賞のヴィットリオ・ストラーロは2016年カンヌ国際映画祭では、ウディ・アレン監督の新作『Café Society』の撮影で参加していますし、3年連続アカデミー賞受賞という快挙を成し遂げたエマニュエル・ルベッキは、テレンス・マリック監督の新作『Weightless』に参加しています。この、二人は4度目のオスカーにどちらが先に届くのか---今後も気になります。
1『天国の日々』テレンス・マリック監督
Days of Heaven (DPs: Nestor Almendros and Haskell Weller)
撮影 ネストール・アルメンドロス、ハスケル・ウェクスラー
ネストール・アルメンドロス
パリで、エリック・ロメールの元でカメラマンの代理を偶然に務めたことがきっかけとなり、カメラマンとしてのキャリアを歩みだす。フランソワ・トリュフォーや、ジャン・ユスターシュといったヌーヴェルヴァーグ派の映画作家と親交を深め、その作品を数多く担当した。
1978年のテレンス・マリック『天国の日々』でのリアリスティックで芸術的な映像美によりアカデミー撮影賞を受賞した。ロバート・ベントンとは、社会現象ともなった1979年の『クレイマー・クレイマー』や1984年に二度目のアカデミー撮影賞を受賞した『プレイス・イン・ザ・ハート』を初め、5本の作品を担当している。
自伝『キャメラを持った男』を執筆した際には、日本語版に関しては冒頭に、黒澤明の『羅生門』、溝口健二の『雨月物語』、を引き合いに日本映画から多大な影響を受けた旨のコメントを寄せ、宮川一夫、中井朝一、厚田雄春を私の先輩と明記して讃辞を送っている。
(wikipedia 抜粋)
ハスケル・ウェクスラー
ドキュメンタリーでの経験から、その当時としては画期的でもあった手持ちカメラや屋外ロケの多用、ズームレンズの採用などを積極的に行った。当初はそうした手法は前衛的とみなされ、批判の対象ともなったが、徐々に斬新な映像を求める監督たちの注目を集め、1966年にはマイク・ニコルズ監督の『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』で見事アカデミー撮影賞に輝いた。
その後『夜の大捜査線』、『華麗なる賭け』、『カッコーの巣の上で』、『アメリカン・グラフィティ』などアメリカ映画を代表するカメラマンとなった。1975年には『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』で、二度目のアカデミー撮影賞を受賞し、また、追加撮影を担当した『天国の日々』もアカデミー撮影賞を受賞している。(wikipedia 抜粋)
2『バリー・リンドン』スタンリー・キューブリック監督
Barry Lyndon (DP: John Alcott)
撮影 ジョン・オルコット
ジョン・オルコット
1968年にはスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』に、ジェフリー・アンスワース率いる撮影チームの一人として参加。しかし撮影期間が長く、途中でアンスワースが抜けてしまい、オルコットが撮影を引き継ぐことになった。以来、キューブリック作品の撮影を手がけて知られるようになる。1975年の『バリー・リンドン』で、アカデミー撮影賞を受賞した。
(wikipedia 抜粋)
3『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック監督
2001: A Space Odyssey (DP: Geoffrey Unsworth)
撮影 ジェフリー・アンスワース
ジェフリー・アンスワース
イギリス・ロンドン出身の撮影監督。1940年代から活躍し、1972年の『キャバレー』と1979年の『テス』で2度アカデミー撮影賞を受賞している。
4『市民ケーン』 オーソン・ウェルズ監督
Citizen Kane (DP: Gregg Toland)
グレッグ・トーランド
グレッグ・トーランド
若い頃から頭角を現し、ジョン・フォード、ハワード・ホークス、オーソン・ウェルズ、キング・ヴィダー、ウィリアム・ワイラーなど著名な監督の作品に参加。1939年の『嵐ケ丘』でアカデミー撮影賞を受賞。
5『サンライズ』 F・W・ムルナウ監督
Sunrise: A Song of Two Humans (DPs: Karl Struss and Charles Rosher)
撮影 カール・F・ストラス チャールズ・ロッシャー
カール・F・ストラス
『ジキル博士とハイド氏』、『ハエ男の恐怖』や、チャップリンの『独裁者』や『ライムライト』など歴史的な名作に携わる。
『ジキル博士とハイド氏』でも、1932年にアカデミー賞撮影賞にノミネートされた。
チャールズ・ロッシャー
サイレント映画時代から1950年代にかけて活動した。カール・ストラスと共に『サンライズ』で第1回アカデミー賞撮影賞を受賞となり、その後『小鹿物語』でもアカデミー賞を再度受賞。
6『暗殺の森』ベルナルド・ベルドリッチ監督
The Conformist (DP: Vittorio Storaro)
撮影 ヴィットリオ・ストラーロ
ヴィットリオ・ストラーロ
『ラストタンゴ・イン・パリ』や『1900年』などベルトルッチとの名コンビを組む。
70年代後半にはアメリカ映画界に進出、フランシス・フォード・コッポラ監督『地獄の黙示録』、ウォーレン・ベイティ監督『レッズ』、また再びベルトルッチと組んだ『ラストエンペラー』でアカデミー撮影賞を3度も受賞。
7『赤い靴』マイケル・パウエル エメリック・プレスバーガー共同監督
The Red Shoes (DP: Jack Cardiff)
撮影 ジャック・カーディフ
ジャック・カーディフ
戦後のテクニカラー映画の傑作『天国への階段』(1946年)の撮影監督。
パウエル監督たちとの関係は『黒水仙』(1947年)、『赤い靴』(1948年)と続き、『黒水仙』でカーディフはアカデミー賞とゴールデングローブ賞を受賞した。
8『ギャンブラー』ロバート・アルトマン監督
McCabe and Mrs. Miller (DP: Vilmos Zsigmond)
撮影 ヴィルモス・スィグモンド
ヴィルモス・スィグモンド
効率のよさを伴った芸術性や撮影技術に長けた面が、ブライアン・デ・パルマやロバート・アルトマン、マイケル・チミノ、スティーヴン・スピルバーグといった新進気鋭の若手監督の注目を集め、彼らの『ギャンブラー』、『スケアクロウ』、『続・激突!/カージャック』などといったアメリカン・ニューシネマの傑作を数多く担当し、新世代のアメリカ映画を代表する名カメラマンへとなった。
9『狩人の夜』チャールズ・ロートン監督
Night of the Hunter (DP: Stanley Cortez)
撮影 スタンリー・コルテス
スタンリー・コルテス
オーソン・ウェルズ、クロード・ルルーシュやサミュエル・フラー監督などの作品で有名。
10『地獄の黙示録』フランシス・フォード・コッポラ
Apocalypse Now (DP: Vittorio Storaro)
撮影 ヴィットリオ・ストラーロ (前述)
11『偉大なるアンバーソン家の人々』オーソン・ウェルズ監督
The Magnificent Ambersons (DP Stanley Cortez)
撮影 スタンリー・コルテス (前述)
12「ツリー・オブ・ライフ』 テレンス・マリック監督
The Tree of LIfe (DP: Emmanuel Lubezki)
撮影 エマニュエル・ルベッキ
エマニュエル・ルベッキ
これまで7度アカデミー賞にノミネートされ、2013年の『ゼロ・グラビティ』と2014年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、2015年の『レヴェナント: 蘇えりし者』で受賞を果たした。3年連続受賞は史上初。