映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転(原題: The Big Short)』

クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピットという豪華キャストが共演し、リーマンショックの裏側でいち早く経済破綻の危機を予見し、ウォール街を出し抜いた4人の男たちの実話を描いた社会派ドラマ。

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『マネーボール』の原作者マイケル・ルイスによるノンフィクション「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」を原作に『アントマン』の脚本や『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』などを手掛けてきたアダム・マッケイが監督。

第88回(2016年)アカデミー賞では作品賞、監督賞など主要部門を含む合計5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した。痛快なストーリーとハリウッドを代表する4人の男優の競演が見どころ。

うーん、結末わかってるんだけどねえ。金融危機の勃発までに何があったのか、それまでの様子をジリジリとスリリングに描いてるんだよね。ノリは良いし、テンポも良いし、ブラックな笑いも多いし、俳優たちの演技も素晴らしい。わかりやすく解説してくれてはいるんだけれど、なんたって女優のマーゴット・ロビーや行動経済学者のリチャード・セイラー、歌手のセレーナ・ゴメスらが本人役で登場しては複雑な商品や仕組みについて説明してくれてるんだ。けれども“空売り”の意味すらわからないボクら一般人にはやっぱり難しい箇所が多く感じたかな。

シェフが出てきてサブプライムローンをシーフードシチューに例えるくだりで、腐った魚もまとめて煮込んじゃえば誰もわからないよという説明はブラック過ぎて笑えた…。ペット名義で住宅ローンが組まれていたり、到底払えないだろう人々も住宅ローンを組めていたり、不良債権の組み合わせみたいな金融商品が作り出されていたり、“異常さ”は良くわかった。
これを中心に世界経済が回っていたかと思うと恐ろしさを通り越して滑稽だわね。一方で“逆バリ”した主人公たちが大儲けして喜んで終わりという単純な展開にしていないところが面白い。

彼らの大儲け=米国経済の負け→庶民の失業や破産ということで、主人公たちも様々に傷付く…。このすっきりしない感じがこの作品の良いところかもね。とはいえ、その住宅バブルを生み出し、金融危機に至らしめた複雑そうな要因については触れておらず、なぜ専門家含めてたくさんの人がバブルに気付かなかったのか、いや、なぜバブルは崩壊しないと思い込んだのか、わからないまま…。知的好奇心をくすぐる、ブラックコメディな作品だ。
でもこれは現実…恐ろしい…。

シネフィル編集部 あまぴぃ

画像: 『マネー・ショート 華麗なる大逆転』 アカデミー賞ノミネート予告(90秒) youtu.be

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』 アカデミー賞ノミネート予告(90秒)

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