画像: 「光紡ぐ肌のルノワール展」@京都市美術館 シネフィルチケットプレゼント!


このたび、京都市美術館において、春を彩る、印象派の二大巨匠、モネとルノワールの展覧会が開催されています。
季節や、時間の変化によって、刻々と移りゆく風景を、光を通して描いたクロード・モネと、可憐な少女や、優美な婦人像、生命感あふれる裸婦など、光輝く女性の美しさを描いたピエール=オーギュスト・ルノワール。
この二人の偉大な芸術家の「光の饗宴」は、優れた芸術作品に触れる絶好の機会です。
皆様、是非、春の京都で、ご鑑賞ください。
   
前回「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展」をレポートさせていただきましたので、今回は、「光紡ぐ肌のルノワール展」を、レポートさせていただきます。
 〔ART@関西 取材・米澤美也子ー西洋美術史専攻 cinefil編集部〕

子どもと少女

画像: ピエール=オーギュスト・ルノワール 《白いエプロンのリュシー・ベラールの肖像》 1884年 油彩・カンヴァス、35.2×27.1cmペレス・シモン・コレクション、メキシコ© Arturo Piera

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《白いエプロンのリュシー・ベラールの肖像》
1884年 油彩・カンヴァス、35.2×27.1cmペレス・シモン・コレクション、メキシコ© Arturo Piera

資産家で、ルノワールに多大なる援助をした、ポール・ベラールの末娘、リュシーの肖像画です。
ルノワールは、この作品において、印象派の筆遣いではなく、肖像画らしく、正確なデッサンをして描いていて、19世紀初めのアングルの影響を受けています。 
まだ4歳の無垢な少女の可憐な感じが、透き通るようなきめ細やかな肌や、きれいな瞳で表現されています。柔らかな金髪の艶、エプロンの素材感も細やかに再現されています。 
 

画像: ピエール=オーギュスト・ルノワール 《草原で花を摘む少女たち》 1890年頃 油彩・カンヴァス、65.1×81.0cmボストン美術館 Juliana Cheney Edwards Collection, 39.675 Photograph © Museum of Fine Arts, Boston

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《草原で花を摘む少女たち》
1890年頃 油彩・カンヴァス、65.1×81.0cmボストン美術館
Juliana Cheney Edwards Collection, 39.675 Photograph © Museum of Fine Arts, Boston

ルノワールは、肖像画だけでなく、日常生活の中や、自然の中で遊ぶ少女たちを、描いています。
光あふれる豊かな緑の自然の中で、ピンクや白地のドレスをまとい、花飾りを付けた帽子を被った、二人の少女たちが、花束を作っている様子が、美しい色彩で描かれています。その服装から、二人の少女の裕福な暮らしが、想像できます。
優しい光に包まれているような、温かさや、幸福感が感じられます。「花咲く木と、花を飾ったエレガントな帽子を被った少女たちを並べて描いているのは、ルノワールが頻繁に扱った美と無垢さを暗示するものである。」
       引用文献)「光紡ぐ肌のルノワール展」図録 (MBS、財団ハタステフティング)
 
《ピアノを弾く少女たち》も、ルノワールのなかで、よく知られている作品ですが、やはり、柔らかな光に包まれているような、幸福感が、感じられ、優しさに満ちています。 
 

身近な女性たち

画像: ピエール=オーギュスト・ルノワール 《おもちゃで遊ぶ子ども、ガブリエルと画家の息子ジャン》 1895-1896年 油彩・カンヴァス、54.3 ×65.4cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon 1985.64.36 Courtesy National Gallery of Art, Washington

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《おもちゃで遊ぶ子ども、ガブリエルと画家の息子ジャン》
1895-1896年 油彩・カンヴァス、54.3 ×65.4cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー
Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon 1985.64.36 Courtesy National Gallery of Art, Washington

ルノワールが題材にしていたのは、無垢な子どもや、可憐な少女ばかりではありません。妻や、家事手伝いの人、友人や息子の恋人など、周りの身近な女性を描いています。
それらの女性の外見上の自然な美しさ、優美さ、のみならず、生活の中の生きる喜びや、母性までも表現しています。
この絵では、ルノワールの妻アリーヌの親戚で、家事手伝いのガブリエル・ルナールと、息子のジャンが描かれています。 
  
日常生活において、家事や育児をする女性の輝きや、穏やかな幸福に満ちた、女性の優しさと、おもちゃで遊ぶ、無垢で幼い息子が、描かれています。
柔らかな光が、二人の肌を照らし、絹のような光沢で表現されています。 
 

同時代の女性たち

画像: ピエール=オーギュスト・ルノワール 《昼食後》 1879年 油彩・カンヴァス、100.5×81.3cm シュテーデル美術館、フランクフルト Photo:©Städel Museum‐U.Edelmann‐ARTOTHEK

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《昼食後》 1879年 油彩・カンヴァス、100.5×81.3cm
シュテーデル美術館、フランクフルト Photo:©Städel Museum‐U.Edelmann‐ARTOTHEK

絵画は、これまで、宗教や王侯貴族の権威の目的のためにつくられていましたが、19世紀になって、「美」そのものを表現する手段となってきました。
人間が自分の感覚で、美的感動を描くようになったのです。
印象派では、光と色彩によって、視覚的、触覚的、身体的な解放感を表現しています。
また、人物画や、風景画にとどまらず、日常生活や、スポーツ、レジャーの情景を描いています。
ルノワールは、穏やかな日常生活における、自然な美しさを、多く描きました。
1870年代のパリでは、休日に郊外にヴァカンスに出かけて、舟遊びをしたり、ダンスホールで踊りを楽しんだり、カフェや、バーで、社交する人々が多く見られるようになりました。人々が近代都市の生活を謳歌する、新しい時代の到来です。
ルノワールもまた、この新しい時代を描きました。 
  
《昼食後》は、ルノワール行きつけのモンマルトルにあるキャバレー・オリヴィエの庭が舞台となっていて、背景の緑も絵に美しい色彩を添えています。
綺麗な衣装を身にまとった人たちが、楽しい食事を終えて、くつろいでいる、ひとときが巧みに描かれています。
食後酒を手に持った薄色のドレスを着た女性は、女優のエレン・アンドレで、有名な《舟遊びをする人々の昼食》にも登場しています。                  
        参考文献)「光紡ぐ肌のルノワール展」図録(MBS、財団ハタステフティング) 

画像: ピエール=オーギュスト・ルノワール 《うちわを持つ女》 1879年頃 油彩・カンヴァス、65.5×54.0cm クラーク美術館 1955.595. Photo © Sterling and Francine Clark Art Institute, Williamstown, Massachusetts, USA. Bridgeman Images、

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《うちわを持つ女》 1879年頃 油彩・カンヴァス、65.5×54.0cm
クラーク美術館 1955.595.
Photo © Sterling and Francine Clark Art Institute, Williamstown, Massachusetts, USA. Bridgeman Images、

この時代にパリでは、「ジャポニズム」(日本美術愛好主義)が流行し、モネや、マネ、ドガなど仲間の画家たちも影響を受けていました。
ルノワールは、あまり影響を受けていなかったのですが、1870年から1880年半ばまでは、日本の職人的な技を愛し、屏風や、扇子などの、日本工芸品に強い興味を示しています。《うちわを持つ女》でも、かなり意識的にうちわが使われています。
背景には、たくさんの色彩豊かな菊の花と縦縞の壁紙が描かれ、華やかな印象を受けます。
モデルの女性は流行の華やかな帽子を被り、立体的な顔立ちをしています。パリジェンヌと、日本のうちわとの対比が面白い作品です。 
 

浴女と裸婦

画像: ピエール=オーギュスト・ルノワール 《風景の中の座る浴女 またはエウリディケ》 1895-1900年 油彩・カンヴァス、116.0×89.0cmピカソ美術館 © RMN-Grand Palais (musée Picasso de Paris) / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《風景の中の座る浴女 またはエウリディケ》
1895-1900年 油彩・カンヴァス、116.0×89.0cmピカソ美術館
© RMN-Grand Palais (musée Picasso de Paris) / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF

ヨーロッパ絵画には、20世紀のマティスのような「色彩派」と、19世紀のアングルのような「デッサン派」があり、ルノワールは、元々、色彩豊かな画家でしたが、「デッサン派の影響を受けて輪郭のくっきりした、裸婦を描いたりしましたが、再び「色彩派」に戻りました。「デッサン派」は生身の人間というよりギリシャ彫刻のような固い印象で、「色彩派」は、生命力を持って、生々しい艶と、質感があります。
ルノワールの裸婦は、光あふれる美しさがあります。背景に緑を描くことによって、より色彩豊かに、自然の中で、生き生きと女性美が描かれています。 
 
この作品は、本来、ギリシャ神話をもとに描かれたのですが、エウリディケは、森の精霊や、女神としてではなく、日常に存在する女性として描かれていて、光を受け、透明感あふれる美しさが表現されています。                参考文献)「ルノワール」宮崎克己著 (六耀社)
 
皆さま、是非、「光紡ぐ肌のルノワール展」で、ルノワールが生涯追い続けた、「光」と「女性の美」を、ご堪能ください。 
 
 米澤美也子@シネフィル編集部(西洋美術史専攻) 

展覧会概要

3月19日(土)~6月5日(日)
大人1,500円(1,300) 高大生1.200円(1,000) 小中生600円(400)
( )内は20名以上の団体料金
※ 障害者手帳等を提示の方は無料。
※3月19日(土)、20日(日)、5月3日(火)~8日(日)は19:00まで開館
(入場は閉館30分前まで)
フランスの印象派を代表する画家の一人,ピエール=オーギュスト・ルノワールは,人物画,特に女性や子供たちを好んで描いたことで知られています。“人生は長く終わりのない休暇である”という彼の言葉が示すように,自分が目にした年齢や社会的地位の様々な女性のポーズや日常の一場面から,人生の美しさと幸せを見つけて表現してきました。本展では,女性たちの透明な肌,色鮮やかな頬と唇などルノワールの描く光あふれる美を堪能できます。
■会場:京都市美術館
<光紡ぐ肌のルノワール展 関連イベント>
・展覧会記念講演会「かくも魅惑的な女-ルノワールに見る女性像表現の変遷」
講師:潮江宏三(京都市美術館長)
日時:3月19日(土) 午後2時から午後3時30分
場所:京都市美術館講演室
料金:参加費は無料。ただし本展観覧券(半券可)が必要
定員:各回先着80名(申込不要,当日1時間前より正面玄関前で整理券を配布)
※題目は変更になる場合があります。
             
・展覧会記念講演会「ルノワールが描く女性たち」
講師:尾﨑 眞人(京都市美術館学芸課長)
日時:4月9日(土) 午後2時から午後3時30分
場所:京都市美術館講演室
料金:参加費は無料。ただし本展観覧券(半券可)が必要
定員:各回先着80名(申込不要,当日1時間前より正面玄関付近で整理券を配布)
※題目は変更になる場合があります。

「光紡ぐ肌のルノワール展」@京都 cinefilチケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「光紡ぐ肌のルノワール展」チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いしております。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
  *応募締め切りは2016年5月15日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
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  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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