白鳥の湖といえば、チャイコフスキー作曲のバレエ曲としてあまりにも有名だ。
そのバレエで白鳥を踊ることは、バレリーナとして最高の名誉と言っていいだろう。1~2月に、白鳥を踊る二人をフューチャーした記録映画が公開される。

一本は1月30日に封切られる「ロパートキナ 最高の白鳥」であり、もう一本は2月20日に封切らる「Maiko ふたたびの白鳥」である。
 

「ロパートキナ」はロシアのマリインスキー・バレエ団のプリンシパル、ウリヤーナ・ロパートキナの人となりと至芸を、彼女自身、そして彼女と共演した多くのダンサー、振付師、同僚らの言葉とともに紹介している。

画像1: (C)DELANGE PRODUCTION

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ロバートキナは1973年10月にウクライナに生まれ、ロシア国立ワカノワ・バレエ学校で学び、91年にマリインスキー・バレエに入団。4年後にプリンシパルとなって以来、第一線で活躍。バレリーナとしては長身の175cmという体型を見事に生かしたダイナミックで、同時に繊細な身のこなしで観客を魅了している。
 「愛の伝説」「ロシアの踊り」といったクラシックから、ビージーズの「ステイン・アライヴ」にのせて踊るモダンなものまで、その範囲は幅広い。幼い頃の写真やワカノワ・バレエ学校再訪といった半生を紹介するパートもあれば、一人娘マーシャを慈しむプライベートな映像も織り込まれている。厳しい練習風景と、「カルメン」「白鳥の湖」などの実際の舞台を写したクリップは、多くのバレエファンを喜ばせることだろう。監督は「至高のエトワール~パリ・オペラ座に生きて~」「バレエに生きる~パリ・オペラ座の二人~」を撮ったバレエ記録映画専門のマレーネ・イヨネスコ。

画像2: (C)DELANGE PRODUCTION

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「ロパートキナ孤高の白鳥」本予告(初日後付け)

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「Maiko ふたたびの白鳥」は大阪生まれの西野麻衣子の半生を描くノルウェイ作品。

普通の家庭の子供として生まれた彼女は、幼い頃にバレエに魅了され、両親は安くない授業料を捻出するために家を売って、祖父母の家に同居してまで娘をサポート。
15歳で親元を離れ、英国ロイヤル・バレエ・スクールに学び、19歳でノルウェイ国立バレエ団に入り、25歳でプリンシパルに抜擢される。
オペラハウスの芸術監督ニコライと結婚し、妊娠して息子を出産。産後も早い時期から復帰のためのトレイニングを始め、「白鳥の湖」で復帰することになる。ロパートキナより3cm低いものの、彼女も172cmという長身を生かした舞いで知られている。

画像1: 「Maiko ふたたびの白鳥」

「Maiko ふたたびの白鳥」

画像2: 「Maiko ふたたびの白鳥」

「Maiko ふたたびの白鳥」


 オセ・スベンハイム・ドリブネス監督は4年間にわたって彼女を追い続け、ホームビデオで幼い彼女が踊っている姿、家族旅行の場面も紹介される。
娘を信じ支える母親が“大阪のおかんパワー”を炸裂させるさまは見ていて微笑ましい。マイコの「トップに立つためには待ちの姿勢では駄目、チャレンジしなくては」という言葉が胸を打つ。
ちなみにノルウェイ国立バレエ団は、昨年8月に公開されたドキュメンタリー「バレエボーイズ」で三人の少年が学んでいる場所でもある。

『Maiko ふたたびの白鳥』予告

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北島明弘
長崎県佐世保市生まれ。大学ではジャーナリズムを専攻し、1974年から十五年間、映画雑誌「キネマ旬報」や映画書籍の編集に携わる。
大好きなSF、ミステリー関係の映画について、さまざまな雑誌や書籍に執筆。著書に「世界SF映画全史」(愛育社)、「世界ミステリー映画大全」(愛育社)、「アメリカ映画100年帝国」(近代映画社)、訳書に「フレッド・ジンネマン自伝」(キネマ旬報社)などがある。
 

ロパートキナ 孤高の白鳥
2016年1月30日(土)渋谷Bunkamuraル・シネマほか全国公開

『Maiko ふたたびの白鳥』
2 月 20 日(土)より ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

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