映画『裁かれるは善人のみ(原題: Leviathan)』

『父、帰る』『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』などのアンドレイ・ズビャギンツェフが、ロシア北部の小さな町を舞台に市井の人々と権力を振りかざす行政の対立を描いたヒューマンドラマ。

画像: 映画『裁かれるは善人のみ(原題: Leviathan)』

権力を振りかざして横暴な土地買収を進める市長に立ち向かう、ある自動車修理工場経営者の男の姿を見つめる。
『マネー・ピラミッド 札束帝国の興亡』などのアレクセイ・セレブリャコフや『エレナの惑い』などのエレナ・リャドワらが出演する。

濃密な人間模様と荒涼としたビジュアルの融合に圧倒される。
第67回(2014年)カンヌ国際映画祭で脚本賞、第72回(2015年)ゴールデングローブ賞で外国語映画賞を受賞し、第87回(2015年)アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされた。素晴らしい作品だ。傑作だろう。ロシア北部の広大で荘厳な風景、壮大な映像に何よりもまず圧倒される。構図がイチイチ素晴らしい。空間や光も美しく映像化されてるんだ。

とにかく美しくて印象的。長回しもビックリするほど滑らかで(欲を言えば、家が破壊されるシーンやクジラの骨のそばに佇む少年のシーンなども長回しのワンショットで観たかったかな…)。
それら映像が人間が背負っている、いや、背負わされてる宿命というか、神と人間や善と悪などの普遍的な物語を際立たせてるんだよね。
現代ロシアへの容赦ない批判、そして権力への容赦ない批判も忘れてないところがエネルギッシュというか…。

役者陣の演技はどれも印象的で、特に主人公の妻を演じたエレナ・リャドワは見事だろう。
本作でロシアのアカデミー賞であるニカ賞で最優秀主演女優賞受賞を果たした。また、音楽には『めぐりあう時間たち』『あるスキャンダルの覚え書き』などの映画音楽を担当し、アカデミー賞作曲賞に3度ノミネートされた作曲家フィリップ・グラスのオペラ「アクナーテン」の楽曲を使用。壮麗なオーケストラが本作の世界観に見事にマッチしているんだよね。
美しい映像が印象的で、素晴らしい作品を観たという圧倒的な満足感に包まれる作品。

シネフィル編集部 あまぴぃ

映画『裁かれるは善人のみ』予告編

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.