京都文化博物館フィルムシアター、食べる映画特集。
11月13日は『生れてはみたけれど』(1932)が上映されました。
小津安二郎監督サイレント期の金字塔。不況のさなか、保身と出世に汲々としているサラリーマンの生態を、子供の視点から捉えた諷刺喜劇。ご飯を食べるためには、父が上司にヘコヘコするのも仕方が無い、ガキ大将の兄弟はなんとも納得出来ず、ハンストに入る。お腹をこわした子ども、雀の卵など、食にまつわる伏線多数。

島津香蘭@シネフィル編集部

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

画像: (C)小津安二郎監督サイレント期の金字塔『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』 (1932(昭和7)年松竹蒲田作品)上映@京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

(C)小津安二郎監督サイレント期の金字塔『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』
(1932(昭和7)年松竹蒲田作品)上映@京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

京都文化博物館フィルムシアター、食べる映画特集。
小津安二郎監督サイレント期の金字塔『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』
(1932(昭和7)年松竹蒲田作品)上映
京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive


11月13日は『生れてはみたけれど』(1932)が上映された。
小津安二郎監督サイレント期の金字塔。不況のさなか、保身と出世に汲々としているサラリーマンの生態を、子供の視点から捉えた諷刺喜劇。ご飯を食べるためには、父が上司にヘコヘコするのも仕方が無い、ガキ大将の兄弟はなんとも納得出来ず、ハンストに入る。お腹をこわした子ども、雀の卵など、食にまつわる伏線多数。

京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive
‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』
1932(昭和7)年松竹蒲田作品/120分・モノクロ・サイレント
原作:ゼェームス槙 脚色:伏見晁 美術監督:河野鷹思 潤色:燻屋鯨兵衛 監督:小津安二郎 


『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』
1932(昭和7)年松竹蒲田作品/120分・モノクロ・サイレント
原作:ゼェームス槙 脚色:伏見晁 美術監督:河野鷹思 潤色:燻屋鯨兵衛 監督:小津安二郎 撮影・編集:茂原英朗 監督補助:清輔彰、原研吉 撮影補助:厚田雄春、入江政男 撮影事務:高山伝 
舞台装置:角田竹次郎、木村芳郎 舞台装飾:三村信太郎、井上常太郎 舞台配光:中島利光 現像:納所歳巳 焼付:阿部鉉太郎 
衣装着付:斎藤紅 字幕撮影:日向清光タイトル:藤岡秀三郎


出演:斎藤達雄(父)、吉川満子(母)、菅原秀雄(長男)、突貫小僧(次男)、坂本武(重役)、早見照代(夫人)、加藤精一(子供)、小藤田正一(酒屋の小僧)、西村青児(先生)

画像: 小津安二郎監督サイレント期の金字塔『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』 (1932(昭和7)年松竹蒲田作品)上映 (C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

小津安二郎監督サイレント期の金字塔『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』
(1932(昭和7)年松竹蒲田作品)上映
(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』
1932(昭和7)年松竹蒲田作品/120分・モノクロ・サイレント
原作:ゼェームス槙 脚色:伏見晁 美術監督:河野鷹思 潤色:燻屋鯨兵衛 監督:小津安二郎 


良一・啓二兄弟の父はサラリーマン。最近、東京郊外の新興住宅地に引っ越してきた。早くもガキ大将となった良一と啓二は、父の会社の重役、岩崎の坊っちゃんまでも子分に従えている。
ある日、岩崎邸で見たホーム・ムービーに二人はびっくり。
一番偉いと信じていた自分たちの父親が、上司である、坊ちゃんの父の前ではぺこぺこし、動物の物真似までしてご機嫌を取っている。
その姿に幻滅した兄弟は、父を侮辱し、怒りの限りをぶつける・・・。


小津安二郎は1923年松竹蒲田撮影所に撮影助手として入所する。
’26年助監督に昇進、大久保忠素のもとでひたすら映画を学び、その翌年、時代劇『懺悔の刃』で監督デビューを果たす。明るく明朗なナンセンスコメディをそつなく撮り続けた小津は、’31年、『東京の合唱』でキネマ旬報賞の3位を獲得、新進監督として頭角を現す。

そして翌年、当作でキネマ旬報賞の1位を獲得し新進監督の最先端となるや、彼は『出来ごころ』(1933)、『浮草物語』(1934)と3年連続してキネマ旬報賞の首位を独占してしまう。

本作は、不況のさなか、保身と出世に汲々としているサラリーマンの生態を、子供の視点から捉えた諷刺喜劇である。自分の父親が一番偉いと思っていた兄弟は、重役にヘコヘコするフィルムの中の父親の姿に幻滅し、そんなことしてまで月給なんてもらわなければいいじゃないか、父親にと問う。
月給をもらわなかったら、ごはんを食べることもできないよという父親の答えにも納得出来ず、もうごはんを食べるのは止そう、と誓う。
翌朝、兄弟は母親がこしらえたおにぎりを空腹に負け手にし、父親とも和解するが、“食べる”ということを“食べない”ことによって深く実感する瞬間でもあった。

雀の卵の扱いも面白い。
秀逸な字幕をはじめ当時の喜劇作家の第一人者・伏見晁がシナリオを担当、原作のゼェームス・槙は、小津と脚本家たちの共同ペンネームとして使われた。
伏見のエスプリと、小津の温かな視線が一体となりサイレント映画の金字塔と言われる作品が誕生した。
ローアングルの構図、全編カットのみでつないでいく小津独特の手法は、当作で確立されたと言われる。(キネマ旬報賞第1位)


人の暮らしの基本である衣食住。とりわけ食は直接生きることと関わるもので、映画の中でも様々な使われ方をしている。今回の特集では京都府所蔵作品の中から食が印象的に使われている9作品を選んで上映する。

上映スケジュール


11月10日(火)13:30~・18:30~
13日(金)13:30~・18:30~
生まれてはみたけれど
『生れてはみたけれど』
1932年松竹蒲田(モノクロ・サイレント・120分)/
監督:小津安二郎/出演:斎藤達雄、吉川満子、突貫小僧


11月11日(水)13:30~・18:30~
14日(土)13:30~・17:00~
『隣の八重ちゃん』
1934年松竹蒲田(モノクロ・77分)/監督:島津保次郎/
出演:岩田祐吉、飯田蝶子、逢初夢子、岡田嘉子


11月12日(木)13:30~・18:30~
15日(日)17:00~
『花籠の歌』
1937年松竹大船作品(モノクロ・68分)/監督:五所平之助/
出演:田中絹代、佐野周二、徳大寺伸


11月17日(火)13:30~・18:30~
20日(金)13:30~・18:30~
破れ太鼓
『破れ太鼓』
1949年松竹太秦作品(モノクロ・108分)/監督:木下恵介/
出演:阪東妻三郎、森雅之、木下忠司、大泉滉


11月18日(水)13:30~・18:30~
21日(土)13:30~・17:00~
『麦秋』
1951年松竹大船作品(モノクロ・125分)/監督:小津安二郎/
出演:原節子、菅井一郎、笠智衆、淡島千景


11月19日(木)13:30~・18:30~
22日(日)13:30~・17:00~
お茶漬けの味
『お茶漬の味』※フィルムに約20分の欠損部があります
1952年松竹大船作品(モノクロ・96分)/監督:小津安二郎/
出演:佐分利信、木暮実千代、鶴田浩二、津島恵子


11月23日(月・祝)13:30~・17:00~
25日(水)13:30~・18:30~
用心棒
『用心棒』
1961年東宝作品(モノクロ・110分)/監督:黒澤明/
出演:三船敏郎、仲代達矢、山田五十鈴


11月26日(木)13:30~・18:30~
28日(土)13:30~・17:00~
砂の女
『砂の女』
1964年勅使河原プロ作品(モノクロ・124分)/監督:勅使河原宏/
出演:岡田英次、岸田今日子、三井弘次


11月27日(金)13:30~・18:30~
29日(日)13:30~・17:00~
泥の河
『泥の河』
1981年木村プロ作品(モノクロ・105分)/監督:小栗康平/
出演:田村高廣、藤田弓子、加賀まりこ

京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

This article is a sponsored article by
''.