画像1: 「KAMA City Residency Biennale」会場風景 photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

「KAMA City Residency Biennale」会場風景 photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

画像2: 「KAMA City Residency Biennale」会場風景 photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

「KAMA City Residency Biennale」会場風景 photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

大陸からの稲作文化を伝える「嘉麻」の地

 嘉麻市は、九州の福岡県の中央部に位置する人口38,778人(推計人口、2015年9月)の旧炭坑都市で、2006年平成の大合併時に旧山田市と嘉穂郡の旧稲築町、旧碓井町、旧嘉穂町が合併して誕生しました。
 「嘉麻」という地名は古く、大和朝廷の直轄領である「鎌屯倉(かまのみやけ)」として知られ、日本書紀に記述が残っています。
近隣にある馬見神社(宇麻美神社)は、3,000年前の神代紀の創建と伝えられています。
古くから稲作が行われた背景もあり、神武東征にまつわる伝承から、大陸文化がいち早く根づいた土地になります。
 古代史の話になりますが、物部八十氏(もののべのやそし)といわれた古代の氏族の名前に「馬見物部」があり、畿内の奈良県には馬見古墳群も存在し、地名の由来も含め、大和朝廷との関係の深さも感じられます。

画像: -「Three Dancers(部分)」アン クレール デ ブレイ、クリスティーヌ マース - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

-「Three Dancers(部分)」アン クレール デ ブレイ、クリスティーヌ マース -
photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

画像1: -「Recollection(部分)」ディルク スミット - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

-「Recollection(部分)」ディルク スミット - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

日本における「アーティスト イン レジデンス」の活動

 「KAMA City Residency Biennale」は、2015年の6月から8月にかけて、嘉麻市の廃校となった千手小学校に「アーティスト イン レジデンス」として滞在し、4名のオランダ人クリエイターと3名の日本人が、地元の職人とアーティストとともに作品を制作しました。
「アーティスト イン レジデンス」は、アーティストに現地に滞在してもらい、交流することで制作をする交流事業になります。
 日本では、陶芸家の海外交流で知られた1990年「滋賀県立陶芸の森」の活動から始まりました。
1993年に開催された多摩地域(東京都)の東京府編入100周年記念のイベント「TAMAらいふ21」の際に、「日の出町アーティスト イン レジデンス」が、西多摩の小学校跡地に開催され、その後、1994年茨城県守谷市にて、同じように小学校跡地を使用した「アーカスプロジェクト」プレ事業がスタートしました。
 また世界各地に「アーティスト イン レジデンス」の施設があり、多くのアーティストが、滞在して制作しています。
1998年山口県「秋吉台国際芸術村」、1999年徳島県「神山アーティスト イン レジデンス」、2000年「国際芸術センター青森」など、59におよぶアーティスト イン レジデンスプログラム(http://air-j.info/)が日本各地に存在します。

画像2: -「Recollection(部分)」ディルク スミット - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

-「Recollection(部分)」ディルク スミット - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

画像: -「Life in Senzu」中村亮一 - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

-「Life in Senzu」中村亮一 - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

統廃合で廃校になった千手小学校

 今回の嘉麻市の千手小学校は、統廃合で廃校になった校舎です。
同じく廃校になった嘉麻市内の大隈小学校では、昨年10月から11月にかけてアートプロジェクト「大隈アートマジック~母里太兵衛のオモイヤリ~」がNPO法人アイアートレボの企画で開催されました。
 今回のアーティスト イン レジデンスプログラムのキュレーターは、アムステルダムを拠点に活動を行うクララ ヴァン ダウクレン、ヴィンセント スキッパーによる「The Future(http://printthefuture.nl/)」になります。
アン クレール デ ブレイ、クリスティーヌ マース、スティーブン ファン ルメル、ディルク スミットのオランダ人4名と、中村亮一、前谷康太郎、元行まみの日本人3名が参加しました。
千手小学校内には1903年の校舎新築の際に植樹されたケヤキがあります。樹齢100年をこえる記念樹になり、ケヤキにちなんだ「千手けやき会(https://www.facebook.com/senzukeyakikai)」というコミュニティがあります。
「千手けやき会」は、今回のアーティスト イン レジデンスプログラムでは、制作サポート活動の原動力となりました。

画像: -「Kama Portraits(部分)」アン クレール デ ブレイ - photo(C)mori hidenobu-cinefil art review

-「Kama Portraits(部分)」アン クレール デ ブレイ - photo(C)mori hidenobu-cinefil art review

画像: -「Senzu Shogakkou(部分)」The Future、元行まみ  - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

-「Senzu Shogakkou(部分)」The Future、元行まみ - photo(C)mori hidenobu -cinefil art review

織田廣喜美術館「オダビエンナーレ2015/KAMA City Residency Biennale」

 「オダビエンナーレ」は、嘉麻市と関連性をもった隔年のアートプログラムになり、今回が第2回目の開催となります。
「織田廣喜美術館」は、嘉麻市出身の二科会の画家 織田廣喜のコレクションを主体にした美術館として、1996年に開館しました。
旧産炭地のつながりで、直方市の直方谷尾美術館、田川市美術館とともに、筑豊美術館ネットワーク(http://chiku-net.sub.jp/)を形成しています。
 「The Future」企画による今回の展覧会では、「思い出」をコンセプチュアルテーマに、木と紙を素材のテーマに、様々なインスタレーション作品が展開されています。
地域のコミュニティと密になりながらも、地域文化を引き出しにした、「ネオ コンセプチュアル アート」を彷彿とさせる展示内容です。
「千手けやき会」とのコミュニケーションや、長唄、神楽などの伝統文化、地域住民の顔のポートレートや、永年使用された古いテーブルに、少年時代の美しい山河、友人、川遊びなどが描かれた作品もあります。
今ではあまりみなくなった蚊帳、着物など懐かしい物も並びます。
 展覧会は「The Future」によって、東京の「SHIBAURA HOUSE」、オランダで続いていきます。
東京の「SHIBAURA HOUSE」では2015年11月6、7日の2日間、夜の美術館「Night Museum」と題し、「KAMA City Residency Biennale」の滞在アーティストの作品展示と、作品にまつわるトークを開催する予定になっています。
今後も引き続き、「KAMA City Residency Biennale」に注目です。

オダビエンナーレ2015「KAMA City Residency Biennale」
会  期:2015年9月12日(土) - 10月18日(日)
休館日:月曜日
開館時間:9:30–17:30(入館は17:00まで)
入館料:当日券:一般 ¥310 大学・高校生 ¥210 中学・小学生 ¥100
    団体券:一般 ¥260 大学・高校生 ¥170 中学・小学生 ¥80
会  場:嘉麻市立織田廣喜美術館
     福岡県嘉麻市上臼井767
     phone 0948-62-5173
     fax 0948-62-5171
公式サイト:http://www.city.kama.lg.jp/odahiroki/
      http://the-future-residency.com/
主  催:嘉麻市教育委員会 The Future

森秀信 プロフィール

1966年長崎市生まれ。
武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了後、現代美術センターCCA北九州リサーチプログラム修了。
主に現代美術の創作活動の他、展覧会のキュレーションやワークショップの企画を担当。専門は現代美術。

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