■日時:10月31日(土)
<審査委員&受賞者記者会見>17:30~19:30
■場所:TOHO シネマズ六本木ヒルズ スクリーン6
■登壇者:コンペティション審査委員、各賞の受賞者

画像: 審査員団 右寄り大森一樹、スザンヌ・ビア、ナンサン・シー、ブライアン・シンガー、トラン・アン・ユン、ベント・ハーメル

審査員団 右寄り大森一樹、スザンヌ・ビア、ナンサン・シー、ブライアン・シンガー、トラン・アン・ユン、ベント・ハーメル

~「審査委員記者会見」登壇者コメント~
◆【ブライアン・シンガー審査委員長】

画像: ブライアン・シンガー

ブライアン・シンガー

10日間で 16 本の映画を観て審議する、というのは大変な事でした。その上に、様々なイベントがあったり、 私自身の映画のプロモーションを行わなければ、という事もあり、非常に大変な10日間でした。しかし、とて もやりがいのあるプロセスでもあったことは間違いない。
今回の審査員の中には、(私と同じく)フィルムメーカ ーが多かったんですが、これだけ毎日一緒に映画を観て、食事をして、本当の意味において“仲間”という意識 を持ちながら過ごす、という事はめったにない経験です。普段は、カメラの後ろで観ている者が、先程の様な大 きな舞台でスピーチを終えて、本当にほっとしているんです。
(精神障害のある方と関わった過去の話を詳しく 教えてください)
21 歳の時、精神障害のある子供たちのバスドライバーをやっていた事があったんですが、ダウン症の子供たちも多かった訳です。従妹にキャリーというダウン症の女の子がいたんですが、『ニーゼ』のワンシ ーンの中で思い出した事があります。
病院の中で同じダウン症の患者さんがキャリーの胸を触った時に、看護師 さんが優しく、「そういう事はやってはいけない」と教えたという話を叔父から聞いていました。映画の中で同じ ようなシーンがあり、ニーゼが、患者の秘められた感情を優しくフォローし引き出してあげているというのが、 自身のいとこの思い出と覆いかぶさって見えたのです。

自分自身、色んなインディペンデント映画を作ってきましたので、インディペンデント映画を作るという事が、どれだけチャレンジな事であるかを人一倍わかっている つもりです。また、審査をする際(自分が)アメリカの映画監督であるために、よりスピーディーな作品を求め てしまった。
しかし、トラン・アン・ユン監督と非常にゆっくりなストーリー展開である『カランダールの雪』 の話になった時、自分が実際にあの映画を作るとなったら、どれだけ大変な事なのかを考える事が出来た。そういった意味でも非常に良い体験をさせて頂きました。

◆【ベント・ハーメル】

画像: ベント・ハーメル

ベント・ハーメル

今の気持ちは、皆さんとほとんど一緒です。
私達は、同じフィルムメーカーでも様々な種類の映画を作る人の集 まりでした。しかし、様々な審議を行ったり一緒に意見を交わした事は、非常に良い経験だったと思う。
しかし、今、(映画祭が)終わってしまい、それぞれが別の国へ帰り、別々の仕事に戻っていくのだと思うと、とてもさみ しく、からっぽな気持ちになります。
(『ニーゼ』をグランプリに決めるまでについて問われ)
皆、それぞれ個人 的な体験に基づいて観てみたり、色々な選択の仕方があったと思います。全くルールは無く、自分の言いたいことをオープンに語り合う事が出来る、更に、作品の中に隠されている宝物のような凄い真珠見つかるんじゃない かと思いながら、色んな面からこの 16 本の映画を観ました。
しかし、ひとつ言えることは、色んな意見もあっ たけれど、皆なんとなく同じページに居た、ということ。終わった後も、またどこかで会いたいね、と言える事 が良かったと思います。

◆【トラン・アン・ユン】

画像: トライ・アン_・ユン

トライ・アン_・ユン

非常にハッピーで、ほっとしています。
一週間、(審査員の)皆で一緒に映画を観ながら、色々な会話が出来た事 が非常に素晴らしい経験でした。
(『ニーゼ』をグランプリに決めるまでについて問われ)
かなり真っ向から論議 し、勝負をしました。しかし、あれだけ素晴らしく気品のあるエレガントな論議は無かったと思います。
終わっ た後も、お互いしっかりとほほ笑む事が出来たので、良かったです。

◆【ナンサン・シー】

画像: ナンサン・シー

ナンサン・シー

これだけの映画大好き人間を審査員として揃えて頂き、また、毎日映画三昧で、いわゆる映画ホリデイの様な日々。 更に食べ物も美味しくて、ショッピングもできる私達の大好きな東京。
本当に楽しい日々を過ごさせて頂き、感 謝しています。
(『ニーゼ』をグランプリに決めるまでについて問われ)
ブライアン(審査委員)に関しては、確かに個人的な体験が結果に反映されていたかもしれません。
しかし、本当に素晴らしい作品であれば、作品がその中の体験に私たちを良い意味で引き込んでくれると思っています。
私は、個人的な体験などが覆いかぶさるこ とは無かったですが、作品に良い意味で引き込まれていった訳です。

◆【スサンネ・ビア】

画像: スザンヌ・ビア

スザンヌ・ビア

今回、これだけの素晴らしいフィルムメーカーたちが審査員として東京に集まりました。
最初、私たちが「この 映画はどんな映画なのかな?」と引き込まれていくように、皆が集まったときに「どんな感じかな?」と思って いました。
いざフタを開けてみると、皆、時々短気で怒りっぽくなったり、時々は楽しんだり。やっぱり、普通 の人間じゃないか、と思いながらも、お互い非常に仲良くなりました。
私の唯一の心残りは、初来日だったにも 関わらず、明日もう旅立たなければならないため、映画祭以外にももう少し日本を見たかったという事。
(『ニー ゼ』をグランプリに決めるまでについて問われ)
映画祭で審査をする良さは、“完璧”な作品を審査する訳ではな い、という事。完璧では無いかもしれないが、作り手が勇気をもってひとつの実験をしてみた時に、その映画・ 作り手の将来にとって何かのポテンシャルになる可能性を審議する訳です。それが映画祭において私達が体験で きる素晴らしさだと思います。

◆【大森 一樹】

画像: 大森一樹

大森一樹

他の審査員の方々と同じで、すごく上手くいったと思います。こういう結果になるんだったら、とてもやりがい のある審査だったと思います。
映画を一本一本観て、途中、ぞれぞれの作品に思う事があって、「この作品を違う 審査員が強く推して来たらどうしよう」と悩む事もありました。しかし、最後の審査の日にブライアン(審査委 員長)が、6 本の映画を候補に挙げてきたんです。その他もほとんど皆意見が一致していました。
その 6 本は僕 としても満足できる映画で、意見の一致しない映画は一本も無かった。
世界観の全く違う 16 本もの映画を、国 も育ちも違う(映画を作るという事が唯一の共通点である)人々が観て、その 6 本の意見が一緒になるなんて。 奇跡のような感動を受けました。
先程の授賞式で『ニーゼ』と『カランダールの雪』の監督のトークを聞きまし て、初めて審査員になって賞を与えた喜びを感じました。片や(『ニーゼ』)13 年かかって精神病と付き合いなが ら映画を作ってきた監督と、片や(『カランダールの雪』)雪の中でどうしようも無くて、撮影が終わらないじゃ ないかと思いながらも最後まで作品を作り上げた監督。我々が誇りとする監督たちに賞を与える事が出来て、再 度感謝をいたしました。
(『ニーゼ』をグランプリに決めるまでについて問われ)
日本のジャーナリストって、「監督という立場でどうお考えですか?審査の基準はあるんですか?」みたいな事をみんな聞くんですよ。それって、 ようするに審査のマニュアルを知りたい訳ですよね。今回私は審査にマニュアルはないんだ、と感じたんです。 映画には 2 種類あって、引き込まれる映画、そうじゃない映画がある。
最後にブライアン(審査委員長)が 6 本 の映画を挙げた時、みんなが共通して引き込まれた映画だった。それは、審査員皆が、映画がもっている力を感 じられる人だったという事だったのではないかと。改めて、審査にマニュアルはございません。

画像: ■日時:10月31日(土) <審査委員&受賞者記者会見>17:30~19:30 ■場所:TOHO シネマズ六本木ヒルズ スクリーン6 ■登壇者:コンペティション審査委員、各賞の受賞者 


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