京都文化博物館フィルムシアター、脚本家・依田義賢の世界。9月19日(土)は『歌麿をめぐる五人の女』(1946)の上映。
溝口健二監督は江戸時代の社会システムの考証だけではなく、衣裳、髪型など当時の女たちが実際に憧れ、こだわったであろう風物を美しく表現することにより、女性を浮き彫りにする、独特のリアリズムを展開する。
‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

画像1: 『歌麿をめぐる五人の女』 1946(昭和17)年松竹京都作品/93分・モノクロ

『歌麿をめぐる五人の女』
1946(昭和17)年松竹京都作品/93分・モノクロ

京都文化博物館フィルムシアター、脚本家・依田義賢の世界。9月19日(土)は『歌麿をめぐる五人の女』(1946)の上映。
溝口健二監督は江戸時代の社会システムの考証だけではなく、衣裳、髪型など当時の女たちが実際に憧れ、こだわったであろう風物を美しく表現することにより女性を浮き彫りにする、独特のリアリズムを展開する。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

『歌麿をめぐる五人の女』
1946(昭和17)年松竹京都作品/93分・モノクロ


原作:邦枝完二 脚色:依田義賢 監督:溝口健二 撮影:三木滋人 録音:加瀬久 美術:本木勇 時代考証:甲斐庄楠音 照明:村田政雄 音楽:大沢寿人、望月太明蔵 編集:宮本信太郎
出演:坂東蓑助(喜多川歌麿)、田中絹代(難波屋おきた)、大原英子(狩野雪江)、川崎弘子(お蘭)、飯塚敏子(多賀袖太夫)、草島競子(おまん)、白妙公子(おしん)、坂東好太郎(小出勢之助)、中村正太郎(庄三郎)、高松錦之助(蔦屋重三郎)、葉山純之輔(山東京伝)、堀正夫(十返舎一九)、富本民平(喜多川竹麿)、尾上多見太郎(松平周防守)、松浦築枝(鶴半の女将おはん)、南光明(狩野法眼)、玉島愛造(家主惣兵衛)、加藤貫一(唐草権次)、山口勝久(番頭喜助)

画像2: 『歌麿をめぐる五人の女』 1946(昭和17)年松竹京都作品/93分・モノクロ

『歌麿をめぐる五人の女』
1946(昭和17)年松竹京都作品/93分・モノクロ


水茶屋難波屋のおきたは、歌麿に描いてもらった一枚絵で江戸中の評判になった。
おきたは、紙問屋の庄三郎に恋していたが、彼がおいらん・多賀袖と駆落ちしたため、歌麿門下の勢之助と許嫁の雪江にまで嫉妬し、あたりちらした。

それは二人の仲を取りもっていた歌麿の筆にまで影響し、彼の絵は荒んだ。
美女・お蘭が裸体で鯉のつかみ取りをする絵で復調するものの、以前描いた絵がお上の怒りに触れ、歌麿は投獄される・・・。


戦中は、なかなか好みの作品を撮らせてもらえなかった溝口健二監督が、戦後第2作目にして、江戸時代の女と、その艶やかな風俗に臨む。

終戦直後、占領軍は封建的主題を忌避して時代劇には難色を示していたが、「歌麿は民衆の画家だ」という、溝口監督の直談判で製作が許されたという。
タイトルは「歌麿をめぐる〜」であるが、実際は歌麿を狂言廻しとして、江戸の市井に生きる5人の女の生きざまを描く。

特に本作では、日本画家の甲斐庄楠音(かいのしょう・ただおと)を、江戸風俗の考証に迎え、江戸時代の女たちが直面していた情況、世界観と時代背景を緻密に演出。
女たちの憧れ、こだわり、困難、悲しさ、心情がストレートに伝わってくる。

江戸時代の社会システムの考証だけではなく、衣裳、髪型など当時の女たちが実際に憧れ、こだわったであろう風物を、美しく表現することにより女性を浮き彫りにするという、溝口監督独特のリアリズムは、後の『西鶴一代女』(1952)に受け継がれた。


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