映画『ヴィンセントが教えてくれたこと(原題: St. Vincent)』


人生に空虚感を抱き始めた気難しい中年男が面倒を見ることになった12歳の少年と奇妙な友情を育み、生きる活力を取り戻していく姿を描いた人間ドラマであり、ハートフルコメディ。

画像: 映画『ヴィンセントが教えてくれたこと(原題: St. Vincent)』

主演は『ロスト・イン・トランスレーション』などのビル・マーレイ、両親の離婚により大人びた少年役のジェイデン・リーベラーがビルと絶妙な掛け合いを見せている。
監督・脚本を手掛けたセオドア・メルフィは本作で第72回(2015年)ゴールデングローブ賞作品賞にノミネートされた。ビルも同賞主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネートされた。他に少年の母親役に『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』などのメリッサ・マッカーシー、妊婦のロシア人ストリッパー役に『21グラム』などのナオミ・ワッツ、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』などのクリス・オダウド、『アイアンマン』などのテレンス・ハワードが出演している。

おお、傑作だよ、傑作。
感情を揺さぶられるってこういうことだよね。どうしようもなく胸が詰まって涙が止まらない…そしてとっても気持ち良い。もうね、この先、読まずに映画観に行って欲しいや。
米国ではこの豪華出演陣にも関わらず、わずか4館での公開、その後2,500館に拡大されていったそうな。ありがちな設定でオリジナリティはあまりないんだよね。演出もクドい感じ。でもね、キャラクター造形が素晴らしく、全員がコミカルで生き生きしてるし、エンディングまでの流れ(ストーリーテリング?)も素晴らしいんだ。所々、画作りも良いんだよね、音楽もいちいちカッコイイ。とはいえ、この作品は誰が何と言おうととにかくビル・マーレイが最高!!

生きることの価値を見失った“不良老人”に憎めない愛情、人情を纏わせとにかく魅力的なキャラクターを作り上げてる。微笑ましいのに人生の孤独や切なさを感じさせてくれる円熟な名演。ナオミ・ワッツもビッチな役柄ながらも温かい人柄が滲み出てるし、メリッサ・マッカーシーは持ち前のユーモアに加えて確かな演技。ビル・マーレイ相手に堂々たる掛け合いを演じた少年役のジェイデン・リーベラーは繊細で深い感情を表現してて今後が楽しみだ。2人が心を通わせていく過程がすごく良かったなあ。

終盤、少年が“欠点だらけだけど”と前置きして“不良老人”の人間性を自信を持って語るシーンは涙が止まらないよ。もう感動。
人の良いところも悪いところもわかってこそ、人付き合いなんだなあとか、すぐそばで誰かが認めてくれるからこそ思い遣りを持てるんだろうし、優しくて強い人間でいられるんだろうなあなんて思った。
エンドロールも最高にカッコイイ。ボブ・ディランを適当に唄うビル・マーレイがもうカワイイのなんのって。こういう作品に出遭えるからやっぱり映画って素晴らしい。

シネフィル編集部 あまぴぃ

ヴィンセントが教えてくれたこと 予告篇

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