毎日新聞の報道によると、1946年創刊、70年の歴史ある「映画芸術」が秋号と、今年の映画を総括する来年発行の冬号で休刊せざるを得ないという。
多くの、著名映画関係者が投稿し、特に、毎年恒例となるベストテンとならぶ、ワーストテンなども掲載し、映画界、映画製作者を鼓舞してきたメディアだけに、今後の推移が気になるところだ。
また、「キネマ旬報」とならんで、歴史ある雑誌であると同時に、日本の映画批評のかなめ的な紙面だっただけに存続への期待が多く寄せられている---。


 全盛期は、大島渚、若松孝二といった監督が、撮影所の外で既成の映画の枠を壊し、作家性を前面に出した作品を精力的に作っていた60年代。
 「キネマ旬報」が取り上げないような前衛的な作品も高く評価して世に問い、時に政治的主張も展開。編集長の小川徹の個性を反映し、三島由紀夫、武田泰淳、吉本隆明、埴谷雄高ら評論家、文学者が寄稿して、作品の評価を巡る紙上論争も活発だった。“主流派”の「キネマ旬報」に、「映画評論」「映画批評」と並んで対抗。発行部数も1万部近くまで伸びた。
 しかしその後は、政治性や取り上げる作品の偏りが敬遠され、じり貧状態。発行は途切れがちになり、月刊から隔月刊、季刊と回数を減らしながら、発行を続けてきた。89年、小川の後を受けて、脚本家・映画監督の荒井晴彦が発行を引き継いだ。編集方針を見直したり判型を変えたりと改革も試み、時に完売する号もあったものの焼け石に水。原稿料なしで執筆を依頼し、発行のたびに出る赤字を荒井の私財や映画人らからの支援で埋めて、かろうじて命脈を保ってきた。
 しかし89年当時の5000部は2000部を切り、ここにきて万策尽きた。このままでは、沖島勲監督への追悼などを特集する秋号と、今年の映画を総括する来年発行の冬号で休刊せざるを得ないという。

画像: http://eigageijutsu.com

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