中国の北西部に住む、現在わずか1万4000人の少数民族「ユグル族」を題材にした『僕たちの家に帰ろう』が公開される事となった。
昨年、第27回東京国際映画祭コンペティション部門には「遥かなる家」のタイトルで上映され評判になった作品。
少数民族となったユグル族の兄弟が、自分たちのアイデンティティーに目覚めていく姿を、雄大な自然を背景に描いていく---

画像: 少数民族ユグル族の幼い兄弟が自分たちの家とアイデンティティーを求めて500キロもの旅をする『僕たちの家に帰ろう』公開!

リー・ルイジュン監督コメント


私が子どもだったころ、住んでいた村の入り口で、ラクダが1,2頭電柱につながれていたのを度々目にしたものでした。
家で昼食をすませ、学校に戻る際によく見かけたのですが、ラクダの持ち主であるユグル人たちは、お茶と様々な乾燥した食べ物の2袋を携え、ラクダを連れて村を離れていきました。
母が言うには、彼らは草原にある家に帰るために、それから6時間も、7時間も、時には10時間も歩かなければならないということでした。私と友だちは、飼い主が不在の隙を盗んではよくラクダに乗りました。時には巧くいきましたが時には体中にラクダのよだれを浴びせられました。
時は経ち、ユグル族の人たちがラクダに乗って村にやって来て日用品を買って行く回数がますます減り、私たちが秘かにラクダに乗って遊べる時間もそれだけ短くなりました。
あとで判ったことですが、彼らの家がある草原地帯がどんどん破壊されていき、彼らは奥へ奥へと移住しなければならなくなったのです。
そして、彼らが私たちの村に生活必需品を買いに来るために旅をする時間は長く長くなっていったのです。というわけで、猛スピードで進んだ近代化のせいで、私は秘かにラクダに乗る楽しみを完全に奪われました。
しかし、ユグルの人々が失ったものの大きさは、私が失ったものとは比べようもありません。
アディカーとバーテルの心も砕かれました。私には幸運なのか、悲しみなのか、わかりません。

8月29日公開『僕たちの家(うち)に帰ろう』予告

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ストーリー

ユグル族の幼い兄弟が離ればなれに暮らす両親のもとへ帰る道中を描いた『僕たちの家に帰ろう』
両親が放牧する土地を求め、より奥地の草原に移住しているため、兄のバーテルは祖父のもとで暮らし、弟アディカーは学校の寮に住んでいる。
兄は弟が母親の愛情を独り占めしていると思い込み、弟は兄ばかりが目をかけられていると感じ、互いに嫉妬し合っている。
夏休みが来ても父が迎えに来なかったことから、アディカーは拗ねる兄バーテルを説得して父母を探すため、2人きりの旅に出る。
広大な砂漠をラクダにまたがり、干上がってしまった河の跡を道しるべに、ひたすら荒野をたどって行く―。
痩せて枯れてしまった大地、見捨てられた廃村、そして崩壊した遺跡、回廊の変わりゆく風景は、光り輝いた土地が工業化のために消滅し、伝統が新しい社会へと変貌していく様をまざまざと見せつける。
そして、いつしか2人の旅は、彼ら《ユグル族》としてのアイデンティティーの探求へと変わっていく…。

「僕たちの家に帰ろう」
監督・脚本・編集・美術: リー・ルイジュン (李睿珺)
原題: 「家在水草豊茂的地方」  
英題: 「River Road」
2014年/中国/103分/テュルク語、北京語
配給・宣伝: マジックアワー

8月29日よりシアター・イメージフォーラム他全国公開。

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