国際的な現代美術家、奈良美智さんが、2014年末に、戦争をテーマにした画集「NO WAR!」(美術出版社)を出版されている。
これまでの奈良さんの画集とはことなる、強いメッセージがある。

東日本大震災や福島第一原発事故を経て、原発再稼働、安保関連法案など、「世の中の流れを見ている時に、このままだと、おかしくなっちゃうんじゃないかと不安をすごく覚えた」という奈良さんへのインタビューでは、画集を出したきっかけについても語られている。
ドイツに長く暮らした経験のある奈良さんに、同じ敗戦国として日本とどう異なるのか、が語られていく。

島津香蘭@シネフィル編集部

終戦から70年という節目の年、安倍政権が進める安保関連法案は国民的な議論を呼んでいる。この夏、私たちは戦争や安全保障についてどう考えたらよいのだろうか。2014年末に戦争をテーマにした画集「NO WAR!」(美術出版社)を上梓したのは、国際的な現代美術家、奈良美智さんだ。
私たちは奈良さんの画集からかつてないほどの強いメッセージを受け取ることができる。東日本大震災や福島第一原発事故を経て、原発再稼働、安保関連法案など、「世の中の流れを見ている時に、このままだと、おかしくなっちゃうんじゃないかと不安をすごく覚えた」という奈良さん。前半のインタビューでは、画集を出したきっかけを『「僕はこういうことを考えてきたんだよ」っていうふうに出してもいいんじゃないか、いや、出すべきなんじゃないかって思った」と語っていた。
続く後半では、ドイツに長く暮らした経験のある奈良さんに、同じ敗戦国として日本とどう異なるのか聞いてみた。私たちは自国の歴史とどう向き合い、それをどう未来につなげば良いのだろうか? (文中敬称略)。

画像1: 画集「NO WAR!」より。Untitled 2007 (c) Yoshitomo Nara, courtesy of the artist http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/15/yoshitomo-nara-no-war2_n_7991432.html

画集「NO WAR!」より。Untitled 2007 (c) Yoshitomo Nara, courtesy of the artist

http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/15/yoshitomo-nara-no-war2_n_7991432.html

■歴史の延長線上に自分たちがいると認識する敗戦国ドイツ
――「NO WAR!」には、Twitterで広まり、反原発運動のデモで使われた、1998年のドローイング「NO NUKES」も収録されているのが示唆的ですね。奈良さんは1988年にドイツに渡り、2000年の帰国まで、ドイツで長く生活されました。ドイツも日本と同じ敗戦国ですが、歴史に対する考え方をどのようにご覧になりましたか?
奈良:日本人は、大学入試のための歴史はよく勉強するじゃないですか。日本史でも世界史でも。でも、それって暗記であって歴史を身近にとらえて理解するってことじゃないんですよね。沖縄や広島、長崎とかを訪ねてみると、そこに住んでいる人たちは、学生を含めて身近なものとして、歴史を受け止めてるんですよ。もう住んでいる場所に痕跡があるから。
でも、ほかの日本の地方都市や、大空襲があった東京でも、戦争のリアリティーを先の彼らほどは持ってない気がする。実は自分も同じで、あんまり知らなかったんですよ。大学入試の一環で、「いいくにつくろう、鎌倉幕府」とか、「なくようぐいす、平安京」とか、そういう暗記の語呂合わせとか、教科書の説明は思い出せるけど、その時の実際の状況をリアリティを持って感じようとはしてなかったのね。
それが、ドイツに行ってびっくりしたのは、かつてあった過去からのタイムラインの延長上に自分たちがいるという意識が当たり前だったこと。日常でくだらない会話をしていても、歴史の話が自然に出てくる。戦争を否定肯定する以前にそういうことがある。そして客観的に戦争否定を語り出す。街を歩いていても、すごくわかりやすいところに、いろいろな記念碑が建てられているんです。第二次世界大戦だけじゃなくて、第一次世界大戦であるとか、ローマ帝国がここまで来たよとか。

画像2: 画集「NO WAR!」より。Untitled 2007 (c) Yoshitomo Nara, courtesy of the artist http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/15/yoshitomo-nara-no-war2_n_7991432.html

画集「NO WAR!」より。Untitled 2007 (c) Yoshitomo Nara, courtesy of the artist

http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/15/yoshitomo-nara-no-war2_n_7991432.html

――過去に体験してきた争いや戦争の痕跡ですね。
奈良:そうそう。そういうものがいたるところにあって。だから、現在という時間軸が歴史の延長上にあって、そして、その先には未来があり、今、何か間違ったとしたら未来がおかしくなる。過去から現在、未来へ一貫して考える、そういう思考が一般的な日本人とは比べ物にならないほどできてるんです。結構、ショックでした。日本も、勉強ができる人たちがいたり、科学や産業が進んでいたりするけど、歴史に向き合う考え方がまったく違ってました。

インタビュ―の詳細は下記まで。

参照元

http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/15/yoshitomo-nara-no-war2_n_7991432.html

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