現在、映画館は生き残りをかけた戦国時代。
大きな映画館はこぞって『4DX』『MX4D』などの新システムを投入する中で、立川シネマは独自の路線で脚光を浴びている。

そのわけは!?
極爆上映にあるという---
そして、ここに至る過程が、実に面白い。

この映画館に勤務する1人の若き映画愛に溢れた、遠山武志企画室長の思いの実現が、この映画館の存在価値を高めていたのだ。

ここに、「週刊アスキー」の記事を一部ご紹介したい!
熱のはいった、インタビューにシネフィルも感心---。

「このふざけた劇場へ、ようこそ」

 世に映画館は数あれど、立川シネマシティほどぶっちぎりで面白い劇場も少ないのではないか。大手のように巨大な資本もなく、都心から離れた立川にある。しかしながら観客動員数では大都市の大手を超えることもある。なぜか。

 成功の理由は、資本力がなくとも、常に時代の先を読み、アイデア一発で映画館の可能性を広げてきた柔軟な実行力にあるのである。

 本日は若き仕掛け人、遠山武志企画室長の話をお届けしたい。1975年生まれ、39歳。類まれなアイデアセンスは映画ファンならずとも発見があるはずだ。

これは公開中の映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のために数百万円するウーファーを追加購入したときの宣伝文句だ。『極上爆音上映』(極爆)をうたう公演は大好評。多くの劇場では週を重ねるごとに動員が下がっていく中、立川では2週目、3週目と逆に増加していっているそうである。

 なぜ極爆がいいか。毛髪レベルで体が震え、映画をビンビン感じられるためだ。

 実際に極爆でマッドマックスを体験すると、クルマが爆発するたび体が震える。発砲すると腹に銃声が重く響く。火を噴くギターの演奏でヘッドバングして、あわよくば登場人物たちと一緒に槍を持ってダイブしたくなる。

 大手シネコンが導入した『MX4D』は座席が動き、ミストが出るなど臨場感をあおってくれたのだが、極爆にはMX4Dを上回るほどの迫力があったのである。

 しかしそんな設備に投資をして、ちゃんと元は取れるのだろうか。遠山室長は公式サイトで高らかに宣言していわく、

「採算? 我が仕事に一片の悔いなし」

 なのであった。はたしてその真意やいかに。最高にラブリーなお話の始まり始まり。

画像: マッドマックスのために購入したサブウーファー http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/355/355161/

マッドマックスのために購入したサブウーファー

http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/355/355161/

──「極爆」が生まれたのは?

最初にファンの有志の方の主催で『パシフィック・リム』の貸切爆音上映が非常に盛り上がったのがきっかけで、そのあとに上映した『ゴジラ』が弊社最初の極爆です。この作品こそデビューにふさわしいと思いまして。

──ハリウッド版ゴジラですね。

音響の専門家に「ゴジラが目の前を歩いている感じを出したい」とお願いしたところ、ただ音を上げるだけじゃダメだ、ウーファーだと。

──他にも『爆音』系の劇場はありますが、あえて極爆というのはなぜですか。

主に新作ですので、初見の方が多い、というのを強く意識しています。この音を食らえ! とこれみよがしに見せるのではなく、作品世界に没頭できるように、ということが第一。わかりやすいので低音増量で売っていますが、実は全体のバランスを綿密に専門家が調整していることこそが真価です。ここが「極上」の名前の由来です。

──あくまで主役は音ではなく作品だと。

作品が本来持っている音の力を最大限に引き出したい、という考えです。音量だけで言ったら、音楽ライヴ映像などを上映するときのスタイル「極上音響上映」のほうが出していることが多いです。音楽ライブなら大きな音を出しっぱなしでもいいですが、芝居もある劇映画はそういうわけにはいかない。その作品に最適な音を作るということですね。ゴジラで言えば、序盤は「爆音? どこが? 普通じゃん」と思うんです。けど、冒頭で核爆弾が爆発したときに建物が震えて「あ、やべえの来た」。この両立を目指すわけです。

──調整も工夫がありそうです。

お願いしている音響家の方は、セリフを最も念入りに作られます。例えばゴジラはマッドマックスとちがって「ゴゴゴゴ」という轟音とセリフがほとんどかぶらなかったのですが、マッドマックスは轟音の中でもしゃべる。低音を上げすぎるとセリフが聞こえにくくなってしまう。振動感や音圧がガーッと来るのは楽しいかもしれませんが、配分を間違えると作品とは別のところに意識が飛んでしまう。それは絶対やっちゃダメだと。

──音で作品に色をつけてはいけない。

作品を作るのは劇場ではありません。作り手の意図を最大限に伝えるのが劇場の仕事です。クルマが転倒したら、転倒したなりの轟音が響く。一方、砂が落ちる場面ではゴロゴロではなくサラサラという静かな音であるべきです。特に聴かせどころと思われる場面は何度か見直し、聞き直し、一本あたり3時間ほどかけて調整してもらっています。

──じつは細かい音質調整のための追加投資だと。

ウーファーの音を上げていくと、ほかの音を邪魔しはじめて、濁りが出てくる。そこを解決したかった。「サブウーファーが違うと変わるよ」という話は聞いていたんですが、実際に入れ替えてみたらびっくりしました。1100-LFCの低音はスピードが早く澄み切っているので、そのことでむしろ高域や中域がすっごくきれいに聞こえて。

熱い思いのこもったロングインタビューです!
以下をご覧下さい!

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